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変態鬼畜教師の誰もが絶叫するような調教教育  作者: Kagari
変態教師、あらわる
6/23

反抗する生徒たち 3

「と、言うことがありました」


 校長室で、アーチャは校長と向かい合っていた。

 話している内容は当然、サディの件だ。


「ふうむ。と言われてもな」


 サディに関する内容を聞いても、校長は平然としている。


「ああ見えても、サディ君は優秀な教師だよ。その証拠に、彼は調教師の資格を持っている」


 校長は机の上にあった書類をアーチャに放る。アーチャが書類を見ると、確かにサディは調教師の資格を持っていた。


 だが一つ、気になる点があった。

 経歴書がほとんど書かれていないのだ。調教師の資格にしたって、『調教師の資格を獲得』とは書かれているものの、どこで取ったかなどは書かれていない。


「どうしてこの経歴書には、ほとんど何も書かれていないのですか?」


 アーチャは思い切って校長に聞いた。校長は首を傾げる。


「さあ、私にも分からん。そんな面倒な事、知る必要がないと思ってな」


「ここに教員免許取得が書かれていないのは何故ですか?」


 もう一つ疑問に思った事を、アーチャは聞いた。サディの経歴書には、教員免許を取得したことが書かれていない。


「そりゃそうじゃろ。だって彼、教員免許持ってないし」


「は?」


 アーチャは絶句した。ここは国立の学校だ。名誉ある学校だ。そんな学校に、教員免許を持っていないエセ教師が足を踏み入れていいはずがない。  


「いや、でも彼の授業の腕はなかなかのものだぞ? この学校でも一、二位を争うと私は思うぞ?」


 サディを大絶賛する校長を冷ややかな目で見て、アーチャは校長に詰め寄った。


「でも、私はそうは思いません。もしあの先生があのふざけた授業を続けると言うのなら、私はこの学校を去らせていただきます」


 アーチャの言葉に、校長はため息を吐いた。彼女の父親は、対魔王軍大将、すなわち魔王に対する軍の最高権力だ。学校に直接物申す事は出来ないが、軍の最高権力の娘が国立の学校を中退したと聞けば、世論はどう思うだろうか。


「分かった。君ほどの優等生が珍しく談判しに来るほどだ。この件は考えよう。でも3日間だけ待ってくれ。ひょっとするとサディ君が、まともに授業をするかもしれないからな」


「分かりました。3日間だけ待ちます。では失礼」


 校長の発言にアーチャは頷くと、踵を返した。そんなアーチャの背中を見て、校長は嘆息した。


「まったく、どうしてこうなったんだか」


 サディの噂は昔から聞いていたが、まさかここまでの物とは思っても見なかったのだ。


「さて、どうした物かね・・・」


 校長の独り言は、誰に聞かれる事もなく消えていった。




「えー、今日の5,6時間目は、童貞勇者との約束通り女子の身体測定とします。男子は自習で」


 5時間目が開始した直後、サディが言った言葉で、クラスは沈黙に包まれた。


「え、えっと先生、それ本当にやるんですか・・・?」


 サディの言葉を冗談だと思っていた女子の一人が、恐る恐るサディに聞いた。サディは満面の笑顔で頷いた。


「当たり前だろ。お前は何を言っているんだ」


 その瞬間、教室内は阿鼻叫喚の地獄と化した。


「い、嫌ああああああ!」


「あんな男に身体をまさぐられるなんて、信じられませんわ!」


「嫁入り前の身体に傷がついてしまいますわ!」


「はっはっは。まあ落ち着け」


 絶望の一言を放った張本人がそれを止めようとするも、当然止まるはずなく・・・・


「嫌ですわ、こうなれば・・・・。あの先生を倒すしかありませんわ!」


 そう言うなりサディに向かって手のひらをかざしーーー


「輝け【ファイアー・エンブレム】!」


 初級魔法を発射した。


「うわお!」


 サディは驚くものの、その攻撃を難なくかわす。


「私も加勢しますわ。轟け【ウォーター・ルイアーガ】!」


「俺も協力するぜ。痺れろ【エレクトロ・マグナス】!」


 最終的にアーチャ以外の全員が立ち上がり、サディに魔法をぶつけ始めた。


「これはまずいな」


 サディは冷静に呟くと、呪文を唱え始める。


「沈黙せよ、我に攻撃せし者、その輪廻を持って霧散し、我が力の糧となりーーーーー」


「遅い!」


 生徒の放った【ファイアー・エンブレム】がサディに着弾し、サディの身体がよろける。そこを複数の魔法が襲う。


「ここで負けたら教師失格だなクソッタレ。沈黙せよ、我に攻撃せし者、その輪廻を持って霧散し、我が力の糧となりーーー」


 サディが呪文を唱え終わるのと、生徒が【ウォーター・ルイアーガ】を放つのが同時だった。


「食いーーーっておい、マジかよ!」


生徒はよほど焦っていたのか、魔法の攻撃先はサディではなく、前の席の女子になっている。このままだと、生徒が全力で放った【ウォーター・ルイアーガ】が着弾し、女子生徒は大怪我を負う事になってしまう。


「クソッ!」


 サディは放とうとしていた魔法を詠唱破棄すると、女子生徒に飛びかかった。空中で飛び蹴りの姿勢を取り、女子生徒に着弾するはずの【ウォーター・ルイアーガ】に、飛び蹴りをくらわせる。凄まじい轟音とともにサディの身体が吹き飛ばされるが、本来魔法が当たるはずだった女子生徒は無事だ。


「嘘⁉」


「え、マジで?」


サディが【ウォーター・ルイアーガ】に飛び蹴りをくらわせ、女子生徒を守ったという事実に気がついた生徒たちの顔に動揺が走る。特に女子生徒に魔法を放ってしまった生徒の顔は蒼白になっていた。


「ちっ、世話の焼ける生徒たちだなまったくーーー」


 その言葉を最後に、サディの意識は途切れた。

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