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ガイジの女の子達をまとめることになった。  作者: 真木あーと
第三章 最年少の士官VS最年長の下士官
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第1話 超鈍感の使い道

「では、次は、アルメラス軍曹の役立て方を考えようか」

「……そうですね」


 隊長執務室で打ち合わせをしていた曹長が、その話題に入る時、一瞬間があった。

 外事警察隊の通常業務や担当者、非常時の作戦行動などを検討している時は、どちらかというと活き活きしていたのだが、誰が何を担当するかを考える時、どうしても個々人の能力に触れる必要が出て来る。

 その手始めに軍曹だったんだけど。


「軍曹は、極めて防御能力が高く、体格に似つかわず腕力が強大です。更に感情がないと疑うほどに物事に動じることがなく冷静沈着です」

「……こうして聞くと、物凄く優秀な兵士に思えるんだよなあ」


 口調など、他の隊ならともかく、曹長以外まともな軍人口調を話せないこの隊なら問題ないし、活躍してくれるなら俺はそれでいいと思ってる。

 だけど、問題はそこじゃない。


「あの、反射神経の緩慢さだけはどうしてもね」


 彼女のこれまで所属していた建設隊や破壊工作部隊なら、ゆっくりやればいいんだけど、この部隊でそれが活躍出来るのは、有事の際だ。

 その場合、少数対少数の乱戦が予想される。


 そんな現場であの子がいたとして、あっさり殺されてしまう事だろう。

 軍曹が固いと言っても、鋭い刃には敵わない。


「やはり、ドアの破壊開錠や塀の破壊をさせるのがよろしいでしょう」

「うーん……」


 確かにそれは最適だけど……。


「失礼しまーす! せんぱーい! おはようございまーす!」


 いきなり詰め所のドアから入って来たトゥーリィが俺の隣に座って腕に抱きついてくる。


「だから、抱きついて来るなって! 後、遅刻だからな?」


 俺はトゥーリィの密着に慣れていなくて怯む。

 この子はこれまでもずっと距離感が近くて困ったものだけど、俺が曹長を倒した時の絞め技の密着を見てから、ずるいとか言い出して密着するようになった。

 十五歳の女の子は、見た目はまだまだ子供なんだけど、こうして密着されると困る程度には大人にはなっている。


「でも、また二人で話してたじゃないですか! どうして仲良くするんですか!」

「いや、俺が言うのもおこがましいけど、彼女は俺の手足だからな。険悪だったら仕事に支障が出るじゃないか」


 一緒にいて話しているだけで男女の恋愛を考えるんだよな。

 この子は本当に、恋愛脳だ。


「どんな話してたんですか?」

「いや、この隊の運用とか、個々人の使い方とかそういうことを話し合ってたんだよ」

「どうして、副隊長の私を抜きにするんですか!」


 それは正論だけどさ。

 でも、お前、学校出たばかりのガキじゃん。


「私も一緒に話し合います! いいですよね?」

「まあ、邪魔しなきゃいいけどさ」

「邪魔なんてしません! 私は先輩に尊敬してもらうような意見出しますから!」


 そう言ってまた、身を寄せて来るトゥーリィ。

 まあ、時間もないしこれでいいや。


「それで、アルメラス軍曹の使い方ですが、小官はドアの破壊開錠や塀の破壊をさせるのがよいと提案しました」

「発想が戦場脳ねえ。戦争することしか能のない筋肉女ね、シスリスは」

「ほう……」


 曹長が睨むようにトゥーリィを睨む。


「そもそもね? 破壊開錠? 首都の中心部勤務の私たちがどこの何を破壊開錠するのよ? 強盗でもするつもり?」

「テロリストの屋敷に侵入するときに使えばよいでしょう」

「はあ? そんなこといつあるの?」


 トゥーリィが馬鹿にするように訊く。


「あん……シスリスは潜入工作が得意なんでしょ? その前に大きな音で破壊開錠しちゃ台無しになるわよね?」


 この子、多分曹長の事調べてきたんだよな。

 それは部下がどうのじゃなく、反撃のチャンスを探して狙ってたよな。


「私はあなたの潜入技術を買っているわ。だからこそ、それを台無しにするようなアルメラスの活用方法は許さないわ」

「……恐れ入ります」


 面子を潰すために面子を立てる。

 確かにトゥーリィの言ってることは正論なので、言い返せない。

 だが、否定なら誰にでも出来る。


「それで、准尉はどうすればいいと思ってるんだ?」

「一つ、提案があるんですけど、今から演習場に来てもらいませんか?」


 トゥーリィが言うので、俺たちは、演習場に向かう。

 もちろん、軍曹も連れてだ。


 ちなみに、トゥーリィが着替えに帰ったのでまた一時間くらいかかった。

 その間に曹長も軍曹も着替え、ついでに伍長も着替え、そのまま実技演習の続きをしていた。


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