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異世界吸血鬼 ~前世も吸血鬼なんだが?~  作者: としょいいん


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第36話 北北東に進路を取れ!

 そうそう、地下迷宮(ダンジョン)の防衛計画を練ってる最中だったよな。


 それでショコラから魔族領の奥地へ行って色々な魔物や魔獣をとっ捕まえて、うちの地下迷宮(ダンジョン)で放し飼いにすれば、こいつらを狩りに冒険者どもがノコノコやって来るだろうから絶対に全滅させないよう適度に手加減して逃がしてやれば、魔物素材に味をしめたアホどもがリピーターとなるサステナブルなダンジョン運営をしようと言う立派な計画(プロジェクト)だ。


 それで今城に居る配下の中からメンバーを選定する訳だが、今回の目的地が魔族領奥の未踏の地でドロシーの転移魔術が使えないため、飛行能力に優れたリンとディアーネとシンディの3名をメインに攻略メンバーを選んでるところだ。


 最近の冒険者ギルドで特に依頼が多い素材とか、それらを剥ぎ取れる魔物の情報についてはソドモラの街に居るユナとメイの両名に調べて貰うように頼んであるから、冒険者が探してる魔物を見つけたら直ぐにとっ捕まえて城まで護送する準備も全てショコラに一任してあるから、早速だが城の窓から大空へと飛び立つ。


 まだ朝の早い時間なので、涼しげな澄んだ風を翼いっぱいに受けながら上空まで一気に上昇するのは、ある程度の高度があった方が飛行しやすいという理由もあるが、地上から発見される可能性を少なくする為でもある。


 ショコラのナビで北の空を目指して飛び続けるが、まだ途中だし目ぼしい魔物は居ない。そう簡単に獲物が見つかるなんて安易に考えてはいないが、それでも何か珍しい魔獣とか居ても良いと思う。


 魔族領の西側ならシンディたちサッキュバスの勢力範囲(テリトリー)のはずなので、早速彼女に何処か変わった場所とか異常な土地に心当たりが無いか尋ねてみると……。


「そう言えば妾たちサッキュバスの街で、ここだけは絶対に近寄ってはダメじゃと言われてる場所なら無い事もないのじゃが……」


 シンディの話しによると、その場所には今から約千年くらい前まで人族が住んでいた街があったと伝わっているが、その街が何故滅んでしまったのか理由までは判っていない。

 ただ、その地に居るだけで精神に異常を来すらしく、余り長い時間そこに留まってはいけないらしい。

 シンディが言うには何か強力な呪いが掛かった土地らしく、あの廃墟に強い恨みを抱いた何者かの怨念が今も消えずに残っていて、人々が完全に居なくなった今でも嘗ての恨みが消えずに残ったままになってるのが原因ではないかと彼女は言っていた。


 人族と比べるのも烏滸がましいくらい長寿のサッキュバスたちが、高々千年くらい前にあった街の事を知らないのは不思議に感じたがそれもそのはずで、その当時この辺りはまだ人族連合の生存圏だったらしく、その頃はサッキュバスに限らず魔族領が遥か地平線の先にあったというから知らなくて当然だろう。

 彼女ら曰く『少し前』からこの辺りへ入植して、サッキュバスの先代女王が陣頭指揮に立ち今の地下都市を整備して行ったのだと聞くが、彼女たちの言う『少し前』が一体どれくらい前なのかイマイチ良く判らない。


「ロードくん、ボクもシンディさんの言う場所へ行ってみたいな」

「御方様、そこに何かありそうな予感がします」


 シンディに先導されて深い森の樹海上空を小一時間ほど進むと、一面の緑の中にポツンとそこだけ樹木が一切生えていない直径20キロくらいありそうな、かなり昔に滅びたと思われる廃墟が見えてきた。


「あそこじゃ」


「本当に瓦礫以外は何も無いんだね……」

「もの凄い量の瘴気が、この地に閉じ込められたまま渦を巻いてるように見えます」


 ディアーネが感じ取った瘴気の正体は正しく『死の呪い』で、呪った相手が個人なのか集団なのかまでは判らないが、どう考えても呪われた相手が既にこの世から亡くなっているのは間違い無い。

 それなのに、まるで今始めて呪いが発動したばかりにような生々しい死が廃墟一帯に立ち籠めているのは何か理由があるに違いない。


 普段であれば、こんな禍々しい場所の探索なんてバカバカしくてマジメにやってられないとスルーするのだが、吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)のオレですら見過ごせないほどの『死の臭い』が漂うこの場所から、嘗て死を覚悟し、そして受け入れた者が残した言葉にならない声が聞こえた気がした。


「下へ降りるぞ」


 細かい説明はせず、それだけ言って先に地上へと向かうと、オレが来るのを待ちわびていたかのように大地が鳴動し、地面がひび割れ、深淵の渓谷がその姿を現す。


「ロードよ、これは何かの罠かの?」

「ロードくん、これって絶対何かの罠だよ……」

「御方様、あちらにゲートらしき光の靄があります」


 罠であれ何であれ(かつ)てその場所で非業の死を迎えた者が居て、今も誰かの来訪を待ちわびてるのだとしたらオレに行かないという選択肢はない。


 その深さ故に太陽の光が下まで差し込まない地面の深い亀裂。


 その中で仄かに灯る青白い光の靄を目指してオレたち4人は更に下へと降りて行き、光る靄のようなゲートへ飛び込むと、その内部は太古の地下都市になっていたのだが……これは滅びた街が亡くなった人々の怨念を力の依代にして産み出された地下迷宮(ダンジョン)に間違いない。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


「貴方方は神の使徒ですか? やっと私たちの罪が赦されて魂の輪廻へと返して頂けるのでしょうか?」


 地面の底にあった街の中央に聳え立つ塔の、地上20階にあったボス部屋を抜けて次のフロアへと続く階段を登ると、そこには一人の女ゴーストが立ってオレたちを待っていた。


「神の使徒とは勇者の事か? 勇者なら確かにここに居るリンがそうだが、お前たちの罪とは何だ? それと、ここには聖女も居て浄化魔法も使えるから、詳しい説明を聞かせてくれるなら何か力に成れるかも知れん」


 するとゴーストの女はこの塔の過去を語り始めた。

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