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異世界吸血鬼 ~前世も吸血鬼なんだが?~  作者: としょいいん


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第54話 痛恨のミス

 こうしてオレと大天使(アーカンシェル)がサシで戦っているうちに、仲魔たちが捕まったエルフを連れて村まで戻ってくれれば事態が好転すると安易に考えていたのがマズかったようだ。

 オレがそれに気づいたのは、大天使と戦っている最中にオレの左腕が音もなく消え去ってしまったからだった。


(しまった、痛恨のミスだ!)


 以前にメタトロリと戦った時に、ヤツから「何故そんなに強くなってる」と聞かれたが、それはオレの努力と研鑽によって日々能力の向上を心掛けているからだと答えたが、今のオレも目の前に居るアズラエルの事を何故、数百年前と同じ強さだと思い込んでいたのだろうか?


 あの大天使(アーカンシェル)はオレの事をナメていて、自身の能力を半分しか使っていないと思い込んでいたが、ヤツは最初から全力でオレを消しに来ていたのだ。


 オレの周囲には光学迷彩魔法によって隠蔽された数多の小ブラックホール(SBH)が浮遊機雷の如く設置されており、オレはまんまとこの目に見えない鳥籠の中へと閉じ込められてしまっていたのだった。


 しかしこの程度の罠などオレが持つテレポート能力があれば一瞬で抜け出す事が可能だが、もし転移した先にもこのSBH機雷が仕掛けられていたとすれば、転移した瞬間にオレの身体の一部か全部が消し去られてしまう。


 もし失くなるのが身体のどこか一部だったとして、もしそれが脳や心臓等の重要器官を持って行かれてしまえばそれだけでこの戦いが終わってしまうだろう。


「やっぱお前ってクソ天使だよな。他のヤツラとは違って性格の悪さもピカイチだ」


「我ラ天使ニソノ言葉ハ、褒メ言葉デアルナ」


 悔しいがコイツとの時間稼ぎに力を注いでいたオレとは違って、最初から全力でオレを滅ぼしに来ていたヤツではこの結果は甘んじて受け入れるしか無い。


「貴様ニハソコデ、仲魔ノ女タチガ我ニ喰ワレテ泣キ叫ブ姿デモ見セテヤルデアルナ」


 ヤツが両手と六枚ある翼を広げると夜の闇を斬り割き十二もの光の柱が地上へと突き刺さる。

 その光の柱の根元には聖堂騎士と言う名の十二名の犠牲者が居て、そいつらが次々と天使(エンジェラン)の姿へ変貌させられて行く。

 

「先ズハ聖女ヲ我ノ前マデ連レテ来ルノデアル。ソレト向コウノ村ニさっきゅばすノ女ガ居ルカラ、ソイツモ連レテ来イ。アソコニ居ル殭屍ノ胸モ素晴ラシイ、是非我ノこれくしょんニ加エテヤロウ、ソレ以外ノちっぱい作ドモハ皆殺シナノデアル!」


 これはマズイ事態になった。


 あの変態大天使野郎が女性のバストが大好物なのは知っていたが、今アイツに名指しされた三名のデータを元から生死選別の『しきい値』として用いられるサイズを推測する事が出来た。


 それはアンダーバストが70センチ以下ならトップバストとの差が22.5センチ以上が必要だとされるFカップ以上の女性が対象だと判明したが、いくらこちらの異世界では女性のスタイルが軒並み元居た世界のスーパーモデル級だったとしても、今ヤツが指定したサイズを満たしたプロポーションを持つ美女となると存外に厳しいのでは無いだろうか?


 もしあのサイズを基準に選別した場合、城に残してきたメンバーの中だと自信を持ってクリア出来るのはショコラくらいしか思い浮かばない。


 うちの女性陣は皆それぞれの個性を持った美女揃いではあるが、ヤツの基準で言えばエルド王国随一の美貌を持つとされるエルフ美女のユナリアとメイプルの双子姉妹ですらその選考から外れてしまうだろう。


 そうなると今救出しているエルフ村の女性たちも全員がアウトっぽいから攫われる心配は無いが、貧乳は皆殺しだと宣言していたから安心はできない。

 あの『チッパイ撲滅』を推し進める事実からも判る様に、あのクソ天使どもが信奉する女神のOP教団など、オレに言わせれば邪教徒の集まりでしか無い。


 やはり女性とはその胸の大きさや形のみに拘泥する事無く、下腹部と腰骨から太ももへと流れるラインで結ばれた膝、そしてその下にある脛から踝までと足の甲の先に並ぶ美しい指先と爪こそが至高。

 そして後ろから眺めるなら大殿筋から太ももまでは先の説明と同じだが、身体前面にある大腿四頭筋とは違って、太腿の裏側には女性ならではの美しい流線が大腿二頭筋から膝裏の膕までを形作ってる。


(決して『膝裏の窪み』なんて安易に呼ぶんじゃないぞ? その部分は『ひかがみ』と言ってちゃんとした呼び名があるにも係わらず、世の男どもの勉強不足から『ヘコミ』なんて色気もヘッタクレも無い名前で呼ばれているんだからな。ちなみに生成AIには『kneepits』で通じるからな)


 そうその(ひかがみ)から脹脛(ふくらはぎ)と呼ばれる下腿三頭筋から(かかと)に繋がっているのが皆も良く知っているアキレス腱なんだけど、これでまだ終わりじゃないのが脚の良いところで、その下には(かかと)があり足裏と一括で呼ばれてはいるが、正確には(かかと)を含めて三つの呼称がある事を知っておかなくてはならない。


 つまりオレが言いたかったのは、確かに母性の象徴とも呼べる女神のような胸も捨てがたいのは理解するが、この様に女性の下半身にも数多くの神秘と美が表現されてると言う事なんだけど……みんな判ってくれるよな?


 それに神々の芸術とされる二本の美脚の付け根には生命の神秘を司る器官も隠されているから、仮に胸か脚かのどちらか一方を選べと言われれば、生物なら必ず種保存の本能によって後者を選ぶのが自然の選択だと言える。


 つい長くなってしまったが今はそれどころじゃなかった。


 オレは今直ぐにでもSBH機雷を仕掛けられたこの場所から逃れて、配下の仲魔たちに向けて放たれた天使(エンジェラン)どもを何とかしなくちゃならないんだった。


 この目に見えない光学迷彩が施されたSBH機雷は、もし触れてしまえばその部分が次元を超えて強制跳躍して欠損が生じてしまうと言った、とてもいやらしい罠だ。


 さっきはつい焦ってしまったが、良く考えてみれば抜け穴だらけの罠じゃないのか?

 オレは眼下に広がる魔の森の木々を念動力でなぎ倒してから、その木々が抉れて無くなってる空間を避けてテレポで転移する。


 それとオレはこちらの異世界へ来てまだ間が無い事もあり、魔法技術を体得してはいないが、魔力そのものを持っていない訳では無い。


 その証拠にオレの全身から闇夜を思わせる漆黒の魔力がオーラとなって溢れ出し、オレの周囲半径五メートルほどを薄く塗り潰と何箇所か魔力がポッカリと無くなっている場所があり、それがアイツの仕掛けた機雷だと言う事が判る。だが全身から魔力を垂れ流すようなやり方は、燃費の面から考えればとても他人に勧められるモノでは無く長期戦には向かないだろうな。

 

「ロードくん、今ドロシーさんがエルフの捕虜を40名ほど村に送って行ったから、これで最後じゃないかな?」


「御方様、もうお側に戻っても宜しいでしょうか?」


「お前たち二人も今は村まで戻っててくれ。あの天使どもはディアーネとシンディ、それにフェイリンたち胸の大きな女性を狙ってるから、みんな一箇所に集まってくれた方が守り易い。オレも直ぐに行くから先に村で待っていてくれ」


 リンとディアーネの二人はまだ何か言いたげではあったが、それでも天使(エンジェラン)どもが巨乳美女を攫おうと探し回ってるから先に村まで戻って貰った。


「我ノ聖贄ガアノ村ニ居ルデアルナ。尖兵ドモ全員デ捕ラエテ来ルノデアル!」


 それでもヤツが大好物の巨乳を持つ女性たちが居る場所をスキルサーチで感知されてしまえば、もう隠しようが無い。オレはヤツの憎ったらしい顔を人睨みしてから連続テレポートによって一気に村の中まで戻った。


 すると村の中ではアルフィリオを始めエルフ戦士団のメンバーたち全員が、決死の覚悟で防備を固めてオレの到着を待っていた。


「マイロード様、私達の村の仲間を助けて頂きありがとう御座います。今もドロシー様の転送魔法によって仲間たちがシルヴァニア城へと避難させて頂いておりますが、我ら戦士団一同はこの地にて留まり、生命有る限り御身の盾として戦い抜く所存で御座います。どうか最後まで我らの……」


 ちょっと待て、お前たち。まさかここで死ぬ気じゃないだろうな?


 確かに、今の状況だとオレに手の打ちようが無いのは認める。

 それでも敵のうちたった一体、あのクソ大天使(アーカンシェル)のヤツだけ何とかすれば、他の下位天使(エンジェラン)なんて今のリンたちでも余裕で倒せる相手なんだぞ?


 それにお前たちエルフ全員を城へ送った後もここに留まって、ヤツらがシルヴァニア城を探しに行けないように手を打っておかないとダメなんだ。


 だがアルフィリオやクリディオたちの気持ちがそれでは収まらないのはオレも理解している。

 オレがお前たちを失いたくないと考えるように、お前たちもオレの身を案じてくれているのだな。


「よし、お前たちエルフ戦士団の力をここで見せてくれ。アルフィ率いる100名はリンの指揮下に入り敵の下位天使ども12体を撃滅させろ。クリディオは残りの100名を指揮して転送途中の仲間とドロシー、それにシンディ、ディアーネ、フェイリンが居るこの村を守り切れ。それとディアーネにはシンディの診察を頼みたい、あとフェイリンにはこの二人の最終防衛を任せるから役に立って見せろいいな? 判ってる、今回の騒動が無事に終われば、お前を含めてまだ十分な血を与えていない仲間たちにもオレの血を分けてやるからな。だから何があっても必ず全員で生き残るんだぞ?」


 皆が心の中でオレと共に戦う事を望むのでそう言ってはみたが、例え下位天使(エンジェラン)が相手とは言ってもデッドエルフですら無い生身のエルフ戦士団の者たに勝ち目は無い。


 だがそれでも戦えない者たちを守ってさえいれば、必ずクソ天使(エンジェラン)どもをリンとアルフィたちがやっつけて皆を救ってくれるはずだ。


 オレはその間あのクソ大天使(アーカンシェル)が村まで来て、直接ディアーネたちを捕獲出来ないように足止めする必要がある。

 絶対に幾許かの時間は稼いで見せるが、暗黒剣が召喚出来ない今のオレにヤツを倒す手立ては未だ見つかっていない。

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