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Peaceful  作者: 石丸優一
3/24

Chop

特に行く宛もないスティーブは適当に街を流していた。

姉には仕事を探せと言われたが、今はただ、心を無にしたい気分だった。

 

「…」

 

マフラーから排気、口からはタバコの煙を吐きながら走る。

ニューヨークの中心に広く陣取るオアシス、セントラルパークに到着した。

 

サラリーマンが仕事をさぼったり、スティーブが人生をさぼったりするのにはうってつけの場所だ。

 

バイクを停め、ただベンチに座り、ぼーっとする。以上である。

 

 

露店で買ったホットドッグを二つ食べ終え、鳩が彼の近くをうろうろしているのを眺めながら、時折吸い終わったタバコを投げつけて遊んでいた。

 

その残弾が底をつきる頃、夕日が沈んできたのでコンビニでそれを補充して家へ戻ることにする。


 

「おかえり。ゆっくりできたかい」

 

「あぁ」

 

母親だ。

 

仕事探しをしていない事が分かっているのか、彼女はそれについては何も訊いてこなかった。

 

用意されていた夕食を取り、久しぶりに自宅のシャワーを浴びると、自室に戻る。

 

昨夜からつけっぱなしのオーディオからは古いパンクロックが聞こえている。

部屋中に張られたバイクのポスターやカレンダー。テレビは無いが、変わりにモーター誌が床に散乱している。

 

適当に一つをひっつかみ、視線を落とす。

 

「俺は、何がやりてーんだ」

 

今まではファントムズが人生のすべてだった。それが、トムの死を境に音を立てて崩れた。

 

人間とは単純なもので、信じて貫いてきた道が一つ決壊するだけで簡単に遭難してしまう。

仕事、恋人、仲間、家族、それが何なのかは人それぞれだろうが、道を逸れたからといってカーナビのように直ぐに次のルート案内は出てこない。


 

いつの間にか眠ってしまい次の朝が来た。

刑務所暮らしに身体が慣れたせいで早寝早起きが習慣化しているのだ。

 

日曜日。

 

姉の仕事が休みらしく、母親の代わりに簡単な朝食を準備していた。

 

「あら、スティーブ」

 

「よう。食っていいか?」

 

「いいわよ。そういえば今日は職業紹介所は休みね」

 

「そりゃ残念だな」

 

フォークを持ち、適当に返しておく。

 

「予定はあるの?」

 

「あぁ。公園に住みついた鳩をこらしめる仕事がある。昨日就職したのさ」

 

「へー、面白い。つまり暇なのよね。

一緒にいらっしゃい。人手を探してる社長さんが知り合いにいたの」

 

二人が向かい合ってフォークを口に運ぶ。

母親はまだゆっくり寝ているようだ。

 

「はあ?冗談だろ」

 

「何がよ」

 

「話が出来すぎだぜ、レベッカ。

前々から探してくれてたんじゃねーのか?出所日に合わせてよ」

 

「あら勘がイイのね」


レベッカはすまし顔だ。

 

「で、どんな仕事だ?」

 

「複数の事業をやってる人でね。人を使いたい募集は二つあるみたい。

どっちにするかはアンタに任せる」

 

「どっちもやらねーって選択肢を忘れてんぞ」

 

「可愛くない弟だね!ほら、食べたらさっさと行くよ!」

 

スティーブの頭を小突き、レベッカが車を回しに玄関から出て行く。

 

「レベッカ」

 

「んー?」

 

ひょいと顔だけが玄関から家を覗きに戻ってきた。

 

「世話かけたな」

 

「働いてから言いな!」

 

頭を掻き、スティーブが姉に続いた。

 

「おはよう、スティーブ。

レベッカとお出かけ?」

 

ちょうど母親がダイニングにやってくる。

 

「仕事を紹介してもらうんだ。

おっと、それじゃ行ってくるぜ」

 

クラクションが鳴っているので、スティーブは急いだ。


 

 

レベッカのミニクーパーが建物の前で停車した。

古い建物で、大きな工場のように見える。

 

「ここだよ」

 

「…ボロい倉庫か。大丈夫かよ?」

 

「ウチのガソリンスタンドのお得意さん。作業車やら営業車やら、社用の車はウチを使ってくれてんだよ」

 

「ほーう」

 

 

建物内部は空き缶や空き瓶の集積場になっていた。

 

角に事務所があり、そこに二人で歩いていく。

 

「やあいらっしゃい」

 

アジア人の中年の社長が出迎えた。

 

「どーもー。わざわざ日曜日なのに出てきてもらってすまないね、社長さん」

 

レベッカの声が猫なで声になり、気色悪く感じたスティーブは顔をしかめる。

 

「いやいや、ちょうど書類整理が残ってたからね。どちらにせよ私だけ休日出勤でタダ働きさ。

さて、君がレベッカの弟君か。私はリーだ」

 

「スティーブだ」

 

互いに歩み寄って握手をした。

 

「知っての通り、ウチは空き缶と空き瓶を街から回収してくる仕事を請け負っている」

 

全員が個々のソファに座り、早速仕事の話題に入る。


「知っての通り?俺は何も知らねーぞ。

いきなり連れてこられたもんでな」

 

「こら、スティーブ!」

 

「はは!レベッカも急なもんだな」

 

リー社長はスティーブの粗暴な口調には目を瞑った。

喉から手が出るほど人が欲しいのだろう。特にスティーブは二十代後半でまだ若い。多少の無礼は厭わないというわけだ。

 

「やってもらいたい仕事は二つあったが…ふむ、君にはこちらの方がよさそうだ」

 

テーブルに二枚ある紙の内、一枚を取り上げてみせるリー。

スティーブはそれを受け取った。

 

「…ほーう、ゴミ収集車のドライバーか。良くも悪くもねーな」

 

「決まりだな」

 

満足そうにリーが頷く。

 

「ちょっと待ってくれ」

 

「ん?質問かね?」

 

「もう一つの仕事ってのは?」

 

「スティーブ!社長が使ってくれるってんだからイイじゃないか!」

 

レベッカが金切り声で叫ぶ。


対してスティーブは姉に中指を立てる事で静かに反撃している。

 

「もう一つはタクシードライバーだよ。

私はタクシー業にも手を出していてね。たった五台での細々とした営業だが、先日ドライバーが一人辞めてしまったのさ。おかげで車が一台遊んでる」

 

一応、リーは質問に答えた。

 

「タクシードライバー…」

 

「しかし君には収集車の方がよかろう。

タクシーは接客が必要だからな」

 

「そうだな」

 

「今度こそ決まりだ」

 

リーがにこりと笑った。

 

「良かったわね、スティーブ。しっかり頑張りなさいよ」

 

レベッカがスティーブの頭を雑に撫でる。

それを払い、スティーブはリーの細い目を見た。

 

「タクシーがイイ。そっちをやらせてくれ。ダメなら今回の話は無しだ」

 

「な、なんだって?まさか、どうして」

 

「スティーブ!!」

 

とんでもない事を言いだしたスティーブに、レベッカとリーが目を丸くする。


つまり彼は収集車の仕事ならすぐにでも与えられるのに、タクシーに乗れなければここでは働かないと言っているのだ。

 

「タクシーが好きってわけじゃねーし、むしろ客の相手なんかクソ食らえだ。

だが、のろまな収集車で毎日決まったルートをグルグル回ってるような仕事が続くとは思えねーんだ」

 

「スティーブ、アンタは本当にバカね!

社長、ごめんなさい!必ずこのわからず屋を説得しておくからさ!」

 

「ううむ、これは弱ったな」

 

笑顔は笑顔でも、今のリーの顔は苦笑いである。

 

スティーブが言ったのは率直な意見だ。確かに誰から見ても、彼のような男には広い範囲での仕事が向いている気はする。

というより、収集車の仕事をすぐに辞めてしまう姿が容易に想像できてしまうのだ。

これはリーも例外ではなかった。


「ダメか?」

 

「…」

 

目を閉じて腕を組み、リーがしばし考える。

 

「アンタ、何を困らせてんのよ!収集車に乗りな!」

 

「うるせー!選ぶのは俺の勝手だって言っただろーが!」

 

「アンタがタクシードライバーだって!?

は!誰も寄り付きゃしないよ!猿に運転させた方がよっぽど愛想がいい!」

 

「何で決めつけてんだよ、てめー!

誰が猿以下だ!俺の仕事の前に旦那を見つけてこい、クソアマが!」

 

リーは動かない。

 

「じゃあきちんとこなせるのかい!客商売なんてやった事ないくせにさ!」

 

「黙ってろよ!客、客ってよ!タクシーってのはその客を確実に指定の場所に届けるもんだろうが!愛想なんざ二の次だ!」

 

「なんでそんなに強気で自信満々なのかね!呆れるよ!」

 

「ニューヨークは俺の庭だからな。どこぞの公衆電話だろうが郵便ポストだろうが、そこまで最短ルートで走ってやるよ!」

 

ここでようやくリーが目をあける。


「スティーブ」

 

「ん?おう」

 

「そこまで言うならやってみなさい」

 

深いため息と一緒に答えが返ってきた。

 

「お?おぉ!任せとけ!

ありがとう、社長!」

 

「ただし!簡単にやめてくれるなよ?

最低でも一年間はいてもらわないと困る。それ以降も、退職したければ一カ月前までに言ってくれ」

 

「社長!いいのかい?」

 

「もちろんだ」

 

信じられないというレベッカに、リーがウインクした。

 

「一年間か、まぁ何とかなんだろ!服役に比べれば屁でもねー」

 

「では早速明日から出勤してもらおう。

初めの三日間は研修期間だ。初日は配車係に、二日目と三日目は誰か他のドライバーの横で仕事を覚えてくれ。木曜日には君の車を任せる。

ここにサインを」

 

てきぱきと連絡や手続きが済まされていく。


「これでイイか?」

 

「結構だ。それからタクシー会社の営業所はここじゃないからな。出勤先を間違わないように」

 

「なるほど。確かにゴミ収集車しか止まってねーもんな」

 

スティーブがうんうん、と頷く。

 

「そう遠くないから大丈夫だよ。これが住所と地図だ。

明日の朝九時までに行ってくれ。私は明日もこっちの処理場にいるから行けない。代わりに営業所長のデイビッドに応対をお願いしておくよ。

通勤は車か?」

 

「いや、バイクを持ってる」

 

「わかった。事故にだけは気をつけてな。

何か質問はあるかね?」

 

リーが書類を革製のトランクに詰め込みながら尋ねる。

 

「あー、そうだな。社長、アンタ独身?パートナーがいなけりゃウチのレベッカどうだよ?」

 

「スティーブ!ぶっ殺すよ!」

 

「ははは!残念ながら私は愛妻家だよ。

では今日はこの辺で。明日からよろしくな、スティーブ」

 

全員立ち上がり、スティーブとレベッカはリーと握手をして事務所を出た。


 

 

「おかえり」

 

日が高くなる頃。

 

庭の芝生に水をまいている母親が二人を出迎えた。

 

「ただいま、ママ!スティーブは明日から社会人だよ」

 

「よう、お袋。レベッカには借りが出来ちまったよ」

 

「そうかいそうかい。

二人とも家にお上がり。ミートパイを焼いているからね」

 

しわしわの顔が柔らかな表情で先導してくれる。

 

服役中もPMCにいた頃も家を離れっぱなしだったので、毎日連続して家族と接する事などスティーブにはなかった。

まるで幼い頃に戻ったようだ。

 

 

 

就寝前。

ベッドの上のスティーブは、窓に打ちつける激しい雨に舌打ちしていた。

 

「チッ。朝までには止んでもらわねーと。

初日からずぶ濡れで出社なんて勘弁してくれよな」


稲光と雷鳴。

 

夜中になると雨も激しくなったが、朝七時を回る頃にはそれらはすべて消えていた。

 

「よし、ラッキー」

 

ドルン!ドルン!

 

路面は乾いていないが、自身が濡れる心配がない事に感謝してスティーブは出発した。

 

 

営業所が見えてくる。

 

小さな母屋に寄り添うように黄色いタクシーが数台止まっている。

 

ドルン!

 

スティーブはバイクを降り、事務所に顔を出した。

 

「うぃーす」

 

「いらっしゃいませ、ミスター。

ご予約ですかぁ?」

 

若い事務員らしき女がスティーブに応えた。

ブロンドのセミロングヘア。赤いタンクトップの胸元が豊満なふくらみをしていてスティーブは目を奪われた。

 

「いや、今日から働く者だ」

 

「わぉ!ワイルドなお兄さんねぇ。アタシはミリアよ」

 

「スティーブだ。グラマーな姉ちゃんだな!」

 

「よろしくぅ。所長を呼んでくるね」

 

ミリアが席を立ち、事務所の奥の所長室から若いアラビア人の男をつれてきた。


「所長のデイビッドだ。スティーブだな。

社長から話は聞いてる」

 

「そうか。よろしく頼む」

 

席を勧められるわけでもなく、その場で握手した。

 

「タクシー勤務経験は?」

 

「ねぇよ。今までは二輪専門でな」

 

親指をクイッと窓の外に向ける。

デイビッドからもスティーブのショベルヘッドが確認できた。

 

「バイク乗りか。タクシーで飛ばしたりしない事だ」

 

「オーケー」

 

「今日はミリアについてもらおう。彼女は客からの電話を受けて各車両に無線を飛ばしている。

彼女の仕事を覚えるというよりも、ドライバー達からの返事や動きを感じてもらいたい」

 

デイビッドはスティーブの肩を軽く叩くと、所長室に戻っていった。

 

「けっ、お堅い野郎だぜ。リーの方がよっぽど話がわかる」

 

「あーら、早速所長の陰口?どうぞ、かけて」

 

ミリアがキャスター付きのイスを彼女の席の横に転がしてくる。


プルプルプルプル。

 

早速電話だ。

 

「もしもしぃ。あーら、社長。おはよーございます」

 

「…」

 

退屈なスティーブは灰皿を引き寄せ、メンソールに火をつけた。

 

「所長と代わりますか?

え?あぁ来てますよ。はーい、わかりましたぁ」

 

ガチャン。

 

「リー社長がスティーブをよろしくってさ」

 

「はは、ミリアみたいなイイ女と仕事出来て嬉しいぜ」

 

「あらお目が高い」

 

プルプル。

 

「もしもしぃ。はい、分かりました。

ありがとうございます」

 

受話器を置き、今度は無線機を手に取るミリア。

 

「全車聞こえるー?プロスペクト公園に一台配車要請だよ」

 

『ゴメスだ!今クラウンハイツにいる!行くか?』

 

『ロッソだ、ケイトンアベニューを西に向けて走行中だぞ』

 

二つの返事がほぼ同時に入った。

 

「えーと。それじゃあ、ロッソに頼むわ」

 

『了解!』


無線機を置くと、ミリアは手鏡を出してグロスを塗り直し始めた。

小規模な会社なので、仕事の量にてんてこ舞いというわけではなさそうだ。

 

「ミリア。今、ロッソって奴の方を選んだ理由は?」

 

口から煙を吐きながらスティーブが訊く。

 

「え?現場に近いからだよ」

 

「ほー。よく一瞬で判断出来たな」

 

「仕事柄ねぇ。ただ、ブルックリンを出たらアタシも土地勘が無いからお手上げ。指示できないからドライバー達に自主的に向かわせるしかないの。

スティーブは道に詳しい?」

 

ミリアが手鏡をしまった。

 

「自信あるぜ。お前ほど早く頭では判断出来ないだろうが、道を流してれば身体がルートを覚えてる」

 

「ウチのタクシーは型も古いしナビついてないから。でもスティーブは大丈夫そうね。

ここ退屈じゃない?車でも洗ってたらどうかしら」

 

「そうだな。俺の新しい相棒はどいつだ」

 

二人は事務所の裏手に回る。


 

「おーう。こりゃ可愛い。泣けてくるぜ」

 

「でしょ?」

 

数日後に相棒になる予定のそれは、見るからに汚れていた。

フォード・クラウンビクトリア。

フォード社のフルサイズセダンで、言うなればごくごく普通の乗用車。

 

市の規定にそってボディは派手な黄色。ニューヨークのタクシーが『イエローキャブ』と呼ばれる理由だ。

逆に黄色以外で営業しているタクシーは100%無許可営業である。

 

「水道と洗車ブラシはそこにあるよ。はい、これが雑巾。

んじゃ、アタシはまた電話番に戻るから。ごゆっくりぃ」

 

「ありがとよ」

 

まず、埃だらけの車体に水をぶっかけて、ざっと汚れを落としていく。

 

四枚のドア、トランク、ボンネットをすべて開け放ち、汚れたシートやパネル、ガラス、エンジンルームまで、濡れた雑巾を何度も絞りながら拭きあげていった。


ブロロ…

 

すべてが終わり、スティーブがクラウンビクトリアの屋根に座ってひと息ついていると、一台のタクシーが営業所に戻ってきた。

ひどく太った男が降りてくる。

 

「む!新入りか?」

 

「おう、スティーブだ」

 

「そうか。俺はロッソだ」

 

軽く右手を上げ、彼は事務所に入った。

 

スティーブも車の屋根から降り、水道で顔を洗うと、着ているシャツでそれを拭いて事務所に戻る。

 

「いやーくたびれた。プロスペクト公園の客、ヤンキースタジアムまでだったよ。イギリス人の観光客でな」

 

ロッソがミリアとコーヒー片手に雑談している。

 

「お疲れ様。たくさん稼いで娘さんを大学に入れなきゃね。

あ、スティーブ。随分熱心に洗ったのね?三十分ぐらいで戻ると思ってたわよ」

 

「黄色が嫌いでな。どうにか剥がせないかと、こすりまくってた」

 

スティーブが椅子に座る。


「そうだわ、ロッソ?」

 

「ん?」

 

「明日と明後日、スティーブを助手席に乗せてあげられない?

所長も別に誰と組ませてもイイって言ってたから」

 

デイビッドはスティーブに無関心なようだ。

リーのような温かみがまるでない。

 

もちろん、だからといってスティーブがどうするわけでもないが。

 

「あぁ、構わないぞ。

スティーブ、明日と明後日は暑くても長袖を着てこい。俺の営業成績が下がっちゃかなわん」

 

「わかった」

 

シャツから出ている自分の両腕を見てスティーブが納得する。

まるで教会内部の壁画並みに賑やかだ。

 

「よし、今日は早出だったからそろそろ上がるよ。

またな、ミリア、スティーブ」

 

「お疲れ様ぁ」

 

「またな、ロッソ」

 

ロッソはのしのしと帰っていった。


 

 

翌日。

 

スティーブは長袖のボタンシャツとデニム姿で、九時前に営業所に到着した。

 

ミリアに挨拶し、タクシーのところへ行く。

 

ロッソはボンネットを開けてウォッシャー液を補充していた。

 

「おはよう」

 

「来たか。それじゃ行こう」

 

二人が出発した。

 

 

車内にはラテン系の曲が流れている。

 

「どこへ向かうんだ?」

 

「そうだな。ラッシュアワーは過ぎちまったが、マンハッタンに行こう。

明日は早出するぞ、六時までに出て来い」

 

ブルックリン橋を渡り、島の南部から進入していく。

 

『全車に入電。ウォールストリートプラザに一台お願いぃ』

 

無線機からミリアの声が聞こえた。

 

「ウォール街か、近いな。行くぞ、スティーブ」

 

「あいよ。

…ミリア、スティーブとロッソのゴールデンコンビだ。

今ブルックリンブリッジを渡り終えた。五分で着くぜ」

 

スティーブが助手席から無線機に話す。

 

『ありがとぉ。よろしくね』


 

「この辺はタクシーも多いのにわざわざウチをご指名か?」

 

「社長や所長の知り合いや親戚か、あるいはお気に入りのドライバーがウチにいるか。

まあ、多分前者だろうよ」

 

「お、アイツか」

 

ウォールストリートプラザの正面で手を上げているスーツ姿の男がいた。

 

アジア系だ。中国人に見える。

ロッソの言うとおり社長の知り合いだろう。

 

キキッ。

 

ガチャン。

 

「やあ、おはよう。ん?二人か?」

 

客が後部座席に滑り込んでくる。

ドライバーとは別にいるスティーブを見て不思議そうにしている。

 

「研修中だ。昨日入社してな」

 

「そうだったのか。ドライバー、チャイナタウンまで頼む」

 

「了解。出すよ」

 

ロッソが車を大きくUターンさせた。

 

「お客さん、チャイナタウンのどこまでだ?」

 

スティーブが男に訊く。基本的には大まかな場所だけを指定し、それ以上はドライバーも客も追求しない事が多い。

 

「え?大源楼という食事どころだが。そこで友人と待ち合わせでね」

 

「ほーう」


「道も入り組んでいるから停めやすい所で構わんよ。ありがとう」

 

男は笑顔で返してくれた。

 

 

チャイナタウンにタクシーが入る。

 

「ロッソ、その路地を左に入れ」

 

「む?」

 

「いいから」

 

そろそろ停車して料金を受け取るつもりだったロッソだが、スティーブの指示に従った。

 

「ひでえ道だ。野良猫だらけだな」

 

「それを右だ」

 

キキッ。

 

「おお!!」

 

広い道に合流すると、タクシーから店が見える距離にまで近づいていた。

 

「ご乗車どーも」

 

スティーブが無愛想に言った。

客とロッソは強く感心している。

 

「ありがとう、ありがとう。時間に間に合って良かったよ!

お釣りはチップだ、二人で分けてくれ!」

 

男が店に消えていった。

 

「お手柄だな!スティーブ!」

 

「当たり前だ、俺が客ならこのくらいの距離で下ろさねーとブチ切れてんぞ」


その後、チャイナタウンでタクシー待ちをしていたカップルをペース大学まで届けると、昼食の時間になった。

 

「よう、スティーブ。メシにしよう」

 

「そうだな」

 

ロッソが目に入ったレストランの前に車を止めた。

 

オープンテラスのイタリアンレストランだ。

値段もお手頃で低所得な彼らにも優しい。

 

「ビールでもいっとくか?」

 

「バカ、娘の顔が見れなくなるだろうが」

 

ピザやパスタを注文し、二人はガツガツとそれを食らった。

 

車に戻ると、ちょうど無線機が鳴っているところである。

 

『ロッソ、スティーブ?あれぇ、食事中かしら』

 

エンジンをかけるより先に、ロッソがそれに返した。

 

「あぁ、すまん。今、戻った」

 

『何を食べたのかな?』

 

「高級イタリアンレストランでフルコースだぜ、ハニー」

 

スティーブが言う。

 

『ズルい!アタシは毎日お弁当なのに!』


「何かあったか?」

 

冷静にロッソが話を戻す。

 

『お客さんから謝礼のお電話よ。

リー社長に直接あったらしいわ。二人を誉めておくように言われたのぉ』

 

「ボーナス期待してますと伝えてくれ」

 

ロッソは鼻高々といった様子だ。

 

『わかったわ。じゃあ午後からも安全運転でね。

全車、聞いたー?みんなも頑張ってぇ』

 

『ゴメス了解』

 

『アルだ。ロッソ、ボーナス支払い日は逃がしゃしねーぞ!』

 

『マーカス了解。

おい、新入り。ロッソが客にいくら渡したのか教えてくれないか?』

 

無線機にこそ入ってこないが、おそらく従業員全員が笑っていることだろう。

 

「はは、つまらねー奴らだな」

 

「他の奴には会ってないのか?」

 

「ああ」

 

「そうか。早く慣れるとイイ。

売り上げを競うライバルでもあるが、冗談を飛ばす仲間でもある」


 

夜八時。

 

最後にハンティントンまでの長距離営業を終えた二人が帰ってきた。

 

ミリアは帰っているらしく、代わりに所長のデイビッドが電話番をしているようだ。

 

「お疲れさん」

 

「やあ、デイビッド」

 

アラビア系の所長は社交辞令的な労いの言葉は一応かけてくれた。

 

「デイビッド、両親はどこの生まれだ?」

 

これはスティーブだ。

 

「ん?父がアメリカ人で母がエジプト人だが」

 

「そうか。なに、名前と見かけの違いが気になっただけだ」

 

理由を説明する。

 

「ハッサンとでも呼ばせてやろうか」

 

「クソおもしれーな、それ」

 

「スティーブ。俺は帰るぞ。

明日は寝坊するなよ」

 

ロッソが帰宅する。

 

「俺も帰る。デイビッド、また明日な」

 

スティーブに向けてデイビッドが手を振ったので、彼はバイクのエンジンをかけて家路についた。


 

「スティーブ。プレゼント」

 

「あー?なんだよ」

 

ダイニングで冷蔵庫を開けていると、レベッカが彼の背後に立っていた。

 

小さな箱を持っている。

アップル社のロゴが見えた。

 

「携帯か?」

 

「正解!必要だよね」

 

「ああ」

 

刑務所に入る前にはもちろん使っていたが、金のない今はスティーブは携帯電話を持っていない。

 

「前の携帯のデータを移してもらってるから、電話帳やアンタの番号はそのままだよ。

通話料は自分で払いな。仕事も始めたしさ」

 

それならば別に昔の携帯を復活させるだけで構わないが、新しい物を使えるならそれはそれでありがたい。

 

「サンキューな、ベッキー。

おぉ!タッチパネル式かよ。イケてるぜ」

 

「気に入ったなら良かったわ」

 

「次はスプリンガーフォークをくれよ」

 

「バーカ!」

 

姉が引っ込む。


部屋に戻り、電源を入れてみる。

液晶にアップルマークが光り、待ち受けの表示が出た。

 

電話帳を開き、下へとスライドさせていく。

ほとんどがPMCのメンバーだ。他には高校時代の友人や彼女、家族や親族が少し。

 

ピピピピ!

 

「おわっ!?」

 

突然鳴り始めた着信に、慌てたスティーブが携帯を落としてしまう。

すぐに拾い上げて画面を見た。

 

ラルフの名前が表示されている。

 

「よう」

 

無視しようかとも思ったが、スティーブはそれを受けた。

 

「よう、兄弟ー。元気でやってるか」

 

「まだファントムズを抜けて数日しか経ってねーぞ」

 

「それもそうだな。ショベルヘッドはどうだ?調子悪いか?」

 

ラルフの背後からは複数のエンジン音が聞こえる。

メンバーがいるのだろう。

 

「絶好調だ。ちょうど良かった。直してくれた奴にありがとうと伝えてくれ」

 

「わかった」


 

「そういえばよ、ラルフ」

 

「あー?」

 

「アンディのクソったれにバイクを積んでいくように指示しただろ、てめー」

 

「してねーよ!」

 

「嘘つけ!とにかく、何やったってファントムズには戻らねーからな」

 

「知らねーって言ってんだろ!じゃあな!」

 

ツー…

 

携帯を床に置き、スティーブは鼻を鳴らした。

 

 

 

翌日の朝五時半。

 

目覚まし時計の音で起きたスティーブは、目をこすりながらダイニングへ向かう。

 

当然朝食は用意されていないので、冷蔵庫の牛乳だけを飲んで職場に急いだ。

 

 

「おーす」

 

「おう、来ないかと思ったぞ」

 

ロッソが腕時計を指す。

 

六時二分だ。

別にタイムカードがあるわけではないので、この程度ならば遅刻扱いになる事はないのだが。


「今日は通勤時間のお客さんをバンバン乗せるぞ」

 

「どうせ渋滞で動けやしねーよ」

 

「バカ野郎!それでも稼ぎ時だろ!乗れ!」

 

「あいあい」

 

朝焼けを見ながら、昨日のようにマンハッタンを目指した。

 

幾人ものビジネスマンやオフィスレディを運び、十時頃に客がまばらになり始める。

 

「一段落だ」

 

車から降り、二人は喫煙する。

 

「娘がいるんだよな」

 

「二人な」

 

「大学に行くって?」

 

「そうだ。上がな」

 

疲れているのか、ロッソの返事が淡々としている。

 

「何になりたいんだって?」

 

「経営者だと」

 

「大したもんだぜ」

 

スティーブがタバコを投げ捨てて先に車に戻る。

 

「お前だってまだ若いじゃないか。ドライバーに落ち着く気か」

 

ロッソが重たい身体を運転席にねじ込んでくる。


「わからねー」

 

「なんだそりゃ。嫁さんも子供もいないんだろ。

だったら思い通りだろうが」

 

ロッソが車を出す。

同時に無線が入った。

 

『全車へ!イントレピッド博物館に一台お願いー!』

 

「ロッソだ。了解、向かう」

 

「自分でも何がやりたいのかわからねーんだよ」

 

「ウチに来る前は何してたんだ?」

 

「ムショにいた」

 

スティーブの答えにロッソが大きく息を吐く。

 

「じゃあその前は?」

 

「定職にはついてなかったな。高校出てからはバイク仲間と毎日バカ騒ぎさ。

金は日雇いのバイトやら、悪さをして稼いでた」

 

「見た目通りのクソガキだったわけか」

 

「うっせー」

 

 

 

今日も無事に営業を終えたタクシーが戻ってくる。

 

「あー疲れた疲れた!」

 

「よう、ミリア」

 

「おかえり、ロッソ、スティーブ。

社長が来てるわよ」


ミリアがそう言ったが、フロアにリーの姿は見えない。

デイビッドと所長室にいるのだろう。

 

そう思っていると、ちょうどリーが出てきた。

 

「やあやあ、お疲れさん」

 

「社長」

 

「うぃーす」

 

「ロッソ、ミリア、スティーブの教育ありがとうよ。

どうだ、スティーブ。仕事は」

 

やはり、リーの表情は穏やかだ。スティーブは何となくこの男が好きだった。

 

「俺のスペシャルコーチでみっちりだ!すぐにでも営業できるだろう」

 

ロッソがおどけている。

 

「まあ、そんなところだぜ」

 

スティーブも親指を立てた。

 

「おうおう。

明日からは独り立ちだからな。たくさん稼いでバイクに注ぎ込むとイイ」

 

「…?」

 

「ん?バイクが趣味じゃないのか?

わざわざ古い型を選んでるようだし、そうだと思ったんだがな」

 

リーが笑う。


「あぁ、アイツは今となってはただのアシだ。

昔は狂ったようにいじって遊んでたけどよ」

 

「そうかそうか。じゃあ美味いメシを食べて、イイ女と高い酒でも楽しむとイイ。

まさか預金が趣味の堅実派ではあるまい」

 

「そうするよ」

 

スティーブもニヤリと笑う。

 

「じゃあまた」

 

「お疲れ様でーすぅ」

 

ミリアだけが社長に手を振る。

 

 

「スティーブ。明日からはライバルだからな」

 

「二日間ありがとな、ロッソ」

 

「なあに。さて、娘達に会いに帰るぞ。

二人とも、お疲れさん」

 

「おう」

 

「ロッソもお疲れ様ぁ」

 

 

事務所にはミリアとスティーブが残った。

 

「ミリア、訊いていいか」

 

「はいはい、なにぃ?」

 

彼女もデスク周りを整理して帰り支度をし始めている。

 

「給料日はいつだ?」

 

「ああ。毎月最終金曜日だよー。でも、ドライバーにはチップという名の小さな賞与が毎日ある!」


本気でうらやましいのだろう。

ピッ!と人差し指で顔をさされるが、スティーブは何も悪くない。

 

「チップか。タバコ代の足しにしかならねーよ」

 

「ま、そうかもね」

 

「余ったら飲みに誘うから待ってろよ」

 

「おー!男前!

でもアタシは安くないよぅ」

 

カバンを片手にミリアが立ち上がった。

 

「帰るならケツに乗せてやろうか」

 

「残念!車通勤だ!

スティーブ、バァーイ!」

 

「また明日な」

 

ミリアを見送って、スティーブもバイクを出す。

 

 

 

ピピピピ!ピピピピ!

 

いつものように夕食を取っていると、携帯が鳴った。

液晶には知らない番号が映る。

 

「よう、誰だ?」

 

「スティーブ?」

 

聞き覚えのある男の声だが、誰かまでは分からない。

 

「そうだ。てめーは?」

 

「ジャックだ、ジャック。

PMCのサブリーダー」

 

「あー、お前か。何だよ」

 

食器をシンクに置き、部屋に入る。


「これから一緒に走らないか?」

 

「あー?行けるわけねーだろ。

もちろんファントムズのジャケットも無いぜ」

 

「ミーティングじゃねーよ。俺が個人的に誘ってるだけだ」

 

ジャックはメンバーの誰かにスティーブの番号を聞いたのだろう。

 

「何でだ?」

 

「こないだ言ったろ。走ってる姿が見たくてな」

 

「知らねーよ。じゃあショベルヘッド貸してやるから取りに来いよ」

 

「それ意味ねーだろ!

まあイイや、今近くにいるから外に出ててくれ」

 

ピッ。

 

「めんどくせーなあ」

 

そう言いながらも家の外に出たスティーブは、タバコをくわえてジャックを待った。

 

 

二、三分して、ハーレーのエンジン音が聞こえてくる。

 

ドルルル…

 

「よう、スティーブ」

 

「何で家まで知ってんだよ、てめー」

 

「誰にだって聞けるだろ。俺はファントムズだぜ?」

 

「そうかよ。ねみーから一時間だけな」

 

キックダウンしてショベルの目を覚ます。


二人は横に並び、話しながらブルックリンの街を流した。

 

もちろんゆったりとしたものだ。

 

「あいにくだけどよ、無茶なターンは見してやれないぜ」

 

「頼むよ。楽しくいこうぜ」

 

「ねみーんだよ!今張り切ってもこけて終わりだ!」

 

「んじゃーこれでどうよ?」

 

パンパン!

 

「!?」

 

ジャックは何と、すれ違うポリスカーのサイドミラーを撃ち抜いたのだ。

 

当然、慌てて警察官達がサイレンを焚きながら引き返してくる。

 

「バカかお前!!クソッ!ついて来い!」

 

「はははは!いいぜ、スティーブ!

ケツにしっかり食らいついといてやる!」

 

ドルン!

 

ドドドド!!

 

「そこのバイク!止まれ!」

 

ウー!ウー!

 

ギャギャギャ!

 

右に左に、出来るだけ小道を選びながらスティーブがショベルヘッドを倒していく。

ジャックも寸分遅れてVロッドでそれに続いた。


「高架下に入るぞ!抜けたら右だ!」

 

「はははは!すげー!すげーぞ、スティーブ!」

 

「感心してる場合か!ボケ!」

 

ギャギャギャ!

 

ドドドド!!

 

サイドステップを削りながら火花を散らし、スティーブは逃げる。

驚いたのは、ジャックが涼しい顔でついて来ている事だ。

 

その秘密は直線で発揮するVロッドの馬力に加え、ジャック特製のNOS(ニトログリセリン)を噴射して爆発的に加速しているからなのだが、スティーブにそれを考える余裕はない。

 

「スティーブ!一度ホームベースに身を隠しちゃどうだ!」

 

「うるせー!指示すんな!

おらぁ!さっさとホームベースに行くぞ!遅れんな!」

 

「行くのかよ!」

 

「少しの間、あそこに身を隠す!」

 

二台が行き先をホームベースに向ける。


 

 

ウー!

 

ウー!

 

「あーあ。終わりか」

 

ポリスカーが走っていくのを見て、ジャックが残念そうに言った。

 

スティーブは彼に歩み寄り、力いっぱい右ストレートを顔にお見舞いした。

 

バキッ!

 

「うおっ!…へへへ」

 

殴り飛ばされて痛いはずだが、スティーブの走りを見れたジャックは嬉しいのか、地面に仰向けのまま笑った。

 

「バカが!てめーは俺の身を危険な目に合わせたんだぞ!」

 

「そう怒るなよ。ケンカっ早いのも噂通りだな」

 

「なめてんのか、クソガキ!

ブチ殺してハドソン川に捨ててやるぞ、おらぁ!」

 

ジャックに馬乗りになり、彼の襟首を掴むスティーブ。

 

だがその手がジャックを再び殴りつける前に、後ろから誰かに引き剥がされた。

 

「ぐっ…!?」

 

「よう」

 

ラルフだ。

さらに後ろには厳しい顔つきのファントムズMCの面々が控えている。

 

「おめー、ウチのジャックに何してんだ?」

 

「ふん!先にコイツが仕掛けてきたんだよ!」

 

「スティーブ、ここがどこだか…分かっててやってんのかこらぁぁぁ!!!」


圧倒されるようなラルフの腹に響く声。

 

「うるせー!だったらお前は俺とアイツが捕まりゃ良かったってのかよ!」

 

「理由なんざ知るか!部外者がメンバーに手ぇ出してるのに黙ってろってのか!」

 

「クソが!あぁ、そうかよ!

俺は部外者だもんな!もうイイ!邪魔したな!」

 

ドルン!

 

ドドドド…

 

メンバー相手に口論しようにも、ホームベース内では分が悪い。スティーブは逃げるようにその場を去った。

 

 

「追うな…ほっとけ」

 

今にも爆発しそうなメンバー達を、ラルフが静かに抑える。

いくら元メンバーであろうと、彼らはスティーブを追いかけて袋叩きにしてしまいそうな勢いである。

 

「ジャック」

 

「ははは!ラルフよ、スティーブの腕はマジだぜ。

ありゃ見事だ!」

 

「あんまりアイツをおちょくるな。

俺もどうしたらイイかわかんねーだろうが」

 

ラルフはジャックを起こして、ホームベースの中に戻った。


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