第0話 エピローグ
「今日も何もない、つまらない、そしてまた明日学校があるのか...。」
そんな感じの毎日を送る高専3年生天城涼太はいかにもあれな人が考えそうなことを考えていた。
普通高校3年生はこんなことを考える間もなくやれ受験だの、やれ就職だの、やれ恋愛だのと忙しい毎日を送っているのだろうが、高専3年生はそんなことを気にすることもなく、今年も留年しないためだけに日々を過ごすのだ。
涼太は部活に属しているため家に帰ってくる時間も遅く、家に帰ってきて、ご飯を食べて、ちょっと遊んだら寝る。
そんな感じで毎日を過ごしていた。もちろん面白味も何もなく退屈だと感じていた。
ある日学校の同級生達と話しているとき
「最近ZERO ZOONっていうタイトルのMMORPGゲームが流行ってるんだよね、涼太はそういうのしないの?」
涼太は
「確かにそのゲームのタイトル聞いたことし興味もあるけどまだしてないわ。そのゲームがどうかしたの?」
「最近噂で完全にゲームクリアするとゲームの世界に招待されるとかなんとかってネットの掲示板に書いてるのを見かけてな」
「噂立てたやつ誰だよ...子供でも嘘だってわかるじゃん」
「だよなぁ」
その後涼太自身もその掲示板を調べたがほとんど有益な情報は書いていなかった。
書いてあるほとんどが誰がどう見たって嘘だって分かるようなものばかりだった。
次の日の授業終わり部活も無く暇だったので、同級生が昨日言っていたゲームを買いに行った。
パッケージには
「全クリしたら開発現場に招待!」
そう書かれていた。
確かにそのゲームを開発している会社は謎が多くて、住所等々は一切公開していない。
それにこの会社が出しているゲーム機器に興味がある涼太はクリアを目指して毎日するのであった。
5か月たったがいまだにゲームはクリアできていない。
確かに未だにクリアした人数は世界中でも10人いるかいないかとか言われていた。もちろん、それも噂程度でしかなかった。
過去に某掲示板でクリアしたと書き込んだ人がいたらしいけど、数日後にその人は書き込みをしなくなり忽然と姿を消した。
そのためにクリアしたのはうそではないかと言われ続けているため誰も信じなくなってしまった。
「ほんとにクリアできるのかこれ...」
確かにラストのボスがクリアできないように作られている。どう考えてもクリアさせる気がないような...。
その後もずっとやり込んだが最後のボスが倒せなくて毎日毎日が過ぎていった。
学校に行かない日も日に日に多くなっていった。一人暮らしをしているため大型連休が来るまで親にはばれないのでそれまでにクリアしようと1日12時間以上ゲームに費やしたのであった。
その日はやけに雨が降っていてことを今でも覚えている。
「冷蔵庫も空だし、3日程何も食べてないからスーパーにでも食べ物買いにいくかぁ」
そして立ち上がった時、フラッとして倒れてしまった。
手もしびれてまともに動かないし、声も出ないそんな時に涼太は
(あれ?意識も朦朧とするし、声も出ないしこれは...)
(ここで死ぬのか?...)
そんな思いを抱いてしまった。
そんなことをボーっとする頭で考えていると次第に目の前が暗くなっていった。
(俺はまだ死にたくない!)
だが、それには抗えなかった。
それからどれだけ時間が経ったか分からないが、辺り一面草原に倒れていた。
「ここはいったい...、たしか全身に力が入らなくなって死んだはずだと思うのだが...」
そう独り言を呟いているうちの自分の異変に気付いた。明らかに声が高くなっていたのだ。
今年で19歳になるのに、それはあり得ない。恐る恐る自分の顔を触ってみると、
「なんでこんなに顔が小さくて、喉ぼとけが出てないんだ!!」
あまりに驚いてすごい素頓狂な声が出てしまった。そりゃ昨日まで髭もっさりでコロッとした顔だったから余計にな!
周りに鏡がないため現在の容姿を見ることはできなかったが、それは今はおいといて、ここがどこかそれを調べるのが最優先だった。
今いる場所は丘みたいなところだったので、そこから周りをよく見渡してみると、少し離れた位置に村みたいな小さな集落が見えた。
とりあえず情報を集めるためにその集落に向かうことにした。
この世界から元の世界に戻った時、涼太の人生が180度転換することになるのはまだ先の事あった。
集落に向かう途中、自分の持っている荷物を確認しようとズボンのポケットを探ってみたが何もなかった。
「なんで手ぶらであんな丘に倒れてるんだよ俺...」
自分を少し情けなく思ってしまった。
そんなことを言って歩いているうちに集落の入り口が見えて来た。
歩いて広場的なところに向かうと、人はまばらだが数人居たので色々と聞いて見ることにした。
「すみません、聞きたいことがあるのですがいいですか?」
1人の男性に聞いてみた。
「なんだ、ボウズ...ってヒューイ家の所の坊ちゃんじゃないですか⁉︎」
「俺ってそんなにこの辺じゃ有名なんですか?」
そんなことを聞いたことに店の主人はキョトンとしていた。
「あのぉ........」
「すまん、すまん。お前さんがあまりにも意味のわからないことを言って驚いただけだ」
「お前さんはここら辺を治めるヒューイ家は貴族でそこの次男さんだよ、そんなことも忘れちまったのか?」
それを聞いた涼太は心底驚いた。
(俺って貴族家の次男なの!!)
さすがに動揺がここでバレるのはまずいと思ったので、
「俺は記憶がないんだ...、それどころか自分が誰かさえわからない...」
「そりゃーおめぇさん大変だ、家までは連れて行ってやろう。」
その男は、自分のことを家まで連れて行ってくれるといったのでついていくことにした。
家に行く道中、何があったんだとかどうして記憶を失ったのかとか聞かれてが本当のことを言うわけにもいかず適当にはぐらかした。
(このおっちゃん結構ズバズバっと聞いてくるなぁ...)
そんなことを思いながら歩いていると大っきな家が見えてきた。
門の前まで行くと、
「俺の道案内はここまでだ。後はがんばんな。」
そう言われ、そこでおっちゃんと別れた。
(さぁ、ここからまた色々厳しいけどやるしかない!)
決意を胸に家の中へと入っていった。
初めまして!
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次回もお楽しみに♪
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