爺婆トーク
窓から高い位置からの朝の日差しを感じ、急いで体を起こした。
やべえ、少し寝過ごした。
いつもだったら日の出と共に起きるんだが…。
やっぱりあのキノコのせいか?
キノコってのは毒を持っているのが多かったり、毒がなくても変な効果のあるものがあるからな。
昨日あいつの寝ている所から変な笑い声とか呻き声が聞こえたのもきっとキノコのせいだろう。
『お〜い。起きてるか〜?』
あーくそ、寝坊したせいで聞きたくもねえ声を聞くはめになっちまった。
俺は机の上にある鏡に向かって
「うるせぇ。今準備してんだ。邪魔すんな。」
と60年以上見合わせている奴に言い放った。
「うしゃしゃ。朝が辛くなったか?うしゃしゃ。」
くそ。いつ聞いても腹の立つ笑い方だ。
「テメェの面倒な依頼を受けてやったせいだろうが。」
『うしゃしゃしゃ。おいおい、「100も200もかわらねぇ〜。300持ってきてやる〜」なんて言ってのになぁ?自分の言った事も忘れちまうとは〜歳をとったなぁ?え?え〜?』
あぁ今すぐこの鏡を叩き割ってやりてえ。
『うわぁああああああ〜!?ばか!また鏡割る気か!?やめろ!高いんだぞこれ!』
おっと思わず鏡を力一杯握り締めるところだった。
「おっと。悪ぃ。」
『本当にお前は昔から変わらねえな〜。短気ジジイ〜。』
「うるせぇ。テメェは歳食ってるくせに婿も取れねぇ売れ残りババアじゃねえか。」
『おま!その話をしたら戦争だろうが!ぶっ殺すぞ!』
「あー悪かった悪かった。今からそっちに持って行くから、そっちも用意してくれ。」
『…ちっ。まぁいいや。こっちもお前に急ぎの用があるからな〜。』
「あ?なんだ?ここで言えや。」
『直接言わなきゃいけねえ案件なんだよぉ〜。』
「はいはい。わかりましたよ、ギルドマスター殿。」
鏡をパタンと机に伏せる。
歳をとったか………。こんなに生きられるとは思ってなかったからな。
おっと。いけねえ。変な事考えてねえで早く用意するか。
あいつを起こしてギルドに向かうか。