表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界吸血鬼 ~前世も吸血鬼なんだが?~  作者: としょいいん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/93

第49話 潜入工作

SIDE:聖堂騎士団長イプシロン


 聖女の保護を最優先にしろと命じたはずなのに、彼女が俺の天幕まで運ばれて来たのはあれから一時間以上も後の事だった。


 まったく治癒術士どもの仕事の遅さときたら本当に頭に来るが、何はともあれ今は聖女が俺様の天幕の簡易ベッドに寝かされていると報告を聞いて今は上機嫌だ。

 俺様はそろそろ疲れた感じを装ってこれより後の事については副団長のヤツへ一任すると伝えてから、一路自分の天幕を目指して歩き出す。

 俺の天幕は他の者たちが使用する物と比べて、その厚みと重さが倍以上はある上質な布地に植物製の油脂を染み込ませた物で、雨水を弾くと同時に燃えにくい素材だと聞いている。

 そして外から内部の灯りとか人影が映らないようになってるのは、これから行う行為を隠蔽するにはとても好都合だった。

 

 大型天幕の入口部分を塞いでいる幌布を手で押しのけ中に入ると金属製の燭台に一本の蝋燭がユラユラと灯っており、余り明るくは無いが暖かで十分な灯火が内部の様子を照らし出していた。


 そこには戦場で部隊長以上の者だけに使用が許された簡易寝台の上に、一人の女が寝かされていた。


 それはこれまで長期間に渡って行方不明だったにも係わらず、瞳を閉じたまの美しいその容貌は俺の心の中にある嗜虐的な何かを呼び起こそうとする。


 蝋燭の光によってキラキラと柔らかい光を反射するプラチナブロンドの前髪が、まるで入浴したての後のようにツヤツヤと艶かしく見えて、聖なる女性と呼ぶには少し官能的すぎるのではないかと思った。


 いくら見つめてもその目蓋が開く事は無く、健康的で紅い唇は小さくて形も良いが今はとてもいやらしく見える。

 仰向けに寝かされている聖女の身体にはたった一枚の薄い毛布が掛けられているだけなので、彼女の身体のラインが薄灯りにくっきりと浮かび上がる様子から、その薄い毛布の下は何も纏っていない生まれたままの姿で横たわっているのを想像すると頭の芯がクラクラしてきた。


 衣服や下着のラインが全く見当たらない毛布の表面を大きく隆起した柔らかな双丘とその頂きを結ぶ尾瀬が毛布のシワによって形造られていて、今はそれが彼女の呼吸に合わせながら一定のリズムを持ちゆっくりと上下運動を繰り返していた。


 あの日教会で見た聖女の姿は純白の神官服を元にした素肌の露出が多くなる様なデザインのせいで、教皇と呼ばれる現人神の御前だったにも関わらず、聖女の姿を一目見た者たちは神聖とは真逆の感情を抱いたに違いない。


(是非あれを自分のモノにしたい!)


 あの時に夢見た聖女の身体が今、俺の目の前で無防備な姿を晒して横たわっている。


 まだ行為に及んですらいないと言うのに、俺の全身にある血管の中は限界量を超えるアドレナリンが駆け巡り、ジンジンと脳の奥からは痺れるほどの歓喜が湧き起こっている。

 これまで他の者の目に晒した事の無い、まだ清らかで男を知らぬであろう乙女の肉体を、これからゆっくりと時間を掛け存分に嬲り尽くしてやるとしよう。


 そして俺様の目から今も聖女の身体を隠している邪魔な薄い毛布を、一気に引き剥がすべくその端に手を掛けた。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


SIDE:闇の聖女ディアーネ


 御方様から今回の作戦を聞いた私はドロシーさんの転送魔法によってリンと二人、人気の無い森の中へと送られて来ました。


 これから二人で以前に所属していたアルニード教国軍の中枢部へと潜入して、内部から撹乱するのが私達に課せられた任務という訳なのですが……。


「こんなにキレイな服を着たままだと、絶対に怪しまれるよね?」


 あの日、御方様に救われて一緒に不死者となった時から勇者であるリンの性格が大きく変わった様な気がします。

 以前のリンであれば、自分の意見があったとしても他の者たちからそれを求められない限り彼女から積極的にそれを口にするという事は極めて少なかったのです。


 今から思えばリンは明るく元気な女の子ではありましたが、勇者として人間社会の重責を胸に秘めていた事が彼女の人格形成に大きな影を落としていたのは間違いありません。


 本当はエルフや獣人たちを力で屈服させて奴隷にする等といった行為は、彼女の理念とは正反対の行動だったにも関わらず、教会から放り出されてしまえば寄る辺の無い私達は心の目を閉ざし亜人たちの悪行にのみ目を向ける事で、何とか精神のバランスを保っていたのです。


 そんなリンですから、私の様に心から望んでいなかったはずの二度目の人生において、これほど明るく毎日を楽しむかの様に生きてくれる姿は私にとって何物にも代え難いモノでした。

 

「せっかく、御方様から賜った『闇の聖女』の衣装をこの手で汚すなんて、あり得ない選択肢です」


「ディアならそう言うと思ったから、ちゃーんと教会に居た頃の古い服も持ってきてあげたよ?」


 私達二人は、御方様やドロシーさんたちのように異次元収納スキルを持ってはいませんから、ショコラさんから頂いた小さな異次元ポーチの中に私物を入れてあります。


 もう二度と着る事は無いと考えて、私が以前に着用していた聖女のドレスはシルヴァニア場の自室にあるクローゼットの中に仕舞ったままだと思っていたのですが、リンが言うには地下にある温泉の脱衣所で私が脱ぎ捨てていたのを回収したまま、今まで忘れていたそうです。


「こっちの服なら、汚してしまっても良心は傷まないでしょ?」


 とても晴れやかな笑顔を浮かべながら、あろう事か私がこれから着替えるはずの聖女のドレスを地面に落として、彼女が自慢するスラリと美しい脚の先でグリグリし始めます。


「ちょ、リン!私の服に何するのよ?!」


「だって、こうして今まで行方不明だった感じに汚しておかないと、ディアが大好きなロードくんの命令に支障が出てもいいのかな? かなw?」


 まだこの森の中では魔力の使用を控えなくてはいけない状況ですが、魔力感知がほぼ不可能だとされる無属性の結界魔法でドヤ顔をしたリンを弾き飛ばしてやります。


挿絵(By みてみん)


「グエッ!!」


 こと戦闘においては聖女を上回る能力を持つ勇者ではありますが、子供の頃からの刷り込みと聖女スキルの万能さによって、これまでのリンとの勝率ではほぼ完全に私が勝っています。


 地面に向かって顔から突っ込んだせいで上半身を伏せたまま膝立ちとなり、小さく形の良いお尻がポッコリと浮かんだ姿勢となってまいすが、誰が見てもうら若き乙女が見せてはいけない格好になってしまっていますね。


 そして私はリンが着替えるはずの服を彼女のポーチから取り出し、先ほど出現させた結界のエッジ部分を利用して布の面積がチョビットだけ少なくなるように加工を加えておきます。


「ちょ、ディア! ボクの服があぁ!!」


「遭難していた勇者様がご帰還あそばされるのですから、これくらいは摺り切れてないと不自然よね? それから地面で汚れを擦り付けてから……、あと何か魔物の死骸か糞でもいいから臭も付けておけば説得力が増すわねw」


挿絵(By みてみん)


 流石の私もコレには少しやり過ぎた感じがしてきたので、最後には洗浄魔法で少しだけキレイにしてあげます。


「さ、早く着替えて準備を済ませておきましょうか」


「え、ちょっと待ってよディア。ボクの服がイロイロと見え過ぎてしまってるんだけど……」


 最初に手を出したのはリンの方なのですが、流石に最後はチョットだけやり過ぎたかも知れませんね。ですが、あれくらいボロボロであれば大根役者リンの演技でも信憑性が増すと言って説得します。


「ほら、つべこべ言ってないで早くしましょう」


 リンはいつも自分の胸をチッパイと自虐してますが、それは私のメロンが常に眼の前にあるからであって、Cとは言わないけどB+くらいはある彼女のサイズを一般的な女性のサイズだと明言しても、誰も文句なんて言って来ないはずです。


 両手で胸とアソコを押さえながら私の後をヨチヨチとついてくるリンの姿は、理性が怪しいあの国の兵士たちに見つかればイロイロと危ないかも知れません。でも、もしそうなったとしても、今のリンを力ずくでどうこう出来る様な者なんてここには居ないはずですから大丈夫ですよね?


 ある程度まで森の中を進んでから、無色透明の結界を私の後ろでハの字型に展開させて、こちらへ伝わって来る音が私に集まって来る様に準備を済ませます。


 その空気の振動がより大きくなるように空気を圧縮して密度を上げてから、最後に自身の耳にも魔力と意識を集中させます。

 こうすれば普通の人間の数百倍の聴力を持つ吸血鬼イヤーが更に数十倍の能力向上となり、意識を向けた音の全てを脳に伝える事が可能となるのです。


(これを教えてくれたドロシーさんって、やっぱり天災クラスの魔道士ですわね)


 一気に押し寄せて来る騒音と喧騒の中から、私が探す音は直ぐに見つかりました。


 それは言葉のアクセントとかイントネーションから話している人物の出身地を特定するのですが、教国訛りの言葉を話す者を探せば良いだけの簡単なお仕事でした。

 彼らは私が以前に所属していた教会の聖堂騎士と呼ばれる者たちで、騎馬での移動をしていますから後ろから追いかけても徒労に終わってしまいます。


 それから更に彼らの声に耳を澄ませていると何名かのエルフを捕らえる事に成功したようで、これからその奴隷たちを連れて本隊まで帰投すると聞こえてきましたから、これはチャンスです。


 私とリンは馬の足跡がまだ新しく残されたままの小道のすぐ近くに腰を下ろしながら、ただひたすらに敵兵たちが戻って来るのを待つ続けます。


 すると騎馬の蹄の音が段々と大きくなるのが聞こえて聖堂騎士たちが戻って来たのを知り、まだ向こうから見えないうちにこの湿った地面の上に身体を横たえて行き倒れたフリをしておけば、下生えの少ないこの場所なら馬上からでも必ず発見して貰えるはずですから後は彼らの到着を待てば良いだけです。


 こうして私とリンは教国軍に保護されて最初は治癒術士たちが居る救護班へと搬送されますが、その診察が終わると何故か私一人だけが戦場で使用するにはやや大型で分厚い布地で造られた上質な天幕の中へと運ばれます。


挿絵(By みてみん)


 そこでは女性の看護師たちに衣類を全て脱がされ全身を隈なくお湯で拭かれてから、薄手の毛布を一枚だけ掛けられてそのまま放置されたのですが……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ