第一話 戻ることのない仲間
「おいっ。ルビー援護を頼む!」
「分かってるわよ。光の魔法シャイニングスター!」
ルビーのシャイニングスターはボスモンスターの急所を捉え、ボスモンスターが一瞬硬直した。俺はこの隙を逃さなかった。
「アネット、バーンボスモンスター目掛けて切り込んでくれ!」
「「了解!」」
完璧に連携の取れた二人はボスモンスターの攻撃を避けつつ確かにダメージを与えることに成功した。
「後は任せたわよ、レイン!」
「あぁ、分かっている」
ここで決めなきゃ誰がやるんだ。これまで数多な試練を乗り越えてきた。俺たち勇者パーティはモンスターの脅威に恐れながら暮らす国民のために戦う…。みんなを救うんだ…!
「火の精霊魔法レーヴァテイン!」
俺の精霊魔法はボスモンスター目掛けて一直線で飛んでいき、見事ボスモンスターの心臓を貫いた。これで終わりだ。人間の勝利だ…!
「やったわぁー!レイン勝ったよ。みんな、私たち勝ったんだよ!」
「これで俺らは英雄だな…!」
「こらっ、調子乗らないの。」
「すまない、すまない」
本当に喜ばしいことだ。でもなぜだ、素直に喜べない。何か嫌な予感がする。俺だけがこの違和感を感じている。
「ねぇーなんでこのボスモンスター消滅しないの?」
「はっ!……そこから離れろルビー!」
「えっ?」
魔力爆破。魔力が暴走することによって起こる大爆破。でも魔力爆破は自身の心臓を生贄に捧げ無い限り莫大な量魔力は発生しない。俺は確かに精霊魔法でボスモンスターの心臓を貫いていたはず…。二個目の心臓か…!本で見たことがある。体内の中に心臓がいくつかあるモンスターがいると書いてあった。でも気づいたとしても、もう意味はない。だって俺らは…
この魔力災害に巻き込まれて死んだから…。