表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嫌な顔されながらおパンツ見せてもらいたい ~余はパンツが見たいぞ~  作者: 新木伸


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/30

#05-03「巫女さんにお祓いされてみた」

長らく更新が停止しておりましたが、連載、再開でーす。

「払い給え清め給え……」


 祓串(はらえぐし)を左右に振りつつ、巫女――いおりが祝詞のりとを唱えている。


 懸命に祓串(はらえぐし)を振る彼女と向かいあって正座し、イッセーはお祓いを受けていた。


 神の残り香を払うのに、神に祈ってどうするのか。いや別の神なら効果はあるのか。

 アヌビスはべつに邪悪なものではない。

 死を司る神だから邪悪な気配と感じるのだろうが、イッセーは死がかならずしも悪いものだとは捉えていない。

 実際に死んでみたからわかることだが、死というものは、次のステージへの移行なのだ。


かしこかしこみももうす……」


 いおりは熱心に祓串(はらえぐし)を振る。お祓いを続ける。


 お祓いを何回か受けるうちに、イッセーは体になにか未知の力を感じるようになっていた。霊力というものだろうか。

 彼女に霊力があるというのは、どうやら本当のことらしい。除霊にも自信があるように見受けられる。


 だが、根本的に無駄なことをしているわけだ。


 その件について、すでに彼女には説明済みである。「神気の残り香だから無駄だ」とは伝えてある。

 だが言えば言うほど、彼女はムキになる。「必ず除霊します」と決意を新たにして挑んでくる。


「……~~――!!」


 祓串(はらえぐし)が打ち振るわれ、祝詞が終わった。

 それと同時に、いおりはがくりと膝をついた。


「だいじょうぶか?」


 しばらく荒い息をついていたいおりは、十数秒もしてから、ようやく顔をあげてきた。


「は、はい……、たいしたことはありません」


 強がる彼女だが、その額にはびっしりと汗を浮かべている。

 全然たいしたことになっている気がする。


「除霊とやらは、できたのか?」

「い、いえ……、だめでした……」


 まあ、そうだろう。

 原理上、不可能なのだ。

 仮にアヌビスが邪悪なものだったとしても、人間である彼女の手には余るはず。

 ……いや? 邪悪なのか? あのグータラ神は、七つの大罪のうちの「怠惰」担当である気がする。


「で、ですが……。必ず除霊します」


 彼女はそう言った。


「だからそれは……」


 と、何度目かの言葉を言いかけて、イッセーは、その言葉を飲みこんだ。

 除霊の必要がないということは、もう飽きるほどに伝えている。

 同じ事を何度も言わない主義のイッセーであるが、そこを曲げて、何度も言っていた。何回言ったのか、覚えていないほどだった。イッセーは完全記憶を備えているので、これはただ単に、数えていないというだけであるが。


 彼女の負けん気は、相当に強い。

 除霊できなければ負け、とでも思っているのだろうか……。


「必ず貴方を救ってみせます! だから安心してください」


 ……ちがった。


 いおりは救おうとしていたのだ。イッセーのことを。


 イッセーは居心地の悪さを覚えた。

 天才であるイッセーにとって、「守られる」ということは、ほぼ生まれて初めての経験であった。


 今回の〝攻略〟は、どうも調子が狂う。


「イッセーさん……。必ず、私が守りますから」


 いおりは真正面から


 うむ……。

 なんか困る……。


 ぴろりん♡ 


 ――と、どこかで好感度が上がる音がした。

 いおりからではないようで、どこか他からだ。どこからなのかは、よくわからない。この拝殿には、いま二人きりしかいない。


「ところで、あの、イッセーさん?」


 ずいっ、と顔が近づいてくる。

 彼女の汗の香りなのだろうか。体臭が漂う。

 それは決して不快なものではなく、どこか本能的なものを掘り起こすようで、やはりイッセーにとっては未知の感覚だ。


 清潔感と透明感のある彼女から、こうした生物的な印象を受けるとは、不思議な気がした。


「……なんだ?」


 イッセーは聞いた。彼女はなにかを聞きたがっている。


「ひとつ、お尋ねしますけど……。まだぱんつを見たいですか?」

「ああ……。無論だ」


 イッセーは当然のごとく、そう答えた。


 彼女のパンツを見たいという気持ちは、以前よりも強くなってきている。

 特にいま、彼女の香りを嗅いでから、見たい気持ちが盛りあがってきている。


 パンツが見たい!

 余はパンツが見たいぞ!


「そうですか……。まだ……、そんなよこしまな気持ちが……」


 いおりは顔を曇らせる。


「そういえば、ひとつ、おまえに確認せねばならないことがあった」

「なんですか?」

「おまえはその巫女服の下に、そもそもパンツを穿いているのか?」


 イッセーが問うと、いおりは緋色の袴の裾をきゅっと掴んだ。

 じっとりと湿度の高い視線で、上目使いになって、イッセーを睨んでくる。


「やはり……、邪悪です。よこしまです」

「なにが邪悪なものか。これは純粋な気持ちだ」

「ぱんつを見たがるなんて、おかしいです」

「いやおかしくはない。パンツが嫌いな男子はいないぞ」


 イッセーは断言した。

 この件については、クラスの男子たちの証言も取って検証している。

 パンツが見たくなることを、やれおかしいだの、やれ変態だのと、咲子(にこ)が言うもので、その場で、クラスの男子たちからデータを得て論破した。


 結果。

 クラスの男子、全一五人中、女子のパンツを見たかった者――。一五人。

 つまり全員だ。


 結論。

 パンツが嫌いな男子などいない。


「それは……! そうかもしれませんけど……!」


 いおりは言葉に詰まった。あまり男女の機微に詳しいほうではなかった。だがそのくらいは知っている。


「けど――! だけど普通はそんなおおっぴらにしたりはしません! そういうものです!」

「そこについてはうちのクラスの男子たちも同じ事を言っていた。口に出せるおまえは勇者なのだと。そこに痺れる憧れる、などとも言っていたが」


 まったくもって意味不明だ。

 勇者の定義が勇気あるものなのだとして――。なぜ、パンツを見たいと口にすることに勇気が必要になるのか。

 庶民の考えることは、まったくもって、よくわからない。


「それが普通です! 思っても口に出さないものです!」

「余がパンツを見たいと思ったのなら、それは既に決定事項だ。パンツを見ることは確定された未来に過ぎない」

「なにを真面目な顔で力説しているんですか」

「余は真面目だからだ」

「いえ、ですからそれは邪気の影響です! 本当のイッセーさんに戻ってください!」


 本当の自分もなにも――。これが自分であるのだが?


「埒が開かんな。とりあえずパンツを穿いているのかどうか、それを教えてくれ」

「邪悪です!」

襦袢じゅばんは下着ではあっても、パンツにはあらず。余はパンツが見たいのだ」

「ですから邪悪です!」


 まったく埒が開かないな。

 だが、イッセーはこんなやりとりを楽しく感じていた。

つぎは2~3日中には、なんとか~。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ