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3/5

「もう、遅いよ」と言われたら、神に幼馴染を殺す力をもらえた。

僕は幼馴染に告白したが、「もう、遅いよ」と言われ、ふられてしまった。


落ち込む僕の頭に、神様から声が聞こえた。


なんでも幼馴染を殺す力をくれるらしい。


※ざまぁ

「もう、遅いよ」


 俺の告白に対し、彼女はこう返してきた。


 今日は成人式だ。

 俺は小さい頃から好きだった、幼馴染に告白した。

 その結果がこのもう遅いという言葉だった。


 この言葉を聞いて絶望した俺は、何かを言う彼女を置いて、家へと向かった。


 ……もう遅いという事は、彼女は俺の事を好きだったのだろう。

 でも、俺はなかなか告白する事が出来なかった。

 なかなか告白できなかったせいで、彼女には恋人が出来てしまったのだろう。


 気付いたら、俺は近所の神社に来ていた。

 たまたま俺以外には誰もいなかった。


「彼女が恋人と幸せになりますように……」


 俺はそう言って神社に参拝し、家に帰ろうとした。


『ふむ、それは本音かね?』

「え?」


 急に脳内に声が聞こえた。


「だ、誰だ?」

『儂はこの神社の神だ。お主の声が聞こえたのでな、答えてやったのだ』

「え、マジで?」

『脳内に話しかけているのが何よりの証拠だろう?』

「ま、まぁ、確かに普通の奴じゃない事はわかるけど……」


 本当に神かはいざしらず、脳内に話しかけている時点で、普通の奴じゃないのは間違いない。


『ふむ、では改めて問おう。今の願い、お主の幼馴染が恋人と幸せになりますように、というのは』

「……」

『無言、という事はやはり本音ではないのだね』

「…………当たり前だろ」

『ほぅ……』

「本当は、こんな事言いたくない。でも、こう言うしかないじゃないか」

『彼女を奪った相手の男を、そして自分を選ばなかった幼馴染を恨んでいるかね?』




 しばらく考えて、俺はその質問に答えた。




「許せるわけないだろ!ああそうだよ、嘘だよ!!自分を騙す為のな!!!」

『ふむ、ちなみにどちらの方が許せないか?』

「どっちも許せないが、特にあの女!!マジで許せない!!!ぶっ殺してやりたい!!!!」

『ふむ、やはりそうか……』

「ああ、だけど俺にそんな事出来ない……犯罪になるからな。俺の顔に泥を塗りやがった糞女の為に一生を棒に振るのも嫌だからな」

『よかろう、ならば力をやろう』

「……へ?」

『力をやろう、と言うのだ』

「……本当か?」

『無論だ。』

「じゃあ頼む!」

『その言葉を待っておったぞ!』

「で、どんな力をくれるんだ?」


 そう言う俺の前に、一本のナイフが落ちてきた。


「これは?」

『このナイフは一度しか使えないナイフだ。このナイフで刺された人間は苦しんで死ぬ。さらに、このナイフで行われた殺人の犯人は決して捕まらない』

「まじかよ!それって最高じゃん!」

『うむ、自由に使うがいい』


 そして、神の言葉が聞こえなくなった。

 だが、俺は気にせずに家に帰った。


 翌日になった。

 一度糞女から電話が来たが、俺は用があると言って無視した。

 電話が来て腹が立った。

 振ったくせに今更電話しやがって、と。


 俺は糞女が出かけると、その後をつけた。

 そして、日が落ちて暗くなり、周囲に人がいなくなったところで、俺は神のナイフで糞女を刺した。


「ど……どうして?」

「お前が悪いんだよ。俺の女として生まれたくせに俺をふるからだ」

「何を……言って…………」

「ふん、俺の女として生まれたのにそうならなかったんだ。その時点でお前はゴミだ。ゴミは廃棄処分するのが当たり前だろう?」

「ひ……ひど…………い」

「まったく、余計な手間をかけさせやがって。まぁ、お前が苦しんで死んでいく様を見れるのはたのしいが、な!」


 そう言った後、俺は俺の女になるはずだった糞女がもだえ苦しみ、死んでいく様を楽しんだ。




 それから数日が過ぎた。


 糞女の死はテレビで報じられたが、神の言う通り、俺は捕まっていない。

 糞女の両親が涙ながらに言うには、捜査が全然進展おらず、犯人の目途はたっていないようだ。

 涙ながらに娘の死を悲しみ、犯人が許せない、と言う話を俺もウソ泣きしながら聞いた。


 まったくいい気味だ。

 そもそもあの糞女は俺の女として生まれたんだ。

 なのにこの両親がきちんと教育していなかったからこうなったんだ。

 まぁ、娘が大好きなこいつらにとって、ちょうどいい罰なのだろう。

 一生娘がいなくなった悲しみを背負って生きるのは、当然の報いだ。

 そう言って、俺は糞女の両親と別れた。




 それから数年がたった。


 今日、俺は結婚する。

 糞女が自業自得の死を迎えた数年後、俺は一人の美女と出会った。

 その女から逆ナンされ、俺は彼女と付き合い始め、そして今日結婚する。

 彼女は背が高くて胸は小さいが、アイドルのような美貌を持ち、俺のいう事をよく聞く、俺にふさわしい女だった。

 まぁ、あの糞女が消えてくれたおかげで、俺は彼女と付き合えたのだ。

 そればっかりは感謝だな、と思った。


 いま、俺はウェディングドレスを着た彼女に呼ばれて控室に来た。

 ウェディングドレスを着た彼女はとても美しい。


「スタッフは?」

「あなたと二人で話したくって、席を外してもらったの」

「そうなんだ。で、話って?」

「ふふっ」


 彼女はそう言って笑うと、俺に抱きついた。


「あ……」


 腹に激しい痛みが走った。

 腹を見ると、俺の腹には見た事のあるようなナイフが刺さっていた。

 急に苦しくなった俺は、床に倒れた。


「これを覚えているか?覚えていないだろうな。お前が私の親友を殺した時に使っていたナイフだよ」

「な……ぜ」

「なぜ?私はお前が私の親友を殺した所から去っていく所を見たんだよ。当然警察に言ったが、信じてもらえなかった。不自然なくらいにね。結局捜査は進まず、私は神に祈るしかなかった。そうしたら神が私に力をくれたんだ。お前と同じ力をな」

「な!……」


 あのクズ神、俺以外にも力を与えやがったのか!


「私は考えた。すぐお前を殺してもいいが、それじゃぁ駄目だ。お前は善人ぶって彼女の両親もだましていた。そんなクズにもっとふさわしい死をくれてやりたかったんだ。だからお前の彼女になり、結婚式の最中に殺してやることにしたんだ。」

「そん……な……」


「お前と付き合っているときも、本当につらかった。お前とデートした後は、何度も風呂に入ったよ。それでも汚れが落ちた気がしなくて、何度も吐いたよ。でも、その苦労も今日ようやく結ばれたんだ」

「嘘……だ」

「嘘だ、か……それは彼女のセリフだ。彼女はお前と恋人同士になれて喜んでいたんだぞ。ずっと好きだった思いが報われたって言ってた。それを何を勘違いしたのかあんたは彼女を殺したんだ」

「彼氏……が……」

「彼氏?彼女にそんな存在はいないよ。ああ、ひょっとして、私の事を勘違いしたのかな?私は当時男の服を着ていたし、ショートカットだったから、男と勘違いされる事多かったし」


 そんな……俺の勘違いだったって言うのか?

 だが、そんな事はどうでもいい。

 今、俺が言う言葉は一つだ。


「た……す……け……て…………」

「助けて……か」


 最後に彼女は一言言って俺の元を去った。

 それが、俺が聞いた人生で最後の言葉になった。

 彼女は最後にこう言ったのだ。


 「もう、遅いよ」

お楽しみいただけましたでしょうか?


今回はざまぁ回です。


よろしければ、ご意見ご感想、レビュー以外にも、誤字脱字やおかしい箇所を指摘していただけると幸いです。星での評価もお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] ??? 3話目、「彼女」は【もう遅い】と言ってますよね。 はっきり主人公からの告白を断ってますよね。
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