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異世界吸血鬼 ~前世も吸血鬼なんだが?~  作者: としょいいん


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第41話 次なる侵攻軍

 カイたちの居たダンジョンの管理をミルクに一任してから、また別のモンスターをスカウトすべく新天地を目指して飛び立ったオレたちだったが、風の勇者であるフーカたちが住むエルフ村に次の危機が迫りつつあるとショコラから緊急連絡が入る。


《マスター、アルニード教国からまた新たな十字軍が編成され、エルフ村を目指して進軍している様子が確認されました》


 ユウとメイが居たドラフの街でクソ天使の軍団と戦った時に、聖女ディアーネの姿を見られていたから、もしかするとあの事が元でオレとエルフ村の繋がりがバレた可能性もあるな。


「敵軍の規模は判るか?」


《現在確認中ですが、その数およそ一万くらいだと推測されます》


 以前に侵攻して来た時は、確か二千人くらいの規模だったと記憶しているが、勇者と聖女と英雄剣士二人がまとめて殺され帰らぬ人となったので、今度は用心して以前の五倍もの戦力を整えて来たというところだろう。


「リンとディアーネの二人は、このままエルフ村へ向かいアルフィリオたちと合流して、村の防衛準備を進めながらオレの到着を待っていてくれ」


「ロードくんと離れるのはあれだけど、エルフ村と言えばこの前ボクたちが襲撃したところだよね? もし今度の侵攻理由がボクとディアだとしたら行かない訳にはいかないかな」


「では御方様、私もリンと共に行って参ります」


「主殿の事は妾に任せておくが良いぞ」


 二人と別れたオレたちは方向転換して進路を南に向け、アルニード教国へと向かう。


 魔の森を南下して街道筋を避けながら森林地帯の上空を飛行し直接国境を越えれば、人目につかずに教国へと侵入する事が出来る。


 まだこの付近に街は存在していないし、敵の軍勢に見つかる事も無く、オレとシンディは更に南にある教国首都を目指して飛び続けた。


◆◇◆◇◆


SIDE:ジョゾルゲ枢機卿


 将来の教皇と成る為の布石として、大量の奴隷を仕入れて選挙資金を集めておかなくてはならないというのに、此度の失態は由々しき事態じゃ。


 たかだか500匹ほどのエルフどもを狩らせる為に、態々2000人以上の兵士たちを差し向けたにも係わらず、多大な犠牲を出して何の成果も無いまま手ぶらで帰って来るとは何と言う無能揃いなのか。


 ワシが苛ついておるのはそれだけが理由では無い。


 あのハインリッヒ教皇猊下の犬であった勇者と聖女の元に、聖堂騎士団長と剣聖の二人を潜り込ませておいたと言うのに、そ奴らまで行方不明とは一体何があったと言うのじゃろうか?


 あの二人には何か起こった際に責任の全てを勇者に被せて断罪し、後に残った聖女をワシの所まで極秘裏に連れて来るよう密命してあったというのに忌々しい。


 そもそも教会が持つの崇高な目的を達成する為だけではなく、お飾りの王家と俗人ばかりの貴族たちにも手柄を立てさせてやろうと思ったのが、そもそもの間違いじゃった。


 聖堂騎士団長のアビゲイルは失ってしまったが、ここは副団長のイプシロンに恩でも売っておけばヤツもこのワシに忠誠を尽くす事じゃろう。


 しかし、あの生意気な勇者がそう簡単にくたばったとは思えぬし、もしそうなら聖女も無事だと言う事になる。


 今の教会にも聖女候補なら多くいるが、神から信託を受けた正式な聖女はアヤツ一人しかおらぬから、あの女を捕らえて薬でワシの言う事を聞かせ、次の教皇選挙で市民たちへの広告塔とする必要があったのじゃが計画を練り直さねばならん。


 とにかく今は選挙準備の為に金が必要じゃから、一刻も早く次の十字軍を組織してエルフどもを捕らえて懇意にしておる奴隷商たちに売り飛ばして金を貢がせねばならん。

 そしてエルフどもの村を次の奴隷狩りの為の拠点として整備し、そこから更に奥地にあると言う奴らの本国まで攻め登るのが今回の作戦の役割じゃった。。


 エルフどもの国を攻め落としてそこを彼奴らの牧場にさえ出来れば、今後は永続的にエルフの奴隷が手に入るのじゃから、その資金で更なる十字軍を編成し魔族領まで切り取る事が出来れば、魔族領へも攻め入って奴隷にしてやれば、ワシの偉業は伝説となり教皇の座に就いた後も語り継がれたと言うのに……。


 ささ、こうしてはおれん。


 今度は聖堂騎士団を筆頭に万を数える軍を組織せねばならんから、早く奴隷商人どもを呼びつけ株を買わせて金を用意し、王侯貴族どもに再度の兵士を供出させねば。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


SIDE:モブ傭兵の一人


「はぁ〜、ホントつまんねぇ……」


 勇者と聖女様が共に行方不明になり、それがアルニード教国内でとても大きな問題として取り上げられて国中が一時騒然となったのは、かれこれ二ヶ月くらい前の事だった。


 教会では元老院の枢機卿たちが聖堂騎士たちに緊急召集をかけると同時に、国内の有力貴族や冒険者ギルドにも緊急の協力依頼を発令したから、かなり短い期間でそれなりの人員にはなった。でも規模はそこそこの頭数だとしても、こういった急拵えの軍で士気が低いのはいつもの事だ。


(俺たちだって報酬が良かったから参加しただけだしな……)


 一万を越える軍団を編成するのに最低でも一年くらいは掛かると言わてるのに、たったのニヶ月で集める事ができたのは理由があって、それはエルフの森に魔王が出たと神の神託があったと専らの噂だとよ。


 嘗て人類共通の敵として世界にあるほぼ全ての国が結集し総力を挙げて討ち倒したはずの魔王が、約千年の時を経て蘇って来たという話しだが、これが本当ならたったの一万ぽっちの戦力じゃどうにもならないだろ。


 それにただ人数を集めただけのこの軍は、とても正規の軍隊と呼べるような状態では無く俺たち傭兵部隊への命令系統すら良く判らない状態なのは、聖堂騎士団と教会兵団の関係が上手く行っておらず、こっちまで気が回らないのだろう。


 普通は軍編成の前に何度も会議を重ねてから実際の運用について問題が無いかについても訓練等を実施し事前に確認しておくのが通例であるにも関わらず、千年ぶりに出現した魔王の手柄を他国に横取りされない為だけに焦るように出撃を急いだとしか思えない。


 なので今回の遠征軍では組織内人事だけを口頭で伝えられて、行軍の途中で各部隊の連携を確認するとか言う話しなのだが嫌な予感しかしねぇ……。


 それでも俺たちが傭兵ギルドからの要請で参加したのは、この圧倒的多数の戦力でエルフ奴隷を捕まえ放題みたいな条件を聞かされたからで、もしこの作戦が本当に上手く行ってエルフの国ごと奴隷にする事が出来れば、これほど旨い話しはないからな。


「ナムファ、なにブツブツ言ってるのよ」


「いや何でもねぇ。お前こそヒマそうじゃねぇか、何なら最初の野営地で可愛がってやろうか?」


「ばっかじゃないの? 誰がアンタなんかと」


 この口が悪い女は教会から派遣された神官の一人で名前は……何て言ってたかなぁ、そうだアリアだ。


 スタイル抜群とは言えねぇが、教会のモヤシ女たちと比べりゃあ良い方だと言っておこう、顔もまぁまぁだしな。

 でも教会の中しか知らずに育ったアカ抜けない感じが、そこらの商売女しか知らねぇ俺にはちょっと新鮮な感じがして良いんだが、ちと身持ちが固くていけねぇな。


 今回の依頼は教会の騎士団の応援をする訳だが、俺たちみたいな傭兵の仕事とは敵の索敵や罠の探知と解除、それと夜間の見張りが主な仕事だと聞いている。


 期間は約一ヶ月くらいで最初に数百人規模の村を占領してから、魔の森の奥地にあるエルフたちの国を攻め落とし、そこを侵りゃ……教化して、毎年一定人数の奴隷を供出させる牧場として存続させるのが目的らしい。

 後はそのエルフの国を更なる侵略拠点として整備し、最終的には魔族領まで侵攻して獣人や魔族たちも捕らえて奴隷に落とし人間社会の発展に貢献させるんだとさ。


 だから俺たちが所属する『ポラリス傭兵団』のように、傭兵ギルドでも顔が利くレベルのパーティやクランには軒並み声が掛けられていて、参加条件の一つに貴族たちの部隊と同様に略奪したモノについてはその所有を認めて貰える事が大きい。


 何しろ魔族領にはエルフとかドワーフ以外に、獣人族の他にもまだ知られていない魔族たちがたんまり居るという噂だから、エルフの国を攻め落としてからが本当の稼ぎ時となるとも聞いている。


 アルニード教国では人間以外の種族については全てが魔族かそれに連なる悪の種族とされており、あいつらに何をしても許されるから本当に良い国だし、これから行う奴隷狩りこそこの国の基幹産業だと言っても良いくらいだからな。


「ナムファ、お貴族様の部隊長がギルドのパーティリーダーを招集してると言ってたから行って来てくれるか?」


「判ったよアーディ、俺が離れてる間は、そこに居る神官様の護衛を頼んだぜ」


 そう言ってから、俺はパーティメンバーたちと離れて貴族の部隊長の元へ向かった。

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