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〜 一晩で三百万稼ぐ男の背中〜

――――



暗闇の中では自分の存在が純粋に観念的なものに思えてくる。

肉体が闇の中に溶解し、実体を持たない自分の魂が空中に浮かびあがってくる。

自分はどこに行けばいいのか?

元いた場所には行けない。

新しい行き場所を与えられていない。

自分はここで彷徨さまよっているだけなのだろうか。


いや。やらなければ。

あの人に。



手なんて届かないあの人にせめて。



せめて少しでも。




――――




昨日寝る前の記憶がぼんやりしている。

なんだかずっと笑っていた気がするがなんでだろう?

そして気がついたら夢の中であった。

目覚めたときに夢の内容はほとんど忘れてしまっているが、

夢の微かな切れ端のようなものに、意識の壁に何かが引っかかっているような。

夢のストーリーラインは辿れないがこの異世界に来てからの記憶だったと思う。

残っているのは脈絡のない短い断片だけれど。

彼女。

彼女がいた気がする。

……少し眠れば続きを見れる気がする。

硬いベットの上に、自分は横になろうと…………。






「おら!いつまで寝てんだ!もう朝が終わってまうぞ!」






声が大きくてドアを乱暴に開いた音が聞こえなかったぞ!

やべ!そんな事考えてる場合じゃねぇ!


このまま二度寝したら二度と起きれなくなりそうだ。

自分はガバッと跳ね起きた。



――――


さてはて。

顔を洗い、水を少し含ませたで布でマントを軽くたたきながら洗い。

着替えようと思ったが、着替えも何も着ている服以外は持っていないのでマントを着て、

急いでパンをかじって、ポーションをバックに詰め。


家を師匠と飛び出したし街を足早に歩いてる。

あまりの勢いに。え?何?夜逃げ?

と危機感を覚えつつ、ついてきたのだが、ここは弟子として少しアドバイスしといた方がいいな。

「あの師匠。」

「あん?なんだ?」

「夜逃げは夜の方がいいと思いますよ?」

「なんで俺が夜逃げする事になってんだ!」

杖で叩かれそうになる。

「待って!待って!だってどこに向かうとか聞いてないですもん!」

「ん?そうだったか?」

「そうですよ。大量のポーションでも持って高飛びするのかと思いましたよ。」

「…ここでせっかく作ったのに面倒して別のところにやらなきゃいけねぇんだ?」

ん?あぁそれもそうか。俺はともかく師匠は材料があれば作れるんだがら別にここで作って別の所で売っても運賃丸損か。


「じゃぁ、どこに向かうので?」

「この昨日作ったポーションをギルドに納品しに行くんだよ。」

「え?何でポーションをギルドに?」

そこらの商人に売るのではないのか?

「いくつか理由があるが…1つ目に今回依頼されたのがギルドなんだよ。ポーションを使うのがほとんど冒険者だからな。いつもポーション納品依頼がされているんだ。ギルドで販売もしていてな、討伐依頼のついでにポーションを買うって奴が多いんだよ。

2つ目は優先的にギルドに納品する事でポーションを一定の相場で提供できるようにする事。これは商人に売ると必要な時に値段がものすげぇ上がっちまうんだよ。モンスターが大量に出たーなんていうともう相場の5倍になるなんてざらだったんだ。

3つ目はこの大量を買い取ってくれんのがギルドだけなんだ。100を超えるポーションを商人に売るのが禁止されてるんだ。

さっきの続きになるが、ポーションを商人が商人に売って値が上がっちまうんだよ。それで必要な時にようがなくなちまって一気に値が下がってポーションの大安売りになっちまう。商人は大損に破産、ポーションの生産元はせっかく作ったポーションをそこら辺に捨てられちまうんだよ。そんなことがあって俺は商人には売らねえんだけどな。」


「へぇ〜。そういえば今回の依頼料ってのはいくらぐらいなのですか?」

50ギル?じゃなかった50ルト?それじゃ五十円か。五百円くらいか?それでも500×(かける)300だから十五万か。すげえな。

色んな最新ゲーム機が買えるな。

「あ〜といくらだったか?まぁ金貨3枚ぐらいの仕事だ。」

「へー。………うぇあ?!?」

ちょっと待て、金貨?金貨ってあれだよな?

銀貨が1万円だろ…その次の大銀貨が10万。

その10倍だから……100万?

それが3つだから300万円?



は?


え?


ちょ。




「さ、さささ三百万ですか?」

「300000ルトだよ。」

そうだった!つい日本円で考えてた!

え?何?一晩でゲーセンのゲーム機が買えちゃうの!?

「一晩でそんな稼げるんすか!?」

「まぁな。お、ほれ。ギルドが見えてきたぞ。」

まぁなってそんな軽い…あ、やばい置いてかれる!


「待ってください!師匠!」


そう言って師匠の背中を追ってギルドへと入っていった。




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