表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣と魔法の異世界ライフ  作者: 春夏秋冬
聖ミカエラ修道院 前編
14/18

実験①

「今から外行くから、動けるように準備してこい。」

実験を行うと決まると、シルヴァはそう言って黒いローブを着始めた。


「えーと…どういう事ですか?」

シルヴァを怒らせないように控えめに問うと、淡々とした口調で返答がくる。

「お前が魔眼を持った状態でどこまで魔法が使えるか知りたい。つまり、魔法での勝負だ。」


勝負。

俺はその二文字を聞いてついつい嬉しくなってしまう。

剣と魔法の異世界に転生したものの、勝負は一度もした事がなかった。

やるのはいつも修行ばかりで、実践的な事はやってこなかった。

これは自分の実力を知るいい機会だ。

しかも、相手はシルヴァだ。

今まで下手に出ていたがこてんぱんにしてやる。


「早くしろ。」

三流の悪役のような事を考えていると、シルヴァに怒鳴られてしまった。

だが、準備する事といっても何もない。その事をシルヴァに伝えた。

「そうか、ついて来い。」

俺は言われるがままに、シルヴァの部屋を出た。


シルヴァが選んだのは裏庭だった。

窓からひょこっと少年少女が顔を出しているが、見たらいけない。

自分に言い聞かせるが、ふと一つの疑問が浮かぶ。


何で、シスターやシルヴァの声は聞えないんだろう。


「今回の実験は、お前の魔法の出力などを見る物だ。殺す気でかかってこい。」

シルヴァが説明を始めたので疑問を頭の片隅においやる。

しかし殺す気とは。相当の自信家だな。

「いいんですか、殺す気なんかで。」

俺は万が一の事を考え、確認を取る。

「ああ、構わない。

お前が本気を出そうと俺には絶対勝てないからな。」

俺はその言葉にイラつきを覚えながら泣かせてやる!と心の中で決意する。


「そうですかっ!じゃあ、遠慮なく!!」

「『火炎弾(フレアショット)』!!」

俺は胸の前に手を突き出し、直径三十センチ程度の火球を作る。

そのまま火球をシルヴァに一直線に飛ばす。

「『(アクア)魔手(ハンド)』。」

だが、シルヴァが地面から百パーセント水分の大きな手を出現させ、軽々と火球を打ち消される。


「ッ!!!!」

俺は簡単に魔法がかき消された事に驚きを覚えつつも、すぐさま次の行動に移る。


「『(ヒート)昇風(サイクロン)』!」

火炎弾(フレアショット)』はかき消されたが、その場に熱は留まっている。

それを風魔法で起こしたミニ竜巻と合わせて高温の渦をシルヴァを取り囲むように作った。

これならどうかと思ったが、風が吹いている様子も熱が留まっている様子も微塵も感じられない。

――かき消された!!


(アイス)(ランス)

シルヴァが新たな魔法を口にする。

すると、空気中の水分がパキパキと音を立て凍り、あっという間に氷の槍が十本ほど出現した。

次の瞬間、ものすごい速さで『(アイス)(ランス)』が俺めがけて飛んでくる。


刹那、脳裏には死という文字が浮かび上がる。

それ程までに、命の危険を感じる『(アイス)(ランス)』だった。


「ッ!!!!!!!!」

すぐさま足から風魔法で風を噴出し、出来る限り後ろへ下がる。


「『(アース)障壁(ウォール)』!」

それでも速度を緩めずに飛んでくる『(アイス)(ランス)』に対して、着地するであろう場所の一メートルほど前に土の壁を作る。

着地すると、同時に『(アイス)(ランス)』の数本が『(アース)障壁(ウォール)』を貫く。

軽々と貫かれた『(アース)障壁(ウォール)』を見て、ついこれが自分だったらと考えてしまう。

背中に冷や汗が伝う。


先手必勝!!

攻撃される事に命の危険を感じた俺は、熱魔法で空気中の温度を上げ氷を蒸発しないように溶かす。

「『散水弾(ウォーターショット)』。」

続け様に魔法を唱え溶かした水を弾丸のように飛ばした。

数百もの小さな水弾がシルヴァに向けて飛ぶ。


だが、シルヴァの近くでにバリアが張ってあるかのように『散水弾(ウォーターショット)』の軌道が一つ残らず逸らされていく。

「『黒紐(シャドウライン)』。」

勝負が始まる前と同じ余裕そうな顔をしたシルヴァによって放たれた影のような紐に、無残にも拘束され身動きが取れなくなった。


「はあっ…はあっ…げほっごほっ…」

勝敗の決した裏庭には俺の荒い息遣いだけが聞える。


………………。

……………………。

完敗だ…。

見事なまでに負けた…。


拘束が解けて乱れた呼吸が落ち着いてくると、次第に色んな感情が込み上げてくる。

俺だって、これまでの全てをぶつけたつもりだった。

考える最良の策だったと思うし、三年間修行を怠ったりしてきた事は無かった。

なのに、結果がこれだ。


「…畜生……!!」

悔しさの余り、目頭が熱くなる。

それを払拭すべく、力任せに地面に拳を叩きつける。


窓からは少年少女たちが心配そうな表情で顔を覗かせている。



「よくやりました。ロイドくん。」

いつからいたのか後ろからシスターが優しく話しかけてきて肩に両手を乗せた。

「シルヴァくんは十年に一人と呼ばれるほどの天才魔導師ですから。

仕方ありません。寧ろあそこまで張り合えただけでもあなたにも十分素質がある。」


シスターの言葉は同情しているかのようにしか聞えなく、ある決意をする。


「シルヴァさん。」

立ち上がりしっかりとシルヴァを見据えて言う。

「僕に……僕に魔法を教えてください!!!」

必死に頭を下げて懇願する。


「ちっ、めんどくせえ。」

シルヴァの言葉に絶望し頭を上げもう一度頼み込もうとする。

「実験の予定をよりハードに組みなおしてやる。

そんでもって今日からお前は俺のパシリだ。ロイド・ユースタンス。」

が、それよりも先にシルヴァが口を開いた。


???

突然の実験ハード宣言とパシリ宣言にクエスチョンマークが三つほど頭上に浮かぶ。

どういう意味か考えていると、シスターがニコニコしながら補足する。

「シルヴァくんはね、自分が認めた人しか名前で呼ばないのよ。」


って事は?

つまり―


「ありがとうございます!!今日から、よろしくお願いします!!」

頭の中で答えが出るのと同時に、深く頭を下げる。

「ふん、今日の実験は終了だ。部屋こもって寝てろ。ロイド。」

「はい!」


こうして、修道院での(シルヴァの)実験体&パシリ&弟子という何とも奇妙で忙しない生活が始まった。


今回は魔法でのバトルシーンがありました。

ですが、魔法名は思いつきで必ずしも正しく訳されているとは限りません。

バトルシーン独特の雰囲気も出せていなかったと思います。

その二つをこの場で謝罪します。

不服な事がございましたら、何なりとご申し付けください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ