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異世界吸血鬼 ~前世も吸血鬼なんだが?~  作者: としょいいん


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第79話 ナーシャとの再会

 銃器の開発工房を後にしたオレは、ユナとフェイが先に向かったクロノの地下迷宮(ダンジョン)に行ってみようと思い立ち城を出る事にした。


「これからクロノのところへ行ってくるから、城の事を頼む」


「お任せ下さい、マスター」


 転移魔法陣を使用すると、またクロノの自室に繋がってしまうため、ここは少し面倒くさいが空を飛んで行こうと決めたのは一人になって考えておきたい事があったからだ。


 オレは窓から飛び出し背中から生やした吸血鬼ウィングに魔力を込めて一気に上空まで高度を上げる。

 急激な温度変化に襲われるが不死者(イモータル)の身体ならどうという事は無く、そのまま加速して一気に飛行速度を上げて行く。


《マスター、ゲストルームへご案内したエリーゼ様の姿が見当たりません。恐らくクロノ様のダンジョンへ向かわれたと思われます》


「了解、途中で見つけたら拾って行くよ」




 クロノのダンジョンはオレの城から北へ向かって飛び続けて、魔の森を超えた先にある山の中腹に廃坑となった入口があった場所だったと記憶してる。

 エリーゼがクロノの元に向かっているなら、オレと同じ経路(ルート)を進んでいるはずだから、直ぐに追いつけるだろう。

 そしてオレが城を出て30分を過ぎた頃、魔の森を超えた先の空中で争っている者たちを発見した。


挿絵(By みてみん)


 そのうちの一人はエリーゼだったのだが、彼女は三対一の不利な状況にも係わらず相手方を圧倒するほどでは無いものの、彼女の方が有位に見えるのは(ひとえ)にクロノへの愛故だろうか?


「何故私の行手を邪魔をするのですか! 今直ぐそこをどきなさい!」


「ダンジョンからサッサと逃げ出したくせに、今頃戻ってどうするの?」


 敵は女性の悪魔族(デビリッシュ)のようだが、オレが直々に血を分け与えて強化した不死者(イモータル)のエリーゼを相手に、たったの3体で良く均衡を保ってるな。

 だが向こうに見えるクロノンのダンジョンがある山の方から、新たに10体ほどの悪魔族(デビリッシュ)がこちらに向かって飛んで来てるのが見えるから、このまま放置する事はできない。


「もうすぐここに私たち応援が到着するから、今直ぐここを立ち去れば見なかった事にしてあげる」


「クロノ様に何か企んでるのなら許さない!」


 意思の強さではエリーゼも負けてはいないが、敵の女魔族(デビリッシュ)たちも素早くて、なかなか有効打が決まらない状況の中、とうとう敵の増援部隊が到着してしまう。


 さすがに13体もの悪魔族(デビリッシュ)を一度に相手にすれば、無事では居られないと考えたエリーゼの表情に焦りが見え始める。


「まだリナリーがアレの最中だから、貴女をダンジョンに帰す訳にはいかないわね」


 到着した増援も全員が女だが、こいつらはクロノを魅了して一体何がしたいのだろう?


 それと敵は悪魔族(デビリッシュ)だと聞いていたが、オレの目の前に写っているのはどう見てもサッキュバスの美女たちで、これなら敵が全て女性だった理由にも納得がいく。


 サッキュバスも悪魔族(デビリッシュ)の一種だと言っても間違いは無いのだが、何故サッキュバスである敵が、わざわざ自分たちの事をデビリッシュだと話したのか?


 それはもしかするとデモーニッシュであるクロノをデビリッシュだと思い込み、相手に親近感を持たせると同時にサッキュバスだと正体を明かして警戒されたくなかったのかも知れないが、それなら何故自分たちの正体を隠してダンジョンマスターのクロノに近づく必要があったのかその理由が判らない。


 でも、それはユナとフェイが調べてくれてるはずから、ここは彼女たちからの報告を待つ事にしよう。


 いくらエリーゼがデスデーモンで不死の身体を持つとは言っても、さすがに13体のサッキュバスを相手に、たった一人で立ち向かうのは少し荷が重いな。


 それに敵対するサッキュバスの先頭に立つ女の顔には見覚えがあった。


 あの女はシンディの母親の形見であるボディスーツを彼女が住む街まで届けた時に、オレを地下にある屋敷まで先導してくれた彼女の従姉妹だ。


 名前は確か……何だっけな? あの美しい太もものラインだけは記憶にあるんだが……。


 例え今は敵対しているとは言え、オレが愛するシンディの従姉妹たちをここで全滅させてしまう訳にはいかないが、かと言ってこのまま配下の一人であるエリーゼを見捨てる訳にも行かない。


「ちょっとだけ手助けしてやろう」


「あ、ロードさま! どうしてここに?!」


「お前がオレの城から居なくなったと聞いて探してたんだよ!」


 オレがそう話すと認識阻害のスキルが無効となり、急に姿を見せたオレにサッキュバスたちの視線が突き刺さる。

 サッキュバスは相手の魔力が見える魔眼を持っているから、オレを見て警戒する様子が伝わって来る。


「どうした、かかって来ないのか? こっちはたったの二人しか居ないぞ?」


「たった二人で私たち全員を相手に出来るとでも思っているのですか?」


挿絵(By みてみん)


 敵のリーダーっぽいサッキュバス(多分知り合い?)が警告としての発言だろうが、そんな脅しに乗るつもりは無い。


「私たちを女だと思ってナメてるなら後悔しますよ?」


「別にナメてはいないさ」


 魔族同士の戦いに性別は関係無く、そこにあるのはお互いの戦闘能力と属性相性があるのみ。


 敵となるサッキュバスどもは相手の魔力をドレインして自分の力に変えて戦う事が出来る特殊能力を持ち、接近戦から遠距離戦まで熟すオールラウンダーな種族で一見すると弱点が無いように思えるが、何でも出来るが故に何にも特化していないままの能力では、シンディが持つ召喚魔法みたいなユニークスキルか、ズバ抜けたステータスでも持っていなければただの器用貧乏に成りかねない。


「テレポ! っと」


 天使(エンジェラン)ですら反応が難しいショートテレポートによる奇襲攻撃を、これまで経験した事が無い相手に対応を求めるのは無理な相談だろう。

 特に接近戦では相手との間合いが重要なのだが、その距離感を狂わせてこちらの攻撃を一方的にヒットさせて、敵の反撃を完璧に回避するこの戦法は正に初見殺しの技で、これまでも数々の窮地を掻い潜って来たからな。


「動くな!」「っ?!」


 一番手前にいたサッキュバス(多分知り合い)を背後から捕まえて、相手の首筋に蒼く煌めく血爪の先を軽く押し当ててやる。


「ひ、卑怯な!!」


「クックック、オレたち吸血鬼に『卑怯』とは褒め言葉だぞ?」


 いくらコイツがシンディの従姉妹だったとしても、オレの配下となったクロノやエリーゼに危害を加えるなら話は別だ。


 今は自分たちのリーダーが簡単に捕われてしまったせいか、周りのサッキュバスたちに焦りが見え始めるが、リーダーを残したまま撤退するのを躊躇っているようだ。


「コイツだけ残して他の者はここを去れ。そうすれば今は見逃してやろう」


「そんな事出来るものか!」


「いや、全員ここを離れて生き延びるんだ。お前達が全員でかかってもこの男を倒す事は出来ない。だから早く撤退してあの吸血鬼が敵になったと姉上に知らせるんだ」


 リーダーの女(多分知り合い)の首筋に押し当てていた血爪の先を少しだけ喰い込ませると、彼女の白い肌に一本の紅い筋が流れる。早く手下のサッキュバスどもがここから去って行かないと、このお姉さんの首が千切れてしまうぞと無言の圧力を掛けてやる。


「ナーシャ様、後で必ずお助けに参ります!」


 ナーシャと呼ばれたシンディの従姉妹を何度も振り返り、命令なので仕方なくと言った感じで渋々引き上げて行くサッキュバスどもを見送る。

 そして周囲に敵が居ない事が確認できたので、捕虜となったナーシャの尋問を始める。


「あの時、シンディの元まで案内してくれた礼をまだ言ってなかったな、ありがとう。それで今回の事なんだが、どうしてこんな事態になってるのか理由を聞かせてくれないか?」


 オレの様子が一変して殺伐とした雰囲気が消え去り、ごく穏やかな口調でナーシャへ話しかける。


「これは私たちサッキュバス族の問題です。部外者の貴方達に申し上げる事は何もありませんので、この身は如何様にもなさって頂いて結構です」


 もしかして、オレが彼女たちの街からシンディを連れ出した事を未だ許せないのだろうか?

 オレの仲魔であるクロノの地下迷宮(ダンジョン)で何か企んでいるのであれば、それ相応の対処をせざるを得ないのだが、さて……どうするべきか?


「お前たちが侵略しようとしてるクロノの地下迷宮(ダンジョン)はオレの傘下だ。このまま素直に退去しないのなら力づくで……と言う事になるがそれでも良いのか?」


「貴方に見向きもされなかった事で姉上の心は深い傷を負ってしまいました。私たちサッキュバスはいつの時代においても魔王様のお側に侍る事こそが存在意義だったのに、シンディ一人だけを連れて私たちを見捨てた貴方のせいだと泣き叫んだら助けてくれますか?……ぅう!!」


 突然、ナーシャの身体に異変が起こる!

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