第16話 作戦成功!
これから砲弾が来るのが分かっている。
ならば、俺のすることは一つ。
「砲弾発射!」
トゥーリィを、曹長を守る。
そのために、この重い鉄の塊を受けるだけだ。
「ふんっ!」
がきん、という大きな音と共に、バトルアックスは崩壊。
手が、思ったより痺れた。
だが、軌道を反らすことには成功した。
砲弾の集中して 秒数を数え忘れたが、あと少し、矢を払い続ければ──。
「うぁっ!」
油断。
俺は砲弾に集中し過ぎた。
手も、若干痺れていた。
だから、その直後に射かけられた矢を弾き切れなかった。
来るのは分かっていて、避ける事なら出来たが、俺は、背後に矢を通すわけにはいかない。
だが、腕へ当たっただけなのはまだ幸いだった。
ああ、そうか、砲弾を避けるために、弓方がこっちに移動して来たのも原因か。
片手で、この人数はきついな。
あと何秒だ?
もう、長くは──。
「爆発的な劫火!」
トゥーリィが叫ぶ。
どん、と大きな音が響いた。
突風が俺たちの周囲を巻き上げた。
高い壁は一瞬で火の海になり、おそらく弓方は即死するレベルの勢いだ。
「待避開始! 全隊員及び少佐殿はこちらに!」
火の勢いは、劫火と呼んでもいいほどだ。
その中心にいるのに熱さはほとんどないのはトゥーリィの魔法のおかげか。
とは言え、どこから何が飛んでくるか、もはや見えない。
野外の衛兵は全滅したはずだ。
後は一刻も早くここを去らないと。
少佐が俺たちの元にたどり着いた。
後は……ていうか、まだ二人来てない!
何してるんだあいつら!?
「ああもうっ!」
劫火に戸惑っている伍長と、この局面でも相変わらず悠々と歩いている軍曹を、俺が戻って両脇に抱えて連れて来た。
腕怪我してるから、物凄く痛いんだけどさ!
「先輩、それ好きですね、さっき私にもやりましたしね」
「急いでるからだよ! 早く」
「はーい」
トゥーリィが暢気にそう応え、俺たちはその劫火の中から飛び出した。
「先輩、傷の治療しますよ?」
上空を高速で飛びながらそんなことを言うトゥーリィ。
いや、お前は慣れてるかもしれないけど、俺は結構きついんだぞ、これ?
「腕ですよね? 見せてください」
俺が答えないままに、腕をめくられ、傷口を──。
「何で舐めてるんだよ!?」
「いえ、毒とかついてたかも知れませんし」
「毒なら吸えよ! それに、お前なら毒も解毒できるんだろ?」
俺が訊くと、無言の微笑みで肯定するトゥーリィ。
まあ、今日に限って言えば、この子は大活躍だったから、これくらいはいいけどさ。
「ありがとうな? 今日は何もかもお前のおかげだ」
「え……?」
トゥーリィは信じられない、という表情で俺を見る。
「正直なところ、俺はお前をなめてた……いや、そのなめてたじゃなくて。まあ、お前は優秀な部下だよ。これからも頼む」
「はいっ!」
そして、満面の笑みを浮かべた。




