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〜初めての依頼料〜

ハーフムーンさんから貸して貰った銀貨に大銅貨。

お使いで余った小銅貨3枚と銅貨1枚はお駄賃としてくれた。

しめて1113ルト。


そして。

「こ、これが今回の依頼料の大銅貨5枚で500ルトになります…ッス。」

「おお。」

木のトレーには少し大きい銅貨が置いてあった。

これが初めて自分で稼げたお金か。

なんだか笑みを漏らしてしまうぐらい嬉しい。


「……も、申し訳ないッス。」

「え?」

アンドレーナさんが唐突に謝ってくる。

なんだろう?

「い、いや、もうちょっと依頼料は高いと思っていたッスけど………ここまで低いとは思ってなかったッス。」

「え?これって低いんですか?」

500ルトだから5000円?でもご飯と寝床が付いてくるから結構いいと思うのだが。

まぁ師匠は三百万稼いだらしいけど。


「二日でこれは……ちょっと…いや…結構…ひどいッス。」

「そ、そうなんですか?」

「それにこの依頼!なんだかんだ初めての依頼達成なんッスよ!それぐらい大変な依頼なのにこれだけってのは私も納得いかないッス!ギルドマスター横暴ッス!」

少し興奮気味のアンドレーナさん。

そんなアンドレーナさんの後ろから誰かが近づいてきた。

「ほう?誰が横暴だって〜?」

アンドレーナさんの後ろから声をかけてきた人物は、

金髪と白髪の間の色の髪。腰もしゃんとした、マリー・アントワネットのような着飾った老婦人がそこにはいた。

「……え?…ッス!??!」

アンドレーナさんはその人を見ると顔を真っ青にした。

「せっかく依頼を達成したってのに、そんな辛気臭い話してんじゃないよ!これじゃぁ喜べる物も喜べなくなるじゃないかい!」

「す、すいませんッス!ぎ、ギルドマスター!」

「私に謝るな!その子に謝りなさい!」

「は、はいッス!」

そう言って背筋はピンと張りこちらに向く。

「申し訳ありませんでしたッス…。」

「あ、いえいえ気にしていませんよ。」

俺のために怒ってくれてたのに謝るなんて少しおかしい気もするが。


「いやぁ、すまなかったね。この子あんまりこういう仕事が来ないからあんまり慣れてないんだよ。」

老婦人はこちらをジロジロと見て、

「へぇ………。」

と顎をさすっている。

「あ、あのなんでしょうか?」

ちょ、ちょっと怖いんですけど。

「あぁ、ごめんごめん、あいつの所に二日もいられる奴なんてどんな奴かと思ったけど………。うしゃしゃ。意外な子でびっくりしたよ。」

い、意外な子?うしゃしゃ??あいつって???

「あ、えっと。」

な、なんて言えばいいんだ?


「おい、なんで先に行きやがんだ。」

あ、師匠。よかった。

「うしゃしゃ、すまんすまんディディ。お前が手塩にかけているって奴を見たくてな。」

「………別に手塩にかけているってほどでもねーよ。」

少し赤くなる。師匠そこは、

『べ、別にあんたのためなんかじゃないんだからね!』みたいに言わないと。

あ、でも男のツンデレはこんなものか。

「お前がそんな反応するところなんて初めて見たわ!うしゃしゃしゃしゃ!」

なんかこの人さっきと話し方違うな。仕事と私情で話し方を分けてるのかな?

あ、師匠の顔がさらに赤くなり毛が逆立つ。これが怒髪天、初めて見た。

「そんなに死にてぇなら俺がやってやるよ…テメェ……。」

「うしゃしゃ!照れるな!照れるな!うしゃしゃ!」



そんな感じの話をしながら師匠がギルドマスターさんに攻撃する。

そんなギルドマスターはうしゃしゃ言いながらうまく避けている。

二人とも結構いい歳なのにすごい動けるな。


少し離れて二人の様子をアンドレーナさんと見ていた。

アンドレーナさんは『はぇ〜ッス』小さな声で二人の攻防を見ていたが、俺にはさっぱり見えないくらいになったので、周りを少し見ると。


多くのギャラリーに囲まれていた。

何だろう。プロレスの会場みたいになっている。

『お前どっちに賭ける?』

『ギルドマスターが逃げ切るに200ルト。』


なんか賭け事みたいな事をしてるみたいな人たちもいるし。

……フード被っとこ。



あの仲良しそうな感じを見るに……師匠の知り合い………なのかな?

でもあの人って誰なんだろ?


「あの、アンドレーナさん。」

あの二人の声が大きいので少し近づいて聞いてみることにした。

「は、はいっす?!」

少し声が裏返って返事をしてくれた。

「あの『うしゃしゃ』言っている人って誰なんですか?ギルドマスターって言ってましたけど?」

「えっとこの【ラオレオネ】の冒険者ギルドマスターのジェネ・ディクトレア ッス。

このギルドで一番偉い人ッス。」

と、ひそひそ声で返してくれる。

女性のギルドマスターなんだ。女社長みたいで格好良いな。

「で、なんでその一番偉い人が師匠と話してるんですか?」

「あの二人幼馴染だったみたいッスよ。」

「ヘェ〜、だからあんなに仲がいいんですね。」

「な、仲が良いかはわかんないッスけどルメディ・キャディ氏がこの国に帰ってきた時はすごい喜んでたって聞いたッス。」

「帰ってきた?」

「はいッス。なんでも結婚して別の国に行ったけど、今はこっちに来てポーションを作って生計を立てているって聞いたッス。」

「え!?師匠って結婚してたんですか!?」

衝撃の事実ってほどでもないけど驚いた。

いや、まぁ……師匠のご家族を見たことなかったから、わからなかったけど結婚してるよな。

面倒見いいし、手に職はあるし、よく見ると格好良い面影がうっすらと見えてくる気がしてきた。

でも今は離れて暮らしているのかな?

「えぇ。なんでもお子さんもいるとか聞きましたけど。」

「は〜。なるほど。」

師匠にも家族がいるんだな。

少し羨ましい。


…あーちょっとホームシックになってしまった。

家族と家のPCが恋しくなってしまう。



「おい!リョウ!お前に話があるんだった!ちょっと来い!」

おっとご指名された。急いで行こう。

「じゃぁ、アンドレーナさん、また今度。」

「え!?…はいッス。またねッス。」

そう言って小さく手を振っていた。


さっき師匠が入っていった奥の部屋へと向かった。

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