プロローグ 鬼畜教師 降臨
初投稿です。よろしくお願いします。
『教師、サディ=デーモンド。国立アルディバル学園への異動を命じる』
その通知を見て、サディはため息をついた。
「また異動かよ」
教師職について2年目になるが、どこの学校でも1ヶ月以上続いた試しはなかった。もう何回異動通知をもらったか分からない。
「やっぱ、教員免許持ってないからかな。チッ、この学校には結構活きの良いのが居たんだけどな」
残念そうに言ったあと、サディはニヤリと笑った。
「まあいい。また次の学校で活きのいい奴を探せばいいか」
十年前に現れた人類殲滅生物『魔王』に対抗するため、人類は魔法という分野を産み出した。人々は魔王に対抗するべく日々魔法の研究に励み、必死で努力していた。学校でも魔法の授業をメインに行うようになっていた。
国立アルディバル学園は、魔法を得意とする者の中の一握りだけが入れるという、超難関校だ。入れるだけでも名誉だと呼ばれるこの学校は、教師の質も高い。ただ一人、二年三組の元担任を除いては。
「今日、新しい先生が来るんだってよ。ヤダル先生がクビになったから」
「あ、それ聞いた。ヤダル先生、またお酒飲んで暴れたんでしょ?やっとクビになったんだ。あの先生、授業に対するやる気がないから担任辞めてほしいな、って思ってたんだよね」
「あ、それ分かる」
二年三組のやる気のない教師がクビになったせいで、今日から新しい教師が来る、という非日常的な状況に、クラスの雰囲気は期待と不安で入り交じっていた。
その時、がらがらと教室のドアが開く。全員慌てて席についた。
入ってきたのは青年だった。身長だけ見ればこのクラスの生徒達と大差ない。脇に出席簿のような物を抱えている。
生徒達の間で、ざわめきが漏れる。
(転校生かな?)
(クラスを間違えたんじゃない?)
(でも出席簿みたいなの持ってるよ)
「えー、今日から新しくこの学校で働くことになって、このクラスの担任になった、サディ=デーモンドだ。よろしく」
青年は教壇の上に立つと、全員を見回しながら、言う。
「ま、この身長だから驚くだろうがその内慣れるだろ。サディ先生って呼んでくれ」
青年が自己紹介をすると、辺りにホッとしたような空気が流れた。
(よかった、まともな先生だったわ)
(ヤダル先生とは大違いだな。ヤダル先生とかすごいやる気なかったし)
(それに比べて、この先生はなんか良さそうだね♪)
その時、授業開始のチャイムがなる。生徒の一人が興奮気味に叫ぶ。
「先生、早く授業を始めて下さい!」
すると何故かサディがニヤリと笑った。
「早く授業を始めろ、か」
そして、誰も予測していなかった事を口にした。
「じゃあとりあえず、全員俺に土下座しろ」
次回から主人公の鬼畜ぶりが爆発します。