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〜赤色、黄色、青色〜


不思議の国のアリスという本をご存じでしょうか?

うさぎを追いかけたら異世界に〜と人々に知られている異世界トリップものであります。




自分の場合は異世界に来たらうさぎに追われて死にかけたのですが。




――――


「なるほど。気がついたらレプーレ草原にいたということですか。」

「……はい。」

今までの事を隊長さんに話した。

【レプーレ草原】は自分がうさぎに襲われた草原の所だ。


「魔法でこちらの方に飛ばされたのかもしれませんね。」

「……はい。」

ついでに異世界から来たという事は言っていない。


「そこで襲われて、助けられてここに来たと。」

「……ハーフムーンサーベルって人に助けられました。」

半月の(ハーフムーン)片刃の刀(サーベル)殿ですか。なるほど彼女なら複数の相手でも勝つ事ができるでしょう。」

あ、知ってるんだ。

「彼女は異名持ちの冒険者ですからね。」

「……なるほど。」

わからん。けどすごいというのはわかった。


「では、これからどうされますか?……えっと。」

「……?」

あ、そっかまだ名前言ってなかったな。


「自分は浦田(うらた)(りょう)と申します。」

「ウラタ殿か。……ふむ、なるほど苗字持ちなのですね。」

「?…ええそうですね。」

「話を戻してこれからどうされますか?」

少し低いトーンで話しかけられる。

「………。」

ど、どうしよう。住む家もない。頼る人もいない。お金もそんなにない。

完全に詰んでいる。後先真っ暗である。やばい泣きそうになってきた。




「ちょっとー隊長ー!いじわるなんじゃないのー!」

「そうよ〜そうよ〜。」

「せめて彼の生活が安定するまで私達で面倒を見るべきであります!」

後ろの人達が話に割り込んでくる。

発言した順に。

赤毛の元気な子、金髪くせっけの垂れ目の子、暗い藍色の真面目そうな子が近くまで来て話してくれた。

い、いい人達だ……。ごめんなさい…さっきカツアゲされるとか言って。


「あなた達ねぇ…。」

ふぅ。そう息を吐いてこちらの目を見る。


「わかりました。では、宿とギルドを紹介しましょう。えっと宿は…」


「はい!はい!隊長!あたいの宿!あたいの家の宿紹介します!」

そう言って赤毛の女の子が手を上げて主張する。


「……本当ですか?」

嬉しい。ハーフムーンさんも優しかったし、ここの人達って本当に優しいな。


「本当!本当!ちょっと待ってね〜。」

ふっふふ〜ん。と鼻歌を歌いながら紙に何かを書く。


「はい!これ!これを渡せばタダで泊めてくれるよ!」

「え?いやでも…さすがにタダで泊まるのは」

「いいから。いいから。」

そう言って何か書かれた木の札を手に握らせる。


「あ、ありがとうございます。」

「いいって、いいって!」


「では、ギルドの場所をお教えしましょう。紙に簡単な地図を書いておきますね。」

と、藍色の子。

「あ、じゃあ私の宿の場所も書いておくよ!」

そういって、地図の書かれた一枚の紙を渡される。

「えっと、ここが今いる場所で、ここが宿。ここがギルドだよ。」

「ギルド夜はしまっているけど〜、朝早くからやっているから〜明日行けばいいと思うわ〜。」

と金髪の子が教えてくれる。




そして隊長がオホンと咳払いをしてから話しかける。

「わかりました。本日は遅いですし、また後日にいたしましょう。」




こうして自分は初めて異世界の街に踏み出した。




--- とある警備兵の会話 ---


「いや〜本当に可愛いかったよ。ウラちゃん!」

「あんな可愛い子滅多にみないですよね。」

「スッーハ。スッハー。」

「アンタ何やってんの?」

「あの子の香りがちょっと残ってるのよ。…いい香り。」

「まじで!?スーハースハー。」

「スーーー。ハー。スーーー。ハー。」

「スッーハ。スッハー。」


「あなた達……。何やってるのよ。」

「あ、隊長殿。」

「あ!いじわる隊長だ!」

「どS長ね。」

ガンッ!ガンッ!ガンッ!

「あなた達は職務を忘れているのではないですか?」

「ひどい〜ぶつなんて。」

「い、痛ぇ。」

「私は別に悪口言ってないじゃないですかぁ!」


「我々の仕事はなんですか?」

「この砦を守ること!」

「国民の安全を守り〜。」

「モンスターからの脅威に自らの身を挺し壁となることであります!」

「その通りです。だがそれだけではありません。」

「「「?」」」


「他国からの侵略を防ぐ意味でも守らなくてはいけないのですよ。」

「そりゃそうっすよ。」

「どんな敵が来てもここは通さないわ。」

「何千と来ようと守る所存であります。」

「あなた達それがわかっていながらあの子が他国の刺客やスパイだと疑わなければいけないでしょう…」


「あー。でも可愛かったし。」

「可愛ければなおさらでしょう。」


「ま、魔法で飛ばされて来って…」

「嘘かもしれません。」


「襲われた…って言ってたでありますし」

「同情させるための演技かもしれません。」


「そう言えば彼っていきなりマント捲ってビックリしたな〜。そんでいい身体してたよね!」

「いい肉つきで…」

「思い出してきたら鼻血が…」

「それこそ我々に色仕掛けをして見逃そうと思ったのでは?」


「えー。そんな感じではなかったと思うのですが。」

「世間知らずって感じだったわよね。」

「箱入り息子…くぅ〜!いいでありますな!」


「ハァ…あなた達は本当にもう……。念のためにしばらくあの子が怪しい動きをしないか気にかけなさい。何かあったら私に報告するように!いい?あと持ち場に戻りなさい!」


「「「はーい。」」」





「思ったのだけどなんであなたの家の宿を紹介したのでありますか?」

「恩を売って覚えて貰う為!」

「なんてやつでしょう。」

「やらしいわね。ん?やらしい?」


「どうかした?」

「あの宿の近くって男娼の店がとても多かったですが大丈夫かしら?」

「あ……そうだった。」

「なんで忘れてたのですか。」

「だ、だってずっと出禁になってるから忘れてた。」

「……大丈夫かしら。」

「……仕事終わったら確認してくる。」

「彼の寝込み襲わないでね。」

「しないよ!…ちょっと寝顔見るだけ。」

「「いや、ダメでしょ。」」





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