第2話
ジョウ達は、軍本部へ着いた。
「やぁ、良く来てくれたねぇ、キミ達の噂は兼々聞かせて貰っているよ」
軍上層部の人間が、嬉しそうに、出迎えてくれていた。
なかなか、凄いじゃないか、流れ弾ジョウ!!
ジョウ達は、コンピュータルームへと、連れてこられていた。
「我軍が誇る、軍事用コンピュータシステム」
「CONTAC700だ。どうかね、素晴らしいだろう!」
依頼者は事のほか、コンピューターの自慢をしている。
「未だに、M/T使ってる。全部30年以上も前の旧型じゃない、バッカみたい」
「しーーっ」
パートナーAの言葉に、慌てて口をふさぐジョウだった。
「これから、IPLを行うんだが、手伝って貰えんかね」
「なんせ、人手不足でね...」
「使用するM/Tユニットは50機、装着するM/Tは400本だ」
「制限時間は10分、メッセージ表示後10秒以内にM/Tをつけないと、」
「ABENDするぞ。」
「我々は、中央監視室に居るから」
おいおい、おっさん、IPLにそんなにテープ使うか?/著者談
「もしかして、これを10分でつけるのか?」
M/T庫にズラっと並んだテープを見て、ジョウが叫んだ。
「そうだ」
「冗談だろ、400本って」
「S-VHSの水平解像度じゃないんだぞ 、EDベータは500本だけど」
ジョウは、ブツブツと文句を言っていた。
「DVDは500本なのよね」
パートナーAがこっそりと、我々に教えてくれた。
そう言っている間にも依頼者はハリキって準備に勤しんでいた。
「準備はいいかね、始めるぞ」
「ああ、OKだ.......くそっ、ホントにやらす気か?」
「メッセージの通り、付ければいいんだな」
ピッ、ピッ、
ディスブレイに、文字と数字が表示された。
JHP135 TO 47B
JRN180 TO 27C
「JHP135のテープを、47Bの装置へ、」
「JRN180のテープを、27Cの装置へ、」
「急げ!! 10秒以内だぞ!!」
ジョウとパートナーAは、M/T庫に向かって、走り出した。
「えーと、えーと、あっ、あった!」
パートナーAが、テープを見付けて、取ろうとした時、手が滑ってしまった。彼女?の使っているハンドクリームは滑りやすいのであろう。そして、テープは下に落ちてしまう。
「うわーーーーーーーーーーん!」
その声を聞きつけて、皆が集まってきた。
落としたショックで、テープのカートリッジリングを割ってしまっていた。
「ごめんなさい...」
「まぁまぁ、気にしないで まだ使えるから」
軍上層部も大したことはない、パートナーAを女と思い込み優しくする依頼者達であった。
「ごめんなさぁーい、俺も壊しちゃったぁ」
ジョウがリールの潰れたテープをもっていた。しかし、男であるジョウだ、即刻、頭にお星さまが綺麗に輝いたのはいうまでもない。
そうこうしている内に、IPLがダウンしてしまい、しかたなく…何が仕方ないのか分からんが、再IPLとなったのであった。
「うおーーーーーーーっ」
もう2人は、半ばヤケでやっていた。
それにしても、凄まじい労働である。
ガチャン! ガコン!
「JJ001、11C。JXX108、474。JR101、48E」
「JV355、475。JHI002、301。JR222、48D...」
M/Tを付ける音と、テープ名を読み上げる声が、延々と続く。
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「はぁ、はぁ、はぁ、お、おわったぁ~~」
ジョウは床に座り込んでいた。
「この分も、依頼料もらわないとね」
さすがは、パートナー金のことはシッカリしている。ジョウのいい女房になるに違いない。
ぴくっぴくっ、ジョウの耳が反応していた。
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解説 『し、しかし、本当に全部付けたのだろうか? 信じられない連中である!!』
解説 『ハッキリ言ってバカではなかろうか?』
ジョウ『なんだって?』
解説 『いっ、いや、ただ,単にほめていただけである、後は3話で会おう。』
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- 第3話へ続く -
(*1)
Initial Program Loader または Initial Program Load
初期動作させるためにコンピュータにプログラムを読み込ませること。
(*2)
magnetic tape(磁気テープ)のことコンピュータのデータや音声の記録に使用する。
鉄道の切符も磁気テープの1つだ。
(*3)
ABnormal End 異常終了 正常終了( Normal End) の反対語
(*4)(*5)
VCR(VideoCassetteRecorder)の規格。
松下、ビクター陣営が採用した大きいカセット方式(VHS方式)と
SONY陣営が採用した小さいテープ方式(ベータ方式)と存在した。