魔王様は旅立つ
「ふぁぁっ……あ~…よく寝た~。いい朝だなーー……真っ暗だけど」
只今の時刻朝5時。外は真っ暗お月様こんにちは。昨夜は夕食はたっぷり3人前ほど食べてぐっすり12時間睡眠とったから体調も良好だし早めに城を出よう。その為に早起きしたんだし。ゴブリン達には昨日の内に別れの挨拶をしてきたから大丈夫だし、勇者が来たあとも私のことは言わないよう言っておいたから安全だ。
しかし、ここでまた問題が発生。ここから他の国に行くにはまず、私を倒そうと勇者を派遣してくる隣国を通過しなきゃならないというのだ。
そんな馬鹿な!!スタートからハードモードはゲームとして成り立ってないからな!そんなのクソゲーだ!
あーでも別にこの世界ゲームって訳じゃないからただ単にこの国に問題があるのか。この国には世界地図だといちばん端っこにあるため国の境界線は隣国のスキエンティアしかない。スキエンティアと私の国カルディアには大きな違いはなくあえて言えば国のいちばんのお偉いさんが王様か魔王の違いだけである。王様はもちろん人間だけどこっちは魔王だから人間より寿命が長い。私も何度か王の代替わりを見てきたけど今の代の王様は問題あると思う。
だっていきなり勇者寄越すなんて人としてどうかと思うよ!!本当!元人間だからそこんとこ厳しいから!
人間だった私は18という短い人生であったけど今の私はなんと320歳!!やべー!ガチ魔王ーー!!魔王ハンパない!320年生きてきて昨日前世思い出すとか怠けすぎてちょっと泣けてくるけど、でもね魔王は320だとまだまだ子供らしいのね。人間に例えると赤ちゃんだって!!これならまだセーフだよね。3歳なら前世思い出すいいタイミングだとおもうの。でも、現実は320で前世足すと338歳。
ビミョー!!もう桁がアレだから18足したところでビミョー!!想像してたのと違う!!
もっと、こう…前世と合わせたら30過ぎのおばさんで軽く親の年齢超えてシャレになんねーーって王道!!思ってたのと違う!!……もうこの世界に王道求めるの辞めた。
まずは隣国をどう通過するかだけど幸い私の顔を知ってる者は生きてないと思うから顔でバレることはない。そこんところは安心していける。ただ、私が魔王だとバレるとまずい。
魔王は私1人しかいないから魔王だと気づかれれば即ゲームオーバー。魔王の特徴はこのツノだ。頭から生えるこの2本のツノ。これを見られると非常にまずい。なので今の私の格好はフードを被り真っ黒なローブを羽織りリュックを背負う怪しい格好をしている。
バレるわけにはいかないので仕方ない、多少妙な目で見られても命には変えられん。ちなみにリュックには何も入っていない。あれ?荷造りは?と思うかもしれないけれどここは異世界で魔法ありありなんだからわざわざ手に持って歩く必要なし!!必要なものは全部唱えれば出てくる。簡単に言うとゲームのアイテム欄みたいなもの。欲しいと思えば出せるしいらないと思えばしまえる。
魔法が使えるって最高!!
このリュックはカモフラージュってだけ。アイテム出す時どこから出してんだ?ってなんないようにと街に馴染みやすくするためね。私って天才!!
そしてひたすら歩いて歩いてさらに歩いて見えてきたのは国境!!やっと国境!ようやく自分の国から出られる!!ここまでずっと歩き!しかも景色も木!木!木!の森の中で途中これ、ループしてね?と思ったほど。さすがに疲れた!へとへとだ…。馬車とか通ってれば良いんだけど夜明け前で人っ子一人いません。なので軽く5時間ほど歩きました。もう、足限界。
隣国に入ったらまず宿だ!!一休みだ!!