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〜買い物帰りの影〜





自分が歩いていくと、避けてくれるので道ができていく。なにか悪霊にでも取り付かれているみたいに。


(基本的にあっちもこっちも扱いは同じなのか…)

少しモヤモヤとした気持ちで茶髪の店員の店に向かう。




――――



露店の外装はボロボロであるが並べてある品物は輝いているようだった。

野菜、果物、卵、肉、香辛料のようなものまである。



しかし、店に近づいたというのに茶髪の店員はそっぽを向いて欠伸をしている。

見た感じは20代前半で中性的な顔立ちなのだが、眠そうにしていてお尻の辺りをポリポリと掻いている。

おっさんみたいだ。


そしてこの茶髪の女性(・・)店員……でかいのだ。

足を組んで座っていて態度もでかいが左右均整の取れた二つの見事な半球体もでかい。


つまりおっぱいがでかい。

こんなの初めて見ましたよ。

いや自分、大きいものも小さいものもどちらも好きなのですが、ここまで大きいと圧巻。

最高ですね。ついつい見入ってしまいます。


「おい、何ジロジロと見てんだ。お前?」

目に少し殺気がこもっている。

「…え。あの〜。」

「商売の邪魔すんだったら、ただじゃおかな……」


「オエッ!くさ!」


ピンと髪の毛が逆立ち鼻を抑える。

その際、髪の内側に穴のようなものが見えた。

…?あれ髪かと思ったけど耳のようだ



しっかし、ここまで言われるとかえって開き直れるな。

「そんなに臭いですか?」

ちょっと聞いてみることにした。

「くひゃい!」

鼻を抑えながら可愛く答えてくれた。

そんなに臭いかな?全然気にならなかったからこのまま来たんだけど…。

そう思ってマントを近づけて匂いを嗅いでみる。


「うわぁ!臭!オホッ!ゴホッ!ゴホッ!」

無臭だと思っていたマントが魚の餌のような臭いで思わず咳き込んでしまった。

おかしいな…。

師匠の家出た時には全然臭わなかったから大丈夫だと思ったんだけどな…。

「……お前、あのジジイの所の(もん)だろ?」

「え?」

「あの薬作っている…偏屈で目の悪い暴力ジジイだよ。」

なんか師匠に恨みでもあるような言いようだな…

「ああ。そうです。そこでポーションの製作を教えてもらっています。」

「あのジジイの弟子!?お前正気か?すぐに手を出すような、偏屈暴力ジジイだぞ!?」

殴られたのか…。男女関係なくやるんだなあの人。


「それにしたってお前。その臭いで市場に来るなよな。さすがにダメだろ。体拭いたりしてから来いよ。」

「すいません。こんなに臭いとは思わずに来てしまいました。」

「はぁ?そんな臭いなら気付くだ………ちょっと待て。お前そのマントどこで拾った?」

「え?」

「それは、【隠遁(いんとん)】【感覚保護】【耐暑耐寒】のスキルのついたレア装備だ。それを着けている奴は私は一人しか知らないんだが?」

スキル?レア装備?後で師匠に聞くことにするとして。

でもあの人のことだろ?

「は、はい。ハーフムーン・サーベルさんから助けて頂いた時にお借りしたもので、必ず返そうと……」

「…そんな臭いをつけて?」

「…………。」

や、やっやってしまった!!!どうしよ。洗ったら臭い落ちるかな…。

クリーニングに出すか?

…ここ異世界だった!


オロオロしているのをどう捉えたのかわからないが茶髪の店員が話しかけてくる。

「…まぁ、いいや。それで買う物はなんだ?特に注文した物がなかったから飯の買い物か?」

「あ、はい。そうです。」

「じゃあいつもの100ルトの食品を頼まれたのか?じゃあ用意するから待ってろ。」

そう言ってパン、野菜、卵、肉を選んで紙袋に入れている。


133ルトもらったのだが、師匠がちょっと多くもたせてくれたのかな?

あ。そうだ。せっかく余っているんだし。


「すいません。石鹸ってありますか?」

「…あるけど買うのか?1000ルトだぞ。」

「え!?そんなに高いんですか!?」

「……いや当たり前だろ。」

1000ルトって1万円!?石鹸1個で1万!?

どんだけ高級なんだ。諦めちゃうわ。

33ルトじゃあ無理…だよなぁ。

水洗いで臭いが落ちてくれるといいんだけど。


少し憂鬱になりながらも周りを見渡してみた。

そろそろ袋詰めが終わりそうだ。他の屋台の肉串持って歩く人がいる。

グキュ〜。と小さくお腹がなった。

あ、ご飯はどうするかな。お、なんか椎茸みたいなキノコのがある。

「あの、そ、そのキノコください。」

「あん?あぁ20ルトな。」



「よしできた。落とすなよ。」

少し離れたところから片手で紙袋を渡される。

大銅貨と銅貨2枚を渡す

「ど、どうも。」

ちょっと重い。

「あ、ジジイに『ポーションをよろしく』って言っておいてくれ。」

「…わ、わかりました。」



そんな会話の後、椅子にドカッと座って一仕事終えたように腕を伸ばして背伸びをしていた。




――――




「き、きつい。」

あれ?こんなに遠い距離歩いてきたっけ?と思ってしまう。

買い物を終えたらすぐに帰ろうと思っていたのに自分の体力のなさに涙が出る。

ん?なんだろう?客引きの声が無くなって……

「おわっ?」

周囲に押され少し動けなくなる。

自分で言うのもなんだがこんな臭いのによく密着できるなと思う。いや本当ごめんなさい。

なぜ押されたのだろう?と思ったが押されてできた一線の道が出来ている。

なんだなんだ?大名行列か?偉い人が通るのか?

と思って人の合間から少し見てみる。




でコツンコツンと軽快に歩く音が聞こえる。

動きやすそうな軽装、腰には挿した細長い剣に、細身のロングブーツと、特徴を押さえた衣装。

金色になびく髪、耳は少し尖っていた。


それは自分を救ってくれた【半月の(ハーフムーン)片刃の刀(サーベル)】さんだった。

今すぐにでもお礼に行きたいが………

動けない。

それにせめて洗ってからお会いしたい。色々と。



『おい、【濁った月】だぞ』

『異名持ちの冒険者様のお通りだ』

『本当にいつ見ても…』

『シッ!聞かれたらただですまないぞ!』

『おー、やだやだ』





学校 

             なんで     

       うざい           

                  



キモいんだよ







……早く帰ろう。こんなところに居たくない。


動ける隙間ができたのでそこを縫う様に、駆け足で


少しでも早く帰れるように速く。





はやく。




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