〜青空魔法教室②〜
よくこの辺りを見渡すとこの前来た市場のようだ。
緊張して歩く事に集中して周り見てなかったからね。仕方ないね。
あ、前行ったあの露店だ。なんか店員さんとお客さんと話してるみたい。
……なんかお客、あの変なお面つけてる。なんかの宗教の勧誘か?それともナンパ?
あ。なんか追い返された。ここにはいろんな人がいるんだなぁ。
自分たちは屋台で買った肉の串焼き(塩味)を食べていた。
「これすごい美味しいですね!」
「そうッスね、美味しいッス。」
一本で30ルト、銅貨3枚で買えたのだ。
300円でこれはお得な気がする。
「しかもあのお姉さんもう一本おまけしてくれましたね。」
そう言っておまけの串焼きを食べ始める。
「そ、そうッスね。よかったッスね…。」
アンドレーナさんが買った後で『お姉さんすいません。自分にも一本お願いします。』と言ったらおまけしてくれた。嬉しい。
「また行きたいですね。」
「…あのおばさんも喜ぶッスね。」
「?…そうですね。」
なんで機嫌が悪くなったんだろう?
……ってアンドレーナさんおまけもらってなかったじゃん!そりゃ不機嫌にもなるさね………。
「じゃ、さっきの話の続き、【変化魔力】の何かに変えることができる魔法を教えるッス、この魔力は応用力が高く日常生活で使われている事が多いッスね。物語的には【召喚魔法】、が代表的ッスね。他にも精霊を操る【精霊魔法】やなんらかの物の形を変える【形状魔法】、他にも色々あるッス。
召喚魔法は魔力をモンスターの糧にして呼び出して従わせる事ができる魔法ッス。召喚されたモンスターの事は召喚獣って呼ばれるッス。魔力で食欲などを抑えられている召喚獣は野生のモンスターと違って安全ッス。
だけど契約しないと召喚できないッス。この契約を獲るは人それぞれで、もともと野生だったモンスターと契約をして召喚させる方法、召喚師に弟子入りをしてそのお師匠様の召喚獣の卵と契約する方法があるッス。
召喚魔法を使えれば召喚者を名乗る事ができるッス。」
「あの、名乗れるといい事ってあるんですか?」
「召喚者が条件の仕事を受ける事ができるッスね。」
なるほど資格みたいなものか。
見たことないけどユーキャ○に召喚師ってあるのかな?
「精霊魔法は召喚魔法と似ていて、魔力に与えて力を借りるという魔法ッス。契約はいらないッスけど、精霊に気に入られないと力を借りれないッス。精霊魔法を使えれば精霊使いを名乗る事ができるッス。
あと精霊魔法は召喚魔法は似ているって言ってたッスけど、『神聖な精霊とモンスターを一緒にするな』と精霊使いに怒られるので注意ッス。でも、召喚獣を馬鹿にすると召喚者さん達に目つけられちゃうからダメッスよ。」
宗教的なものかな?
「召喚者と精霊使いって仲が悪いんですか?」
「すっごい悪いッス。」
「……すっごいですか。」
「本当に目を合わせるだけで喧嘩してるッスね。どっちの魔法が優れてるのかで言い争っているッス。」
信者と信者の戦いというのは本当に恐ろしい。
宗教しかり、アニメしかり、アイドルしかりだ。
「魔石魔法は魔石を媒体にした魔法で、決まった魔法を決まった威力で発動できる事ができるッス。魔石さえあれば、誰でも使用可能ッス。
この魔石というのはモンスターから拾得した物を加工することによって発動できるッス。種類によって効力が変わり、モンスターの強ければ魔法の威力が強くなるって言われてるッス。中には魔法を習得できるレア物もあるッス。
でもこれは使い捨てでめちゃめちゃ高価な物ッス。ご息女が生まれた時やお守りでお金持ちの方々が持っている物ッスね。」
これなら自分もできるのでは!?
「魔石っておいくらぐらいなんですか?」
「そうッスね…。ピンからキリ、ッスけど安いのは大銀貨くらいッス。高いのは白金貨で買えるッスね。でも高い魔石は大概オークションに流れちゃうッスから白金貨以上になるッスね。」
十万円から……一千万!?でも買えないのか。
この世界にもオークションがあるのか。ネットオークションじゃなくて本当の競りってのも見てみたいな。
「た、高いですね………。」
「命を守るための投資と思えば安い物ッスよ。まぁお金を持ってる人だけの特権みたいなものッスからね。『死して屍拾うもの無し、』とギルドの偉い人だって言っているッス!」
時代劇で聞いたことのある言葉だ。
現代社会で生きていた自分は『死』が付き纏うこの世界にまだ慣れない言葉……あの角の生えたウサギ達に追われる場面を思い出してしまった。
少し顔色に出てしまったのだろう。
アンドレーナさんが心配そうな顔で覗き込んでくる。
自分は少し笑って『大丈夫だから続けて欲しい』と言った。
「えっとじゃぁ、次は他にない特殊な魔力【特殊魔力】を使った特殊魔法ッス。特殊な血統や突然変異などで生まれた魔力を使って発動できるッス。とある状況によって使える魔法、ある条件をクリアすると使える魔法などがあるッス。
この【特殊魔力】は発現率が非常に低いため、その魔力は強力なものであることが多く戦闘では大いに活躍するッス。でも対人戦ではどんなものなのかわからないので対処もしにくいッス。要注意ッスね。
特殊魔法の中で最も有名なのが結界魔法ッス。これは、王族のみに発動できる魔法ッスね。
『王都守護戦記』で王都に大量にモンスターが侵入するのを防ぐために発動したんスよ。
モンスターが進入してこないように王都全体に結界を張ったんッス。これのおかげで被害が大幅に抑えられたッス。
お世継ぎ様が生まれて結界を張る事のできる人が王族と認められるッス。
できないと分家として扱われちゃうって聞いた事があるッスね。」
「へー。王族ってのも大変なんですね。」
「そうッスね。他に【特殊魔力】を持っている貴族なんかでも地位を得るために日々魔力を切磋してるって言うッスからね。」
「なるほど。大変ですね。」
「はいッス。大変みたいッス。」
「………。」
「………。」
会話ぁ!息をしろぉ!
そうだ。褒めよう!アンドレーナさんを!
なんかどっかの会話術で褒め上手は会話上手って言ってた!(気がする)
「アンドレーナさんって……えっと。……物知りですね。」
「え、そうッスか?常識ッスよ?」
「でも…そう!教えるのが上手なんですよ!自分はそんな風に物事を教える事が出来ないですよ。」
「ほ、本当ッスか?そう言ってくれると嬉しいッス。妹がいるッスから時々学校の勉強を教えてるスよ。」
お、ここにも学校があるのか。
「あ、そろそろ着くッスよ。」
見えてきたのは、噴水や何かの像があるが広く平らな場所。
歩行者がちらほらと見え、休憩をしてる人や会話を交わしたりしていて公園のような憩いの場のような場所に感じた。




