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ガイジの女の子達をまとめることになった。  作者: 真木あーと
第四章 不穏からの確信
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第13話 作戦開始

 トゥーリィと軍曹が帰ってきた後、作戦を伝える。

 作戦とは呼べないものかもしれないが、まあ、目的と大凡(おおよそ)の手順を共有した。

 そして、臨機応変が要される潜入工作の指示に求められるサインの確認だ。


 遠方から送る合図、そして、近接でのハンドサイン。

 更に、暗闇での触打サインも確認。

 したのだが、多分、伍長はそもそもこういう信号の基本を理解してなかった。


 これには俺も曹長も、トゥーリィですら、あれだけあった暇な時間に教えなかったことを後悔した。

 まあ、彼女は耳がいいし、最悪小声で指示を出すかな。

 敵に耳のいいのがいたら終わりだけどな。


 これも含めて全て訓練なしのぶっつけ本番。

 その場その場の柔軟な対応・指示が求められる。

 俺のミッションは、シスリス少佐の救出、そして、全員の生還だ。


「じゃ、行きますよ? 準備はいいですか?」

「大丈夫だ」


 俺が言うと、すい、と浮き上がる。

 そして、徐々に移動する速度を上げていき、風を切る高速になるまですぐだった。


「んー! んーんー!」


 後ろで伍長が叫ばないように口を押えている。

 まあ、無理もない、真っ暗な夜に、空を高速で飛行するのはかなり怖い。


 慣れているトゥーリィはともかく、曹長も同様のようだ。

 軍曹は、まあ、相変わらず泰然としてるので、何考えているか分からない。


「目標発見、塀側には衛兵がいます。扉の前には二人」


 空から見ると点々と灯りが見えるそこが、クシャラ城だ。

 周囲には高い壁。

 その中には、今は暗くてよくは見えないが、一見貴族の邸宅のような建物があるはずだ。


 前に来たことがあるので知っているが、そもそも、貴族の邸宅が夜だからと言って真っ暗になることはありえない。

 地上の建物はただのカモフラージュの哨戒塔のようなものだ。


 塀の上には衛兵が巡回しているが、主に塀の外を監視していて、中を見ている様子もない。

 幸い、塀の中は点々と明かりはあるが暗く、下手に外に降りるより、中に入った方が見つかりにくそうだ。


「よし、扉の前に降りろ」

「はいっ」

「ここから先はハンドサインをメインに会話する。暗くて見えなければ手を使った信号に移行する」


 俺の指示の直後、降下を始め、衛兵の目の前に降りた。


「うっ!」

「がっ!」


 俺と曹長が一人ずつ倒して、扉を開く。

 鍵はかかっていない。

 塀が頑丈だから、内部に入り込むことなんて想定していないのだろう。


 俺たちは音を立てずに中に入る。

 まるで貴族の別荘にも見えた建物の内部は簡素になっており、内部に人の気配はほとんどない。

 さて、ここまでは問題ない。


 前に来た時はもっと苦労したけど、今回はあっさり侵入できた。

 牢は前に来た時は大勢いたし、まあ、ご老人ばかりだったから、今回の現役の少佐は場所が異なるかも知れない。

 

『衛兵が異変に気付くまでの短期間に終わらせるぞ? まずは伍長(マルゴ)、構造を把握してくれ』


 俺がハンドサインで指示を出す。


「?」

伍長(マルゴ)、早く構造把握を!』


(構造把握しなさい?)


 ハンドサインが通じないと分かったのかトゥーリィが小声で耳打ちする。

 伍長はこくこくと頷いて、物を落とす。

 いくら伍長がドジだからと言っても、これは故意にさせたことだ。


 それはほぼ音もせず、床に落ちた。

 が、これは人間には聞き取りにくいが、とてもよく響く音が出る物体らしい。

 トゥーリィが取り寄せて伍長に与えたと、俺もさっき聞いたばかりだ。


「…………! …………!」


 そして、なんか、伍長があわあわし始めたので、トゥーリィが耳を寄せる。


『正面0時の(三時)方向に地下への階段あり、ただし、階段前に衛兵二名。階段下の長い廊下の向こうに二名』

(マルヒト)曹長(マルサン)が倒す。准尉(マルフタ)はここを守れ』

『了解』


 俺と曹長は、音が出ない最速の移動で廊下を渡る。


(マルヒト)向こう(三時)側だ!』

『了解』


 俺と曹長は教科書通りの強襲で、二人を倒す。


『来い、足音に注意しろ』


 背後から三人を呼び寄せる。

 音を立てずに速く走れない伍長と、速く走る気のない軍曹が遅い。

 下に降りると、地下だけあって暗い。


 だが、遠くに光が見える。

 おそらくそこに二人、いるのだろう。


『よし、准尉(マルフタ)軍曹(マルヨン)、作戦F決行』

『了解。軍曹(マルヨン)

「なにか」


 普通に喋るなよ!

 この子何でもありだな。


軍曹(マルヨン)、三秒後!』

「うむ」


 軍曹が浮き上がる。

 軍曹がそのまま表に出て、高速で突進していく。


 俺はその後に続いて、走る。

 もちろん高速の軍曹には追いつけない、だが、軍曹があまりに異様なおかげで、後ろを走る俺の事は一切注目されない。


「ぎゃぁぁぁぁっ!」

「ぐぁっ!」


 軍曹が一人を倒した隙に俺が更に後ろからもう一人を倒す。


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