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〜青空魔法教室④魔力循環〜

アンドレーナさんが吹き出した瞬間周りの人の目がこちらに向いた気がした。

そんな人の目線に狼狽うろたえている。

え?何?なんかおかしいことした?

「ど、どうしましたか?」

「え!?あ、いや、その…」

「?………!?」

マントをはだけた場所を見ると穴だらけジャージが目に入る。

しまった!このジャージは今穴だらけだったんだ!

「すいません!」

急いでマントを着直す。

なんで自分はこの状況で数日を過ごしたのだろうか!?

まずは服を買わなきゃだろうが!

やっちまった……。


これだと夜に出る、コートの下はすっぽんぽんの変質者と同じじゃないか!

やばい。こんな真っ昼間からこんなことをすれば逃げられない!

違う!そうじゃない!速攻で捕まる。

待て待て!マジで変質者と同じ思想になってしまっている。

そんなこと考えてる場合じゃない!


「えっと、あの、これはその。えっと……。」

焦っているせいかうまく言葉を探せない。

そうしているとアンドレーナさんが自分の手を掴み引っ張る。

「申し訳ないッス!移動するッスよ!」


え!?あ!待って!違うんです!待って!本当に!警察だけは勘弁してください!



そんな悲しい心の声は引っ張るアンドレーナには届かなかった。





〜〜〜〜〜〜〜〜





自分とアンドレーナさんは広場から離れた住宅街のようなところを歩いている。

「〜という訳でこんな格好になってしまっているんです。」

どうしてこんな格好になったのかをアンドレーナさんに説明した。

おのれ、あのツノうさぎ共め!

「なるほど、でも今度からは警備員さんにお世話になちゃうッスからやめて下さいッス。」

「はい。以後気をつけさせていただきます。」

「そ、それにッス!男の人が脱ぐなんて軽々しくやっちゃダメッスよ!」

「あ、はい、わかりました。」

これは配慮が足りなかった。一歩間違えれば大変なことになっていたからな。

次からは…というよりも明日にでも服を買いに行こう。


アンドレーナさんはチラチラこちらを見ている。

「そ、そういえばリョウさんって面白い服を着てるッスね。」

え?と思ったがそういえばアンドレーナに会うときはいつもこのフードつきのマント着てたから下のジャージはあんまり見えてなかった……のかな?

「あぁそうですね。こっちでは珍しいですね。自分の国では多くの人が着ている服なんですよ。よく伸びて動きやすい生地でできてるんですよ。」

「へぇ〜特注で作ったッスね。良い品ッス。」

「いやいや、普通に売られてる物ですよ。」

「え?でも、リョウさんの体格にあってるから特別に頼まないと作れないと思うッスけど?」

う!そりゃ、横ばっかり大きいからなぁ…

ジャージ以外の服を横に合わせて試着するとブカブカで袖を折って着なきゃだよ!ちくしょうめ!

……そういえばこの世界に来てから太ってる人ってこの街に来た時の夜で見たあの恐ろしい人とチラッと見たギルドの職員さんぐらいだよなぁ。

…あれ?もしかしてこの世界だと自分って特注品でなきゃ服って買えない?

……いやいや。まさか。

「ま、まぁこの服以外だとぴったりな服はないんですが…」

「リョウさんはいい体格をしてるッスからね。そういうのは大変だと思うッス。あはは。」

「え!?……そうですね。」

い、いい体格?皮肉られているのか?

「私は頑張って食べても動いたり魔力循環のせいで、いい感じにふくよかにならないッスよ。」

え?

…あー確かに首から下でヘソから上の部分はそんなに大きくはないけど、スレンダーでいい感じだと思うけどなぁ…。

ん!?ちょっと待て。

「魔力循環ってなんですか?」

「あぁ魔力循環っていうのは体内の魔力が身体の中で巡ることによって肉体が最も適している状況にすると言われてきたッスね。」

「!?」

「でもこの魔力循環がいいと魔力が溜まりにくいって言われるッス。リョウさんみたいに大きな身体には多くの魔力があると言われて……」

「アンドレーナさん!先程言った『肉体が最も適している状況』というのはどういった状況なのでしょうか!」

「え?え〜とその肉体労働がやりやすい…その……背が高くて引き締まった身体ッスね。」

「なん……だと……」

これは…まさか。

「えっと!でも魔力を多く使われなければ魔力循環は鍛えられないっていうッス!だから出来るだけ魔法の詠唱を長く唱えると、体内の魔力の消費を抑えられるッスよ!でもこの詠唱を長くするには勉強して暗記しなくてはいけないッス。難しい魔法ほど教えてくれる人は少ないし、覚えるのに数年はかかるので自分の得意な魔法分野を理解するのが大切ッスね。あとこれは余談ッスけど…魔法を鍛えるための学校があるッスけどこれは〜〜……」

アンドレーナさんがこの世界のことを話してくれているのだが今自分の頭の中は

これはまさか、これはまさか。ということでいっぱいである。


ちょっと待て、今言った事をまとめてみよう。

アンドレーナさんには悪いがスマホを取り出しメモを取る。

・魔力循環が良いと背が高くて引き締まった身体になれる?

・魔力を多く使えば魔力循環は鍛えられる?

・『魔法の詠唱を長く唱えると、体内の魔力の消費を抑えられる』、つまり魔法の詠唱を短くすれば体内の魔力の消費が多くなる?

・魔力循環がいいと魔力が溜まりにくいらしい。でも今の自分の身体みたいに大きな身体には多くの魔力があると言われている?つまり魔法を覚えればいっぱい使える?


よし、とりあえずの事は書けただろう。不確定要素は多くあるけど…


つまり…


自分は魔法を覚えれば…背が高くてスラリとしたリア充になれる…?




そんな細い糸のように頼りない希望ではあるが、自分が手繰り寄せればどこにかにつながっているのではないかと期待してしまっていた。





浦田遼のスマホメモ

圏外   電池95%


自分で忘れないようにメモにやるべきことを書いておくことにする。

でも電池は大切なので素早く打って素早く電源を切ること。

アプリで遊ばないこと。


・はーふむーんさーべるさんにお礼とマントを返す。

 ↑このお礼のためのお金を稼ぐ。

  あとマントを返すために服を買う

・ポーションを作ってみる。(師匠がポーション作った時の動画は別フォルダにて)

new!・魔法を覚えて魔力循環を鍛える。

    ↑目指せ!リア充!

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