雑感:ランキングについて
新しくランキングに現れた作品をついばみ、ある小説が評判になれば矢も盾もなく飛びついてしまう。あまり深入りしない分だけ害悪をこうむることが少ないから、失望させられることもほとんどない。それによってじぶんはいいものを読んでいると思えるし、いっそう自信になる。ランキングに乗ればアクセスは劇的に増加し、評価のインフレスパイラルに入る。波に乗った作品の評価はいかに駄文であろうとそれを良しとする人間(そもそもこのようなユーザーがランキングを覗いているのだが)の目に留まり、レビューも増える。ランキングへの信頼が揺るがないのだ。
これは極端な描写であるが、多かれ少なかれ現代人の持つランキング信仰のひとつの姿ではないだろうか。他人の関心が集まるものについて一種のマニアになっているのだ。その裏返しが批判としてエッセイカテゴリに現れているわけだが、ユーザーはランキングへの絶大な信頼か極端な不信かに傾向しがちに思える。
小説の捉え方という個々人の内面的な動きをわれわれ他人があれこれ言うことはできない。ランキング至上主義やその逆方向に走ってしまう根本には、われわれがなろうグループの広告ビジネスを維持する役割しか与えられていない事への理解不足がある。企業の利益の最大化のためにユーザーがより長期間サイトにとどまる現在の脳死ランキングシステムがあり、それはまさしく諸君らが大好きなテンプレ魔王様と同じカラクリなのだ。
なろう作品をはじめライトノベルと軌を一にするサブカルチャー文学はメディアありきであることを忘れてはならない。そういった根本の意識を欠いた連中が与えられたゲージの自治を気取り、同レベルのお人形遊びをテンプレと批判するのだからまったくもって愉快である。