薬師とギルドマスター
--- 奥の部屋 ---
「で?話ってのはなんだ?」
「うしゃしゃ。いきなりだな〜。お茶でも……」
「いやいらん。」
「そう?じゃあ本題に〜。おっほん。
…ここ最近、魔物が異常に強くなってきている。その所為でポーションの消費が著しく増えているんだ。各国でポーションの数が少なくなってきている。このままではポーションの生産が追いつかずに枯渇するだろう。」
「…………。」
「これから多くの死者も出てくるかもしれない。それを防げるのは質の良いポーションを作れる奴だろう。だから王都は腕の良いポーション職人を集結させ多くのポーションを作り各国に配布する計画を提案している。特にお前は必ず来るようにと大臣様の御達しだ。」
「……ちっ、王都に集中させたら他の国にポーションに運送するにしてもそんな危険な状態じゃあ多くの量運べねぇじゃねえか。各国に配布もできねぇで王都に残るだけだろ?
で、多く使うのは王都にいる金のある貴族やら金持ちの王都の肥えた豚が保険の為に持ち歩くぐらいだろうが。」
「…だろうな。でもそれだけじゃないような気がするんだよな。」
「それだけじゃない?」
「ギルド本部のギルド長が各国廻って強い奴を王都に集めているらしいんだ。」
「…マジで?」
「マジっぽい。」
「あの人が動くのか。それってヤバイ事が起こるって言ってるようなもんだろ。」
「だよな。で?どうする?私としてはとりあえずでも王都に行って欲しいんだけど…。」
「……どうすっかなぁ。」
コンコンッ
「し、失礼するッス。」
ドアを叩く音と共に若い女の声が聞こえる。
「おい!許可をするまでは入るなと言ってるだろう!」
…まだ新人なのか?
「す、すいませんッス。で、でもこの依頼ギルド…というかギルドマスターからのご依頼が達成されたのでご報告をさせていただこうと思ったッス。」
「え?なんだっけ?」
「この『ポーションの精製の材料の採集のための手伝い兼護衛』ッス。」
「え?え?それ本当!?」
「はいッス。じゃ、私は依頼料を受け取りに経理部に行ってくるッス。」
「…………。」チラッ
「……こっちを見るんじゃねぇ。」
「本当なのか!?え?どんな奴!?よく我慢できたな!お前も、相手も!うっしゃしゃしゃ!」
「おい、さっきの話だが………」
「ちょっと休憩な。」
「あ?」
「その話はまた後でな〜。うしゃしゃ!」
バンッ
ドアの音と共にあいつの足音が遠のいていくのが聞こえた。
「お、おい!」
……嫌な予感しかしねぇ。
そう言って俺もあいつの後についていった。