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異世界吸血鬼 ~前世も吸血鬼なんだが?~  作者: としょいいん


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第31話 緊急乙女会議

SIDE:闇の聖女ディアーネ


 皆様、これは由々しき事態です! 嵐です! 大嵐の予感がします! これまで御方様が女性に対してご自分から行動を起こした事など、これまで無かったはずですが、シンディ様の出現によって私たちの序列が入れ替わろうとしています!


 これは一大事です!!


 早速ですが、ここで花嫁候補を希望する方たち全員による緊急乙女会議を開催します!


 日時と場所は本日正午よりシルヴァニア城5階にある大会議室にて執り行います。


 尚、本会議に欠席をされた方は会議参加者による多数決に対して、後からクレームを受け付ける事は出来ませんので、予めご了承下さいますよう宜しくお願い申し上げます。


 こうして結局のところ、この城に居られる全ての女性たちが揃いましたので会議を始める事となりました。


 念の為メンバーを申し上げますと、私こと闇の聖女ディアーネ、光と闇の勇者リン、闇神官プリンさん、地獄の賢者ドロシー様、ドッペルゲンガーのユナ様と双子のメイ様、最後に今回よりこの会議にご参加頂く事となりましたサッキュバスのシンディ様で、ショコラさんを除いた計7名のご参加となりました。


 先ずは現状確認として『吸血鬼(ヴァンパイア)花嫁候補(フィアンセ)』の称号を所持しているのは、私とプリンさんの二人のみです。


 私がこの『吸血鬼(ヴァンパイア)花嫁候補(フィアンセ)』というレアな称号を授かって、初めて気づいた事があります。


 それは、この称号から『候補(フィアンセ)』が取れた本当の『花嫁(ブライド)』へ無事にクラスアップした暁には、例え不死者(イモータル)の身体であったとしても、身も心も捧げた相手の方との愛の結晶を授かる事が可能になるということです。

 その感覚は初めて聖女の能力を授かった時と同じく、自身の能力について誰にも教えられる事無く自然とその能力の使い方が判った事と似ていますね。


 ですから私が『吸血鬼(ヴァンパイア)花嫁候補(フィアンセ)』となった時、自身のお腹の中に子供を授かる為の器官が準備されつつあるのを、下腹部に花嫁候補を示す紋様が現れた事で悟ったのです。


 普通の不死者では子孫を残す必要が無いので、体内にこのような器官は持っていないのですが、その代わり厳しい生存競争を生き残るため、別の身体機能に体内のスペースを割いているのが一般的です。


 今この城に居る『吸血鬼(ヴァンパイア)花嫁候補(フィアンセ)』は私とプリンさんの二人だけですが、プリンさんの身体は少女のまま成長が止まってますから、今の彼女の未成熟な身体で実際に妊娠と出産を行うには物理的に無理があると言えます。


 しかし、今回新たにこの城の住人となられれるシンディさんなら、近い将来に必ず同じ私と同じかそれ以上の存在となるは間違いありません。

 ただ、そうなりますと妊娠と出産が可能な成熟した大人の女性の身体を持つ『吸血鬼(ヴァンパイア)花嫁候補(フィアンセ)』が私以外にもう一人現れる事になりますから、冒頭でもお伝えしました通り、これは由々しき事態の幕開けなのです。


 何と言ってもシンディ様には、私と互角とも言えるの胸の大きさを誇っていると言うのに、リンに比肩するほど長く美しい脚を併せ持つ強敵(ライバル)です。

 もう皆様ご存知の通り、御方様は女性の美しい脚が大好物ですから、同性の私から見ても十分に美しい言える彼女の美脚は途轍もない驚異として私の目には写っています。


 それと私のライバルは、実はシンディ様だけではありません。


 不死者(イモータル)として、とてもレアな存在であるドッペルゲンガーへと進化を果たしたユナ様ですが、今の彼女の身体は十歳前後になっており、プリンさんより更に幼い身体になっていますが精神は二十歳の女性のままですから決して油断は出来ません。


 また日頃の彼女は、いつも双子の妹であるメイさんと同じエルフの成人女性の姿をしていますから、気がつけば偶然を装って太腿をチラリとアピールするなど気の抜けない相手です。

 その上妹のメイさんまで『吸血鬼の花嫁(ヴァンパイアブライド)』を目指して頑張って居られますから、元からエルフ美女が大好きな御方様にしてみれば、大好物が並べられた豪華な据え膳がダブルで運ばれて来たみたいなものです。


 もしユナさんではなく妹メイさんが先に『吸血鬼の花嫁(ヴァンパイアブライド)』となられた場合でも、ユナさんにはドッペルゲンガーのコピー能力がありますから、それを使用すれば彼女も『吸血鬼の花嫁(ヴァンパイアブライド)』に成れる可能性が極めて高く、そうなりますと『双子の美脚姉妹の花嫁』と言う激レア属性をを持つ強敵(ライバル)としてエントリーして来るのは間違いありません。


 他にも未だ子供を授かる能力を持っていないはずのドロシーさんも諦めてはいないようですから、今のうちに御方様の隣を私の定位置としておかなければ成りません!


 御方様は敵には容赦の方ではありますが、配下となった者たちに対してはそれと無く気遣う事ができるお優しい方ですから、このまま何も対策を打たずにじっとしたままでは今後も新しいライバルが増える一方だと予測されます。


 しかし私が次々と現れるライバルたちに頭を悩ませていると、ふと私の脳裏に天啓のような閃きが走り不都合な真実へ辿り着きます。


 それは私が並み居る強敵(ライバル)たちと鎬を削る骨肉の争いを繰り広げながら御方様の隣を競い合ってる時、既にその片方が埋まってしまってる事に気がついてしまったのです!


 そのラスボスの名はショコラさん。


 彼女はこのダンジョンの(コア)であり、この城の機能を司るオートインテリジェンスだとお聞きしたのですが、それは自我を持つ剣のような存在では無く、どう見ても兎人族女性の肉体と精神、更には人の魂魄まで備えた99.9999999999999999999%までオリジナルと同じ遺伝子を持つ究極の人造生命体(ホムンクルス)です。


 御方様からはダンジョンの運営の為に仮に受肉した存在だと聞いていたのですが、どこか人間くさいと言いましょうか……女神様が創られた人工知能にしては明らかに生々しすぎるのです。


 御方様はアバターと呼ぶ仮の義体をダンジョンのコアが操作して動かしてるとお考えのようですが、私の見立てではもう迷宮核(コア)のほぼ全ての機能はショコラさんの身体の方が処理を行ってるようにしか見えません。


 そしてショコラさんには、この世界の人造生命体(ホムンクルス)では考えられないような均整の取れた肉体、そう肉体なのです。

 それがどのようにして受肉するに至ったかについては詳しく教えては頂けませんでしたが、確かに私達と同じく成熟した大人の女性の身体を持ち、私たちが居るこの城に実在する正に脅威としか言いようがありません。


 し・か・も・です! 御方様から以前に少しだけ伺ったのですが、彼がこちらの世界へ参られた時に、『耳の長い種族』であるエルフのアバターを所望したはずだったと仰って居られましたが、実際に現れたのはウサ耳の女性でした。


 彼女はご自身の事を、ただの兎人族だと言い張ってますが……私は怪しいと考えています。


 何故ショコラさんが、この世界でも美しい容姿を持つ種族だと言われるエルフ族では無く、そこで敢えて兎人族女性のアバターを顕現させたのか?


 獣人の中でも兎人族と言えば、他種族よりズバ抜けた脚力を持っていますが、それは腕力などの戦闘力で他種族に劣る彼らが、捕食者から逃げる為に脚力強化に特化した進化の過程を繰り返した結果だと言えます。


 そして脚力を発揮させる為に進化した脚の筋肉は、遺伝子レベルで見ても世界最高のランナーが持つ機能美を備えていますから、美脚のすぐ上に鎮座するお尻の筋肉についても人が走る上でバランスの取れたちょうど良い大きさに収まっていて、走る為にツンと上を向いた美しい形は太腿と繋がって女性らしい身体のラインを殊更美しく飾り立てています。


 それはもう猿から進化したと言われる、私たち普人族では到達不可能なレベルで……。


 とにかく彼女の長過ぎる美脚は勿論脅威なのですが、あの発達したムチムチの太腿の内股にはちゃんと隙間がありますし、ムチムチした太腿に対して脹脛や足首など他の部位の造形も美し過ぎるのです!


 私の目から見たショコラさんの姿は、どう見てもウサ耳を付けた人族の女性にしか見えませんが、彼女の脚線美はどう見ても普人族のそれではありませんし、ありえません。


 ですが何故ショコラさんが兎人族女性の美しい脚を持つ人族女性の姿になったのか? 確証はまだありませんが、その理由なら私にも想像する事ができます……が、今ここで公言はしないでおきましょう。


 それがお互いの為だと思いますので……。


 結論として、今回の会議の趣旨は一見すると御方様の隣を誰が埋めるのか? と言った不毛な争いをいかに早く収めて、私たち猿から進化してしまった体型を共に慰め合い、いずれ私たちの前に高い壁として立ち塞がる共通の最後の敵(ラスボス)に対して、これから如何にして対抗すべきかについて前向きな議論を進めて行かねばなりません。


 これは時間との戦いなのです。


 それは御方様がいつの日か、兎人族女性のみが持つ脚線の美しさに魅入られてしまうまで……ですからそれまでに残された僅かな時間だけが、私たちに猿から進化した人型女性に残された本当のタイム・リミットなのですから。


 そして私たちが最初に話し合った会議の中で比較的合意を得やすかったのは、皆様の部屋割りをどうするのか? と言う議題でした。


 その誰もが「御方様の隣が良い」と声高に主張されますが、現時点において『吸血鬼(ヴァンパイア)花嫁候補(フィアンセ)』の称号を持つアドバンテージを盾にして私とプリンさんが両隣を希望し、その向かいの部屋をシンディさんが希望しておられます。

 ユナさんとメイさんは今もあの時の客室に居られますが、ドロシーさんなんかは御方様と同室が良いと言って聞かなかったので、あーでも無い、こーでも無いと会議が紛糾して時間ばかりが無駄に失われて行きます。


 そして大会議室が吹き飛んでしまいそうなほどの争いへと発展する前に、ショコラさんから御方様が住んで居られるシルヴァニア城最上階のレイアウトを変更されてはどでしょうか? と提案を頂きました。


 それは現在の最上階である地上20階にある全ての区画をリセットして12角形の塔に造り直し、階の中央には勿論ですが御方様の執務室兼居室兼寝室をレイアウトし、その周り全てに1枚の防音扉を挟んだだけの12の個室を設けると言うアイデアは、ここに居る皆から支持されて即時決定となったのですが、一番東側にある部屋は既にショコラさんの部屋としてちゃっかり確保されていました。


 でも今はそれを指摘出来る空気ではありませんから、このままスルーして自分の部屋が何処になるのかについて議論を進めなければなりません。


 ちなみに御方様の部屋には私達の私室へ直接繋がる12箇もの扉が設けてありますから、全ての壁に扉が設置されるといった少し珍しいデザインになっています。


 それと今回の改修工事で消費されたダンジョン・ポイントは先ほど支配下に収めたヨウマ様の地下迷宮(ダンジョン)から頂いたものらしいですから、次にまたお会いする機会があれば()()()()()を代表してお礼を言っておくべきでしょうね。


 漸くここまで話し合ったところで今回の会議は時間の関係でお開きとなってしまいますが、これからもまだまだ協議すべき議題は山積していますので、皆様には次の会合についても日程を調整して頂く必要があります。

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