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〜 質疑 、そして認知〜

どうも浦田(うらた)(りょう)です。

職務質問はご存知でしょうか?

日本の警察官の職務上、犯罪を犯しうる可能性が相当にある者に対して、呼び止めるなどして質問を行う、必要最小限に用いられる行為であります。

自分も外を出る時には警察にビクビクしていたものです。悪いこともしていないのに。


そうです!自分は悪いことはしていません!

でも、どうしてでしょうね。怖くなって何も喋れなくなって不審者になってしまうんですよ。





「え〜と君はどうして私たちの国の砦の近くでウロウロしていたのかなぁ?」


「………。」

今、自分は鎧を着ている警備員のようなお姉さんに大きな門のところまで連れてこられて、複数の綺麗なお姉さん達に職質されています。



どうしてこのようなことになったのかというと、

ハーフベルさんから貰ったマントのフードを被って香りをたのしんだり、スマホをいじってWi-Fiが無いことに絶望したり。

砦の周りをウロウロしていること数時間ほどしていると鎧のお姉さんに声をかけられたのだ。


逃げようとも思ったが足が遅いし、それにこの人達……なんか槍みたいなもの持ってるんだよねー。

逃げたら後ろから刺されるかもしれないからね。

平和的にいこう。





「えっと……。」

連れてきた

「あ、そうだ。身分を証明出来るものを提示して頂けるかしら?」


身分証明?どうしよう、免許証なんて持ってないしな……

TSUT○YAのカードでいいかな?

財布を漁っていると、一つのカードを見つける。

「……こ、これでよろしいでしょか?」


それは学生証であった。


使う機会などもうないと思っていたが……

写真も付いているし……見せてみよう。


「むむ?ちょっとフードをとってもらえるかな?」

「は、はい。」

フードをとって顔を見せる。

あんまり見せたくなかったのだけどな。


嫌な顔されるし、確実に絡まれる……悪い意味で…

「…お…おお。」

「…ひゅー。」

「………。」

え?なに?写真以上に不細工びっくりしたのか。

にやにやしてる人もいるし、

やめて。見ないで、もうマジやめて。精神的に見られるだけでもキツい。


「…う〜ん。ちょっと待っててもらっていいかな?」


「!?」


こ、これはまずい。確実に更に仲間を呼ばれて、

『おい、ジャンプしてみろよ』だ!

カツアゲされる!


だってこの人達なんか獲物を見るような目でこっち見てるもの!

骨の髄までしゃぶられる!……しゃぶ…。


……エ、エロいとか思ってないし!



もうお金がないからボコボコにされる……


ガクブルしながら立ち尽していた。





――――




「うーむ。見たことない文字だねぇ〜。」

「あらら隊長でもわからないか。」

「う〜ん。どこの種族でもこんな複雑なものはないんだけどねぇ。」

「でもこんな立派な身分証明物は初めて見ましたよ。」

「まぁなんて書いてあるかはわかんないんだけどねぇ〜。」

「どうします?隊長?」

「うーむ。」



なにやら偉い人を連れてきて即席の会議を始めたようだ。

連れてきた人も女の人だ。なんだこの国?

女の人じゃ危ないんじゃないのか?男に絡まれりするんじゃないか?

まぁ自分はそんなナンパみたいなことはできないからな。


「失礼。少しお伺いしてもよろしいか?」

「うぇ!?…あ、えっと……はい。」

隊長と呼ばれる人に急に話しかけられて驚いてしまった。


「貴殿の出身の国とここへ来た目的をお教え願いたい。」

「え、え〜と出身国は日本で、来た目的は……」

来た目的はどうしよう…。

うさぎに襲われて……ここに来て……観光?…違う違う…うーん、安全の為?

「……えっと、襲われて……ここに来たら安全だと言われ…」


「なんだと…」

「襲われた!?」

「……。」

なんか皆さん殺気立ってる。え?なんだろう。うさぎ程度に情けないとか、男なのに情けないって思われてる?

「す、すいません。て、手も足も出ずにされるがまま(・・・・・・)で、」


「されるが…まま……だと……。」

「……くそ。」

「そいつは私が八つ裂きにするわ…。」


さ、更に怒らせてしまった!ど、どうしよう。


「あなたたち黙っていなさい!」

と隊長が一喝し静まる。スゥッと息を吸って自分に話しかける。


「……そのマントは?」

「あ、実は襲われた時に服をズタズタにされてしまい…このようになってしまい…」

マントを少しめくり穴の空いたジャージを見せる。


ざわっ!

後ろにいる人達がまた騒ぎ出す。

しまった!何自分で墓穴を掘ってるんだ!猥褻物陳列罪わいせつぶつちんれつざいだっけ? 公然猥褻罪(こうぜんわいせつざい)とかで捕まる!

すぐにマントで隠し、

「すいません!汚いものをお見せして!」

「い、いえこちらこそ失礼なことを聞いてしまいました。」

「……」

……もうやだ。人と関わると面倒だし、迷惑をかけてしまうから……家に帰ろう。

そうだ。そうしよう。ここまで歩いて来たのだから歩いて帰れるでしょ。


「……やっぱり自分は自宅に帰ります。申し訳ありませんがここがどの辺りなのか教えて欲しいのですが…えっと、日本のどの辺りなのでしょうか?」

「う?うむ?…そういえばその『ニホン』とはどこなのだろうか?」

Why?え?あ、この呼び方じゃわからないのかな?そうだよね。うん。

「えっと、他の国では『Japan』というのですが…」

「聞いた事はないですね…。この近辺にそのような場所は…」

え、うそ。もしかしてまさか。いやいや。ここの地名とか自分が知っていれば帰れるのではないか!

「…ここってどこなのでしょうか?」

「ここはラオレオネ国であります。西の大陸で一番大きい国なので聞いた事はあるかと思います。」

ま、全く聞いた事ない。

「もし、ご自宅までお帰りになるのでしたら乗合馬車までお連れいたします。」

は!?馬車!?

「あの…電車とか、バスってないのでしょうか?」

「…ばす?でんしゃ??ですか?」

とぼけているのではなく、本当に知らないようであった。






ツノのついたうさぎ、金髪美人コスプレイヤー、知らない国、発展していない文化。

考えないでいたが、ここはまさか。

夢の中であるのではないかと頬をつねる。

ツノで突かれた程の痛みではないが痛みを感じる。

まさか






異世界トリップですかぁぁあぁあ!?






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