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〜ギルドの職員の笑顔はいつも最高に〜

大きな入り口、横一列に並んだ細長い木製のカウンター席には木製の丸いイスが並んでいる。

そこではギルドの職員さんであろう人達はきっちりと綺麗な制服を着て全身を金属で覆われた鎧の人と話をしている。

市役所みたいなところだ〜って小学校の時にしか行ったことのない知識なのだが。

そう思いながら師匠を追っていく。


「おっと。お前はここまでだ。」

「え?」

奥の部屋へと向かおうとすると止められる。

「こっからは関係者以外立ち入り禁止なんだよ。」

「えー。」

「それよりお前はこれカウンターに持ってけ。」

「?」

そう言って渡されたのはあのボロボロの依頼書を渡される。

「あの師匠これ……。あれ?」

師匠どこいったん?

え、ちょ。置いてかれた…。


この紙渡されてもなぁ。どうすりゃいいんだ?

また、おつかい?

ん?あれ?なんか依頼書にハンコみたいなのが押されてある。

いつ押したんだ?



この依頼書はギルドに貰ったものなんだからギルドの職員さんに聞こう。

そうしよう。

ギルドに棒立ちしてウロウロしている訳ですが前回来た時とは違い多くの人が忙しそうにお仕事をなさってる。

カウンターどこも人並んだりしていて………あ。


その目線の先にはボッーとしているアンドレーナさんがいる。


座って何やってるのだろう?休憩時間かな?



「アンドレーナさーん。」

「ふぇッス!?何かご迷惑なことをしてしまいましたでしょうか!?」

「え?」

「えッス?」

あ、そうだった。自分マント被ったままだった。

てかこんな顔を見せないような不審者よく入れてくれたな。

「どうも。あの依頼を紹介して貰った遼です。あの時はお世話になりました。」

そう言ってマントのフードを脱いだ。

「も も も も も も。」

も?

「申し訳ありませんでしたぁぁ…(ッス)…。」

             

カウンターに頭をつけ、消えそうな声で謝罪した。

「………え?え?」

混乱する。なんで謝られたのだろうか?

『大変申し訳ございませんが、あなたの事は面倒見切れませんので他の方にお願いしてください。』 って事だろうか!?

もしかして、何気に手を握ったのが原因でブラックリストに入った!?

やべえ。こっちも謝るべきか?よし謝ろう!

「…あ、いえ。その。」

「こちらの説明不足でえらいきつい依頼を渡してしまったッス。

申し訳なかったッス……。」

頭を下げて顔は見えないが、尻尾たら〜んとしている。

「え?」


「実はあの依頼は『ポーションの精製の材料の採集のための手伝い兼護衛』ということになっていたッス。この依頼は薬師ルメディ・キャディが歳をとった為、誰かお手伝いを雇おう…ってギルド長が依頼を出したモノなんス。

けど、ルメディ・キャディが断固として断り、「俺はまだ現役だ!」の一点張りでして、

さらにポーションの制作時の(にお)い、すぐに殴られる、依頼達成報酬が低い。この三つが揃っている依頼で誰も受けてくれないので今まで誰も受けてくれずにボロボロ依頼書だったッス……。」

……そんな事を知らない自分が受けて師匠のところに行ったということか。

でも、まぁ殴られたけど、こんな自分でも結構良くしてくれたのだから、ここは感謝するべきだろう。

「アンドレーナさん。顔を上げてください。」

「は、はいッス!」

「あなたのおかげで師匠に出会えてポーション作りを教わることができました。まだ自分ではポーションを作れませんが、きっかけができました。本当にありがとうございます。」

自分も頭を下げる。

「い、いえ。わ……私は何にもしてないッス。」

頭を上げると『えへへ。』と言って顔を赤らめていた。

可愛い。

「あ、そうだ。この依頼書を師匠から渡されたんですけど、これってどういうことなんでしょう?」

「何ッスか?」

依頼書を受け取ると、じっ〜と依頼書を見ると、目をゴシゴシとして

「え、え〜とこ、ここ、この真ん中の印は、依頼達成の印でででして…」

「依頼達成!?」

「は、はいッス、こ、この依頼書をギルドの職員に渡して依頼料をもらえるッス。

なのであちらのギルドの職員に渡すといいッス。」

「……アンドレーナさんってギルドの職員さんじゃないんですか?」

「え!?いやでも……ほら。あっちの方が……良いんじゃないッスか?」

だんだんと声が小さくなる。

「え?」

あっちの方?

指をさした方を見ると、ブルドックみたいな人が他の人と対応していた。

人が数人並んでる。

「あの人がこれを担当してるんですか?」

「あ〜。いやギルドの職員なら誰でも良いんッスけど…」

「じゃぁ、アンドレーナさんこれお願いしても良いですか?」

「え!?えっと。私ッスか?本当に?」

「だ、だめでしょうか?迷惑だったら他の所に……」

「い!いえ!そんなことはないッス!やらせていただくッス!」

あ、あれ?

「あのアンドレーナさん……?泣いてるんですか?」

「……いえ。ちょっと目にゴミが入っただけッス。」

そう言ってさっきのように目をゴシゴシと拭き。

オッホン。と咳払いをして、

「ギルド職員番号01566のアンドレーナ。あなた様の達成依頼の担当をしっかりさせていただくっス。」

と、自分に、にっこり微笑みかけて奥へと向かった。


可愛い。


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