そもそも、なぜここまで Internet Explorer は軽んじられることになったのか。
一体、この状況は何なんでしょうね。だって、Windows7 にしろ Windows8 にしろ、れっきとした有償OSです。お金を出して買った人がいるのに、「マイクロソフトの発言が元で」そのブラウザが、サポート期限が切れる前に「過去の物」になってしまった訳ですから。それはどうかと思わないでもないのです。
確かにマイクロソフトにだって色々な事情があって、「Internet Explorer なんてサポートしてられるか!」みたいなことを言いたくなるのもわかるのですが。
――ええ、本当にね。とてもよくわかります。だってマイクロソフトは一時期、Windows10 をただで配ってましたからね。「あの時、素直に Windows10 に入れ替えてくれれば、俺たちもWindows7や8のことなんか考えなくて良かったんだ」と言いたくもなるだろうなと、結構本気でそう思います。
あの頃は「マイクロソフトが Windows10 をただで配り始めたけど、それに乗るべきか」なんてことが結構話題になったのですが。……その後、「マイクロソフトが意地でも Windows10 に上げさせようとしている」という話題に変化しまして。ええ、「windows10アップグレードちゃん」(参考)なんてネタツイートが出てくるくらいには話題になりました。
……実は私は、結構あっさりと無料アップデートをした人なので詳しくは知らないのですが。始めは普通に「アップデートする、しない」を選択できていたのが、やがて「アップデートをする、アップデートを今夜する」とかいう途方もない選択肢に変わって、さらに油断をするとWindows10 が勝手に入ってくると、そんな状況になったようでして。
――そこまでしたのにあえてアップデートをせずに頑張って放置されて、そのまま Internet Explorer を使い続けられれば、そりゃあマイクロソフトだって何か言いたくなると思います。
でもね、それでもなお、Windows10 へのアップデートを拒否した人にも、同意できるような言い分はあるはずなんですよ。
例えばそうですね、OSが新しくなると新しいOSに対応したドライバも必要になる訳ですが。これが、無料アップデートが可能な頃は十分に準備されていなかった。そうすると、当然、こんな声が上がってくることになる。
――ドライバも準備されていないのにOSだけ上げられても困る、と。
そりゃあ「OSが勝手に上がりました、プリンタが使えなくなりました」じゃあ、ユーザーにとってはいい迷惑です。以前のOSの方が良いということになるでしょう。
――結局ね、この話って、マイクロソフトにもユーザーにも、あとサイトを作る側にも、それぞれに言い分のある話だと思うのですよ。
Internet Explorer というブラウザには長い歴史があります。マイクロソフトという会社は、その Internet Explorer というブラウザに対して、常に互換性を保ちながら機能を先取りして組み込んで、シェアを保ってきました。
それは、Internet Explorer を使うユーザーに「いつまでも過去のサイトを利用することができる」という安心感を与えると同時に、HTMLという「インターネットの基礎」の進化を妨げ、マイクロソフト的な「くせ」を埋め込んでしまう結果にもなってしまった訳です。
今年の二月にマイクロソフトが表明した「Internet Explorer の使用を推奨しない」という発言は、Internet Explorer の「過剰なまでの互換性維持」によって生み出された歪みを是正するという側面もあります。ですがそれは、今までと同じソフトで同じようにサイトを利用したいというユーザーには不便を強いてしまっている。
お金を払って買ったソフトなんだから、せめてサポートが終了するまでは同じように使わせろという、多分正当であろうユーザーの主張とぶつかってしまっている訳です。
今どうするのが最善かという問いには、結構単純に答えが出る問題だろうと思います。何せ、サポートを打ち切られたブラウザを使い続けるか、少しの手間をかけて、これからもサポートされるであろうブラウザに乗り換えるかという話なのですから。
ただ、過去のいきさつとかを考えると途端に複雑になってしまう、これはそんな問題なのかなと、そんな風に思います。
参考:「windows10アップグレードちゃんまとめ」ponz(拳)
https://twitter.com/i/moments/796356424754311168