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「もう、遅いよ」と言われたら、神に幼馴染の彼氏を殺す力をもらえた。

僕は幼馴染に告白したが、「もう、遅いよ」と言われ、ふられてしまった。

落ち込む僕の頭に、神様から声が聞こえた。

なんでも幼馴染の彼氏を殺す力をくれるらしい。

※胸糞注意

「もう、遅いよ」

　俺の告白に対し、彼女はこう返してきた。

　今日は成人式だ。

　俺は小さい頃から好きだった、幼馴染に告白した。

　その結果がこのもう遅いという言葉だった。

　この言葉を聞いて絶望した俺は、何かを言う彼女を置いて、家へと向かった。

　……もう遅いという事は、彼女は俺の事を好きだったのだろう。

　でも、俺はなかなか告白する事が出来なかった。

　なかなか告白できなかったせいで、彼女には恋人が出来てしまったのだろう。

　気付いたら、俺は近所の神社に来ていた。

　たまたま俺以外には誰もいなかった。

「彼女が恋人と幸せになりますように……」

　俺はそう言って神社に参拝し、家に帰ろうとした。

『ふむ、それは本音かね？』

「え？」

　急に脳内に声が聞こえた。

「だ、誰だ？」

『儂はこの神社の神だ。お主の声が聞こえたのでな、答えてやったのだ』

「え、マジで？」

『脳内に話しかけているのが何よりの証拠だろう？』

「ま、まぁ、確かに普通の奴じゃない事はわかるけど……」

　本当に神かはいざしらず、脳内に話しかけている時点で、普通の奴じゃないのは間違いない。

『ふむ、では改めて問おう。今の願い、お主の幼馴染が恋人と幸せになりますように、というのは』

「……」

『無言、という事はやはり本音ではないのだね』

「…………当たり前だろ」

『ほぅ……』

「本当は、こんな事言いたくない。でも、こう言うしかないじゃないか」

『彼女を奪った相手の男を、そして自分を選ばなかった幼馴染を恨んでいるかね？』

　しばらく考えて、俺はその質問に答えた。

「許せるわけないだろ！ああそうだよ、嘘だよ！！自分を騙す為のな！！！」

『ふむ、ちなみにどちらの方が許せないか？』

「どっちも許せないが、特に相手の男！！マジで許せない！！！ぶっ殺してやりたい！！！！」

『ふむ、やはりそうか……』

「ああ、だけど俺にそんな事出来ない……犯罪になるからな。俺の顔に泥を塗りやがった糞女の為に一生を棒に振るのも嫌だからな」

『よかろう、ならば力をやろう』

「……へ？」

『力をやろう、と言うのだ』

「……本当か？」

『無論だ。』

「じゃあ頼む！」

『その言葉を待っておったぞ！』

「で、どんな力をくれるんだ？」

　そう言う俺の前に、一本のナイフが落ちてきた。

「これは？」

『このナイフは一度しか使えないナイフだ。このナイフで刺された人間は苦しんで死ぬ。さらに、このナイフでの殺人の犯人は決して捕まらない』

「まじかよ！それって最高じゃん！」

『うむ、自由に使うがいい』

　そして、神の言葉が聞こえなくなった。

　だが、俺は気にせずに家に帰った。

　その日から数日が過ぎた。

　時々糞女から電話が来たが、俺は用があると言って無視した。

　電話が来て腹が立った。

　振ったくせに今更電話しやがって、と。

　俺は糞女が出かける度にその後をつけた。

　何度目かの時、遂に彼氏を発見した。

　なるほど、イケメンだ。

　背も俺より高い。

　アイドルと言ってもいいだろう。

　だが、俺の女になるはずだった女の彼氏になっていいわけではない。

　今、イケメンは俺の女にしがみつかれている。

　しばらくして糞女とイケメンが別れた後も、俺はイケメンを追跡した。

　そして、日が落ちて暗くなり、周囲に人がいなくなったところで、俺は神のナイフでイケメンを刺した。

「な、何を！」

「お前が悪いんだよ。お前が俺の女に手を出すから悪いんだ」

「何を……言って…………」

「ふん、今更すっとぼける気か？まぁいい、どうせ死ぬんだ。そんな奴に用はない」

　そう言った後、俺は苦しむイケメンがもだえ苦しみ、死んでいく様を楽しんだ。

　それから数日が過ぎた。

　イケメンの死はテレビで報じられたが、神の言う通り、俺は捕まっていない。

　糞女が涙ながらに言うには、捜査が全然進展おらず、犯人の目途はたっていないようだ。

　涙ながらにイケメンの死を悲しみ、犯人が許せない、と言う糞女を俺はぎゅっと抱きしめた。

「大丈夫、俺が君を支えるから。君の悲しみが癒えるまで、いや、癒えても俺はずっと傍にいるからね」

「ありがとう。さすがは私の彼氏だね」

　……は？

　俺をふっておいて、彼氏だ？

　どうやらイケメンを殺された事でおかしくなったらしい。

　まったく、最初から俺の女になっていればよかったんだ。

　そうすればあのイケメンも死ななかったんだ。

　まったく、余計な手間かけさせやがって。

　全部この糞女が悪いんだ。

　まぁ、この糞女にはイケメンが死ぬ事になった罰と、俺に手間をかけさせるような事をさせた罰として、俺が一生飼い殺しにしてやるが。

　すぐに俺の愛に答えていればよかったんだよ。

　だから俺は、彼女にキスをしながら、心の中でこう言ってやった。

「もう、遅いよ」

お楽しみいただけましたでしょうか？

書いている内に主人公がどんどんクズになっていきました。