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ガイジの女の子達をまとめることになった。  作者: 真木あーと
第五章 俺だけの作戦失敗
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第1話 それぞれの結果

 俺が少尉に昇進してしばらく経った頃、つまりは親父に少佐になったら子爵を譲る、と言われてしばらく経った頃だったと思う。

 俺は狩りの際、道に迷い山を越えて隣国に行ってしまい、シーラ王国のクシャラ城に捕らえられた町人の救出命令が下された。


 その頃俺は、いい成績を上げまくっていたので、こういう特殊任務を良く任されたのだ。

 ま、そんな任務は慣れたものだ。


 俺はそれを難なく全員を救出した。

 が、そこには大いなる誤算もあった。


 救出ターゲットは民間人。

 要人でもないご老人であると、何も思わなかったのが災いした。


 彼らはほぼ全員退役軍人で、元曹長や、勲章持ちもいた。

 更に退役後村長になった人もいた。


 曹長って今では若い曹長が身近にいるけど、本来は下士官最高位であり、一緒の尊敬の念を持って称されるべき英雄でもある。

 そんな彼らを救出してしまったのだ。

 軍国主義のこの国では、退役軍人、特に勲章持ちや曹長には一定の敬意を払っている。


 俺は直感的にまずい、と感じた。

 このままでは、また勲章を与えられて昇進してしまう、と。


 俺は信頼できる部下の軍曹に、手柄を全て貴官のものにするから、と頼み込んだ。

 驚く軍曹は、それでも了承してくれた。

 口の堅い、信頼できる奴だったので、俺も安心した。


 安心したのだ、信頼できる部下だったから。

 しかし、だ。

 その部下は「こんな名誉な勲功を、代理で受けるわけにはいかない」と、俺の勲功だと言ってしまったのだ。


 そのおかげで俺は勲章を授与され、中尉に昇進した。

 手ひどい裏切り。

 だが、「こんな素晴らしい上官を持って私は誇り高い」と言わんばかりの笑みを見ると、俺もそいつを責めることが出来なかった。



 それで、今回の事になるんだけど。

 ちょっとまずいことになった。


 この国の英雄である少佐を助けたんだ、そりゃそうなるだろう。

 誰もが、大元帥ですら救えなかった少佐を、俺たちは救ったんだ、そりゃあ勲章級の手柄だ。


 それだけじゃない、テロの鎮圧、魔法使いを含む特殊部隊の壊滅、その一つ一つが勲章をもらってもおかしくはなく、それら全てが一連となれば、特別に二階級昇進すらあり得てしまう程の、「英雄」クラスの功績だ。


 でも、俺はそれらに関しては、優秀な部下たちの功績として譲る算段は出来ていた。

 ……はずなのだが、彼女たちは、あっさり裏切った。


 トゥーリィに関しては単純だ。

 「先輩は少佐になったら結婚しなきゃならないんですよね? だったら私が結婚してあげますよ」って理由だ。

 本当、この子だけは信じちゃ駄目だ。


 いや、結婚出来るならして差し上げますよ、俺は!

 トゥーリィは、恋愛脳が行き過ぎな以外は、出来のいい、躾も出来ている、しかも可愛い女の子だ。


 頭脳に関しては、まあ経験不足の無知を除いては俺よりも鋭いところもあるし、俺がいなくなったら、この隊を任せても、ちゃんとやって行けそうだ。

 曹長とは仲も悪いが、俺がいるからってだけで、俺がいなくなれば、まあ、ちゃんとやって行ける奴だろう。


 これが生涯の妻となるって言うなら、俺だって頼み込んで結婚してもらってもいい。

 スティー伯爵令嬢なら良縁だし、それが確実なら俺は喜んで少佐に、そして、トゥーリィの夫になってやろう。


 が、うちの親がそれを認めなかったとしたら?

 もしくはスティー家の当主が認めなかったら?


 そうなったら俺は、どこの誰とも分からない女の子と結婚することになる。

 それが嫌だから、って何度も説明したんだが……最後まで理解してくれなかった。


 そしてトゥーリィは俺に押し返す。

 この攻防、一番手痛かったのは、曹長がトゥーリィ側に付いたことだ。


 まあ、彼女は別にトゥーリィに協力したわけではなく、俺の事を心の底から尊敬してくれて、俺の功績を熱く上官に語ってるのだ。

 まるであの時の軍曹のように。


 で、最終的に勲章を授与された。

 これはぎりぎりまでの押し問答があって、なんとか隊員全員、という事になった。

 が、俺は大尉に昇進してしまった。


 で、トゥーリィは少尉になった。

 何もしなくても、まあ、准尉から少尉なんて簡単になれるし、それ以上の事は少なくともこの子はしたからな。


 で、もちろん俺とトゥーリィの攻防は隊全員に影響した。

 結果、まず、スプラ伍長は軍曹に格上げになった。


 任命は下士官人事担当のオルティからだったんだが、それを聞いた彼女の最初の言葉に、俺はよく吹き出さずにいれたと思う。

 だってさ「それで、お給料はおいくらになりますか?」なんだよ。

 いや、分かるよ、知ってるよ、彼女の家が貧しいって事はさ。


 でも、さすがに任命最初にそれはないだろう。

 俺の方からオルティに「隊長として後で言い聞かせますので、この無礼をご容赦ください」と言っておいた。


 アルメラス軍曹はさすがに昇進しなかった。

 まあ、軍曹から曹長はかなりハードル高いからな。

 今でこそ軍曹の一階級だけど、元々三、四階級あるからな、軍曹って。


 俺も口下手な彼女こそ格好の標的として、功績をかなり盛って伝えたから、曹長くらい行くかと思ったが、これまでの経歴もあるので、ギリギリ昇進はなかった。


 とはいえ、内部的な階級は上がっているので、給料は上がったようだ。

 それで満足だったのか、不満だったかは、無表情で無言だったから全く分からないが。


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