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ガイジの女の子達をまとめることになった。  作者: 真木あーと
第四章 不穏からの確信
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第5話 襲撃!

「私がドアを開けていいですか?」

「トラップの可能性は?」

「ないです、スプラでなければ聴けないという事は、誰にも気づかれていないと思っているんですよ?」


 微笑むトゥーリィ。

 今から襲撃って時に、なんでこんなに落ち着いてるんだろう?


 この子は実戦が初めてで、しかも演習ではずっと負け続けてるんだよな。

 その謎の自信はどこからくるんだろう?


「サン、フタ、ヒト──」


 ばん、とトゥーリィがドアを開ける。

 警戒をされる前に、入り込みドアを閉める。


「こんにちは~。外事警察隊の者です。こちらでテロの計画があるとお聞きして──」

「うぐぁっ!」


 にこやかに挨拶するトゥーリィに襲いかかった男を、俺が仕留める。


火の玉乱舞(ダンスウィズファイア)!」


 トゥーリィの放った無数の火の玉が、狭い室内に飛んでいく。


「うわっ」

「熱い! 熱い!」

「火がっ、火がぁぁぁぁっ!」


 それだけで、もう、敵は混乱状態だ。


「取り囲んで殺せ! 生かして返すな!」


 怒鳴る男。

 あいつボスか。

 まさか襲われるとはかけらも思っていなかったのだろう、指示が曖昧すぎるし、自分の守りも固めずにボスだと俺に教えてくれている。


 しかも、まるでシルラ訛りを隠せていない。

 あれは、特殊部隊(本職)じゃないな、実行リーダってところか。


「さあ、火だるまになりたい子から、順番に来なさい? どうせ、全員火だるまになるんだから」


 トゥーリィの言葉と、いつもは見せない嗜虐な笑い。

 ぞっとする敵たち。

 可愛い女の子の嗜虐的な笑みってのは、魔法使いってのも相まって恐怖に感じるだろう、特に初見には。


 全員が一致して動きが止まったのは、ほんの一瞬だった。

 だが、その一瞬を、俺は見逃さなかった。


「…………っ!」


 頭を下げ、背を低くして、敵をすり抜ける。

 動きが止まっている、油断し切った敵など、障害物でしかない。

 そして──。


「ぐぁぁぁぁっ!」


 確実に、ボスを仕留めた。

 そして、恐慌に陥りそうになっている敵に紛れ、俺はシルラ語で叫んだ。


『逃げろ! うわぁぁぁぁっ!』


 恐怖の叫び声ってのは、周りの感情を大きく同調させやすい。

 襲撃野戦(アサルトバトル)ではよく使う手だ。

 その直後、トゥーリィが大きな火をぼう、と上げたので効果は絶大だ。


『わぁぁぁっ!』

『出口はどっちだ!』

『た、助け』


 我を失った敵は、もはやシルラ語で叫んでいる。

 室内にいた者たちは、慌てて我先に逃げ出して行った。

 残ったのは、俺と焦げ臭い匂いと、生きてここを出られなかった哀れな者の、亡骸。


 そして、恍惚とした表情の、トゥーリィ。

 あ、ヤバい、この子、恋愛より戦闘好きになったらどうしよう。


「やっと、二人きりになりましたね? んーっ!」


 と、思ったけど、そんなことはなかった。

 身を寄せてキスを迫るトゥーリィを引き離す。


「いや、伍長が聴いてるから! 伍長、逃げた奴の足取りを追えるだけ追え。誰かに報告してる奴がいたら場所を覚えておいてくれ!」


 引き離してもくっついて来るトゥーリィを抱えて部屋を出る。

 周囲の人影はまばらだが、音が外に漏れていたのか、何人かがこちらの様子を窺っている。

 俺は周囲を警戒しつつ、まずは伍長から情報を訊くために、元の店に戻る。


「どうだった?」

「ひほふぃふぉうふぉふふぃふぇふふぃふぉふぁ」

「いや、食べてからでいいから」


 口の中をパンとクッキーでいっぱいにした伍長。


「俺とトゥーリィはまた出て行くけど、伍長は曹長と会う時間までここにいていいし、急いで食べる必要はないから」

「は、はい、あの、一人の方が、奥の家まで走って報告をしたようです」


 俺は詳しい場所を確認する。


「そうか、ありがとう、じゃ行ってくる!」


 俺は、トゥーリィを抱えたまま、再び外に出る。

 あの実行犯たちはもとより、リーダですら手練れではなかった。

 おそらく捨て駒だろう。


 だから、この国内に、あいつらに指示を出した奴が必ずいるはずだ。

 あの家で暴れれば誰かがそいつに報告に行くと考え、あえて逃がしたのだ。


「あの家か!」


 シルラ人居住地の、そこは確か旧居住地。

 少し大きめの、だが古い家。


「カウントなしで開ける!」

「トラップは?」

「発動したら後は頼む!」


 答えを聞かず、俺はドアを開けた。


「外事警察隊だ! お前がテロの主犯か!」


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