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 子どもたちを片手で持ち上げ、大人気のホエテテを横目に村の中を散策する。

 囲いの中に数羽の鶏がおり、時々鋭い声で鳴いているのを見つける。普通の鶏だ。

 すれちがう大人は、やはり頭一つほど身長が低い。子どもたちは、それほどでもないように思えたのだが、なにか成長を阻害する要因があるのだろうか。あるいは、二百年のあいだ外部の血が入らなかったゆえの問題なのか。

 山の上にある集落は想像していたより狭く、半刻もたたずに端から端まで見てまわることができた。

 この村はどうやって生活しているのだろうか。数頭の豚と、数羽の鶏はみたが、畑はどこにもない。すべての食料を、鬼角族との交易で得ているのだろうか。ひょっとすると、山の麓に畑があるのかもしれないが、遠くから見たバウセン山の周囲には、そのようなものは見えなかった。

 さらに、井戸がないのも気になった。ひょっとすると、家の中に設置されている可能性もあるが、共用の井戸がないというのも考えにくい。なんにしろ、この村にはまだまだ謎がある。

 宿舎に割り当てられた家に戻ってくると、ちょうど豚が小屋から引き出されるところだった。ホエテテに群がっていた子どもたちが、こんどは豚小屋の方へ集まり、やんやと歓声をあげている。

 おそらく、歓迎の宴の食材になるのだろう。

 それほどたくさん育てているようにはみえなかった豚をわざわざ潰して、我々の食事に提供するとは、人間との交易に期待をしているのであろう。


 日が暮れる少し前、村長が我々をよびにきたので、四人で中央の広場に向かう。

 かがり火が焚かれ、大きな目の粗い布が何枚も広場の中央に敷かれていた。

 すでに村長は中央の地面の上に膝を崩して座っており、私たちをみると大きく手招きした。

 低いテーブルの上には煮込んだ豚肉や、白いなにかをぶつ切りにしたものをのせた皿がが並んでおり、私たちは主賓として中央に座ることになった。

 ノアルー村長は立ち上がり、皆に大きな声で話しかけた。

 「このルビアレナ村に人が来たのは、十年ぶりのことだ。キンネク族のお嬢さんが、三人を我々のところへ導いてくれた。まずはキンネク族に感謝をしよう」

 村長は手に持った陶器のコップを高くかかげる。

 私たち四人のところにも、なにか白い液体の入った陶器のコップが手渡された。

 少し酸味のある香りを発する液体は、まちがいなく酒だろう。ここで断るのは失礼になる。

 私が同じようにコップを高くかかげると、ジンベジやホエテテもそれを真似した。

 皆が待っているのに気がついたユリアンカも、同じようにコップをかかげると、村長が乾杯のかけ声をかける。

 口内に広がる液体は少し甘く、酒としてはそれほど強いものではないようだ。

 こういう酒は飲みやすいので、飲み過ぎないように注意しなければならない。

 「わざわざルビアレナ村まで来てくれた、三人の旅人にも感謝だ」

 再びコップが高くかかげられ、喉にお酒が流し込まれる。

 ちらりとこちらを見る村長の視線に、これはなにか返礼をかえすべき場面だと判断して、コップを高くかかげた。

 「わけあって遠く離れた私たちですが、元をたどれば同胞はらからです。今後、私たちとルビアレナ村の間に長く友好が結ばれることを祈って」

 みながコップを傾けるのをみて、いまの音頭で間違っていなかったのだと安心する。

 村長が地面に座るのをみて、私たちもテーブルの近くに腰をかけた。

 給仕の女性が、白い酒を我々のコップに注ぎ、肉の大皿がこちらに運ばれた。

 肉の塊に目を輝かすユリアンカを横目に、この歓迎の宴に参加している人々の顔を改めて確認する。

 村長のノアルー、私たちを村長宅につれていったベエカ、ほかに男性が十名。給仕している女性は五、六といったところだろうか。子どもはいない。

 酒が潤滑油になることを期待し、せっかくの御馳走に口をつけることにした。

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