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剣と魔法の異世界ライフ  作者: 春夏秋冬
ユースタンス一家
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白ウサギ

「さて…」

白ウサギはそう言うと、指を一つ鳴らして見せる。

すると突然、何も無かった所に椅子が現れた。

驚いた。

だが、依然こいつからは不安と恐怖しか感じられない。

「もう気づいているかもしれませんが… 貴方は生まれ変わりました。」

顔色一つ変えないで、重大発表。

まあ、薄々気づいていたので指パッチンよりは驚きはしない。

「貴方が生まれ変わった世界は、前世と色々違いましてね…。

 でもいいですよね、貴方がそう望んでいたのだから。」

白ウサギは続ける。

「貴方は、この世界で生きていかなくてはなりません。

 だから、私についてきて下さい」

白ウサギがそう言った時、全身に鳥肌がたった。

ちょっと待て。

こんな得体の知れない奴についていく?

絶対嫌だ!! 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌々嫌々嫌…

俺は心な中で必死に喚く。

赤ん坊であるせいか、声にはならない。

「いいですね?」

しかし、白ウサギの有無を言わさない声に、心が静まる。

まるで、殺人鬼の襲来に押し黙る町のように。

こうして俺は、見知らぬ世界を、二足歩行の白ウサギと行く事になった。


「しかし、名前がないと不便ですねえ…」

白ウサギは先程出した椅子に腰掛け、ブツブツと呟き始めた。

「あ…アルフォンス  い…インドロメダ  う…」

どうやら俺の名前のようだが、正直ダサい。

名前からして、この世界は西洋系の世界だろうか。

そんな事を考えていると、白ウサギが突然、

「君の名前はロイドだ。」

と言った。

インドロメダとかじゃなくて良かったが、早いな。

「さあ、ロイドくん。

 一緒に冒険の旅へ。」

紳士風な挨拶をしてやや芝居がかった感じで言う。

そして白ウサギは指を鳴らす。

パチッツ。

その音とともに、俺の体が宙に浮き上がる。

辺りを見渡すと、全てが白い部屋だ。

俺の真下には俺が入っていたと思われる揺り籠、白ウサギの先には木製の扉がある。

「早く早く。」

白ウサギがそう言うと、俺は引っ張られているかのように白ウサギの方へ進む。

俄然浮いたままで。

この時、俺には不安や恐怖といった感情以外に、別の感情が芽生え始めている事に気づいた。

好奇心。

単純にワクワクしていた。

ここになら熱中する何かに会えるんじゃやないか。

そんな希望を持っていた。


白ウサギはそれを知ってか知らずか、本当に小さな声で呟いた。

「楽しい楽しい冒険の、始まりだ。」


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