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2節 狂い出す日常(ニ)

時が止まるという普通ではありえない現象に月城千隼は困惑を浮かべてはいたものの本心では好奇心に駆り立てられていた。


まず、状況を確認しよう。


周囲を散策すると、どうやら、校舎と校庭を包み込むように透明な膜が貼られているようになっていた。まるで外側とを分離するかのように。

また、散策と同時に自分以外に動けるものの存在を捜索したが、見つけることはできなかった。


つまり現状では、自分にだけは「効果」が及んでいないということと、「効果」がおそらく、限定的な範囲で起こっていることが確認された。


しかし、何事も起こらぬまま時は過ぎた。事態の解決に努めようにも何をすれば良いか分からなかった。手当たり次第実行したが、何も変わることはなかった。


しかし、何か起こるのはいつも突然のことだった。


「どうやら、あなただけだったみたいですね!」

どこかから聞こえるその声に耳を傾ける。

声の主を探す。一体誰なのだろう。

その答えは案外すぐに分かった。


月城千隼の見上げた天から透明な羽を生やした何者かが降りてくる。どうやら声の主はこいつらしい。


彼は、動揺がバレないよう冷静を装い、聞かなければならないことを口にする。

「お前は何者だ。この状況について何か知っているのか」

「私はあなた達の言葉で言うならそうですね、天使です!もちろん知ってますよ」

「て、天使!?」

「そうですよ?」

とてもふざけているようには見えなかった。

よく見ると彼女は先ほどまであった羽がなくなり、白い服に身を包んでいる。たしかに外見はソレのようではあった。それにこの奇妙な状況では何が起こってもおかしくはない。とりあえずは信じることにしよう。

しかし、

「天使にしてはなんか幼くないか?ちんちくりんだし」

「な、な、なんてこと言うんですか!わたし、何百年も生きてるのに!それに、ち、ちんちくりんなんて、、」

今にも泣きそうになっている天使とやらを必死になだめる。だって天使ってもっと大人なイメージだったんだ、しょうがないだろう。


ようやく機嫌を取り戻した天使に話を聞く。


「まだ自己紹介はまだでしたね。わたしは、アリス=ベルズヘブンと申します。アリスと呼んでください」

「ああ、アリスさっきは悪かったな。俺は…」

「いえ、もう知ってます。月城千隼様ですよね!さっきのは一旦忘れてあげます!」

可憐であどけない笑顔に月城が動揺したことはきっと本人以外知るところのないだろう。


それからアリスは続ける。

「それで…ですね。まず、この世界というものについて話しましょうか」


アリス=ベルズヘブンが紡ぎ出す言葉から月城千隼は知ることになる。

この奇怪な状況を。

そしてこの世界というものを…

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