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ガイジの女の子達をまとめることになった。  作者: 真木あーと
第一章 ガイジの問題ある女の子たち
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第4話 焦りがないわけじゃない

 そもそもの話、佐官以上になると、貴族ですら家柄が関係してくるんだよな。

 「貴族の爵位より軍の職位」ってのは本当だけど、軍の職位で昇格するには、貴族の家柄が割と関係する。

 俺だってさ、「将来は大元帥になる」って言ってるけどさ、子爵の息子、将来の子爵がなることなんて、それこそ平民が少佐になるよりもはるかに難しい。


 そもそも、元帥ですら皇族ばかりだし、生まれた時から将官の皇族がいるわけで、それに対抗して行かなきゃならないわけで。


 それはともかく、平民であるノイテアが、俺と同じ歳で騎士爵を得るまでに至るというのは、はっきり言って異例中の異例、おそらく史上初の事態だ。

 何しろ数年前、同じく平民から騎士爵を得た少佐がいたけど、その人は対シーラ王国戦線の英雄とされてる人だからな、年齢も四十後半くらいだったし。


 その英雄と同じ地位に、俺と同じ十七歳で登ったノイテアは正直、凄いとは思う。

 まあ、兵士養成所を出て、伍長から少佐になったその人と、少年士官学校卒で准尉から少佐になったあいつは少し違うんだがな。


 その少年士官学校も、基本的には「将来、軍の幹部となる貴族の子弟を若いうちから教育するための施設」として、十二歳から十五歳まで通う学校だけど、俺みたいな貴族の息子は、行きたいと言えば行ける。

 というか、入学はほぼ義務だ。


 だが、平民は難関試験を突破しなければ入学すら出来ない。

 つまりは生まれながらに格差はあるのだ。

 俺だって、まあ、まともに昇進していれば、今頃は中佐になっていただろうな。


 これは負け惜しみじゃない。

 俺はこれまで、さんざん手柄をもみ消し、部下に押し付け、昇進をしないよう、努力してきた。

 それに俺の場合、少佐になれば自動的に中佐になることが決まっているんだ。


「ま、あいつはともかく、お前の事は応援してやるさ。俺が人事で信用されている限りはな」

「ああ、悪いな」


 その辺りを理解してくれる親友が人事にいることは本当に幸運なんだろうな。


「で、外事警察隊ってのは、国内の滞在外国人やオルジリア人以外の民族の国民を監視して、テロや外患誘致を起こさせないための少数精鋭部隊だ。……とは言っても、まだ何をするかさえ決まってねえ、それを含めてお前で決めていい」

「えらく曖昧な部隊だな」

「中将閣下の思い付きだからな。で、苦労させられんのは俺たち人事なんだがな」


 やれやれ、と笑うノイテア。


「人集めるだけで一苦労だ。丁度少年士官学校の卒業時期だが、准尉クラスに一隊員させるわけには行かないからな」


 少年士官学校を卒業すれば、十五歳のガキでも士官であり、准尉となり、一年後には自動的に少尉となる。

 もちろん一年の間に功績が認められれば、すぐに少尉になることもある。

 ちなみに俺は二ヶ月でなった、少尉までは。


「閣下の命令で、純血のオルジリア人のみを選抜せよって事だったから本当に人がいねえんだよ。今時純血だけに愛国心があるとか、時代遅れも甚だしいが、一大尉の身としては中将閣下に進言するわけにも行かなくてな」


 こいつも大変だな。

 ちなみにオルジリア人というのは、オルジス帝国の首都に元々から住んでいた民族だ。

 今も首都の九割がオルジリア人と呼べる民族が住んでいる。


 が、「純血」となるとなかなか難しい。

 何しろ過去には冒険者の集った国だ、他民族も入ってきているし、代々住み着いている他民族も多い。

 だから普段は、オルジリア人の特徴である、金髪碧眼で肌の色素の薄い者をオルジリア人と呼んではいる。


 が、純血となると、祖先にオルジリア人以外が一人でもいれば駄目(アウト)だ。

 そして、それを家系の明確な貴族ならともかく、下士官の主流たる平民で調査するのは本当に骨が折れることだろう。

 店なんてやってると分かりやすいらしいが、「あそこの店主は代々オルジリア人だった」と誰もが認めるのは簡単だからな。


「で、下士官を何人か集めたが、まあ人手不足なのは分かってるから、出来る範囲のことをしてくれ。失敗っつっても大失敗ならお前の経歴にも傷つくからな。一応お前には副官も付く」

「副官かあ……優秀な奴は嫌だなあ」

「かなり優秀だな。十八歳にして曹長になった、しかも志願者だ、やる気もある」


「十八で曹長って、十七で少佐以上に優秀じゃないのか?」


 優秀どころか、最上級、天才クラスじゃないかな。


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