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~手のなるほうへ~  作者: コンブ
第1章
18/112

18



ふと、まだ真夜中と思われる時間に目が覚める。


元々、西の国に捕まってからはあまり深く眠れていなかった。


ゆっくり身体を起こすと、隣ではガーガーいびきかいて志龍王が寝ていた。


今が何時なのかはわからない。


しかし、真夜中だということだけは、空気から察することができる。


そっとベッドを抜け出し、窓の外を見る。


真っ暗な空に、青い月が輝いている。



この世界の月は驚くほどに鮮やかに青い。


なんか、変なの。



そういえば、あの月のほうに向かって行けば、東の国があるって右京が言ってた。


あっちにいけば、杏里もいるのかなぁ⋯。


でも本当に、東の国は怖いところなんだろうか。


志龍が言ってたような王様がいるのだろうか。


なにを信じたらいいんだろう。


自分の目で見るまでは、わからない。



――このまま、東の国まで行けないかな。


このまま⋯⋯。




あたしはこっそり扉の前に立つ。


昼間はいつも、扉の向こう側に西の兵士がいる。



⋯⋯カチャ。


音をできるだけ立てないように開けてみる。


そこには誰もいなかった。



よし。


行ける。



あたしは、そのまま部屋を抜け、脱走することにした。








ハアハアハアハア。


とにかく必死で走った。


青い月の輝く方角へ。


寝巻きの長い裾が足に纏わり付く。


ええいっ。


あたしは裾をひざの上まで巻くし上げ、更に走る。



なんとか西の城からは脱出できた。


ただただ森の中を月の明かりだけを頼りに進む。


このまま、東の国まで行きたいっ。


運動とかけ離れた生活を送ってきたせいで、あまり長い距離を走ることはできない。

あーっ、もう。


どうしてあたしこんなに体力ないわけ???


城からまだ2,3キロしか来ていないが、もう息が上がる。


痛めた足は、もう大丈夫。


ただ、自分の体力の限界で歩き出す。


チラチラと元来た方を確認するが、誰もいない。


よかった。なんとか脱出成功したみたいだわ。


もう牢屋に東の兵士もいないし、これであたしが逃げても誰も傷つかない。


とにかくこれからは一人で東の国までがんばるっ。



あたしは息を調え、また走り出した。




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