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~手のなるほうへ~  作者: コンブ
第3章
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「ユキナ様?」


葉月さんは事態を飲み込めずにキョトンとしていた。


この変態っ!



「と、いうわけだから、オレはマンションに帰るわ。葉月、ユキナちゃんに手出すなよ?」


「は、はいっ!」



「じゃあ、うちに置いてあげてもいいの?」


杏里はフゥ、とひとつため息をつく。



「ああ。ユキナちゃんは言い出したら聞かないし、葉月ならオレの女に手出ししたらどうなるか、わかるよな?」


「絶対にそのような事は致しません!」


あはは、そりゃそうだ。


「杏里、ありがとう」


「ありがとうございます!」







その日から葉月さんとの同居生活が始まった。





葉月さんがうちに来て、さらに2ヶ月が過ぎた。


彼は建築現場でのバイトを始め、そりゃ一生懸命に働いている。


ケジメつけたいからって、ちゃんと生活費も入れてくれて、かえって助かってる。


家事も手伝ってくれるし、買い物も手伝ってくれる。


素直で従順でマジメで可愛くて、なんだか大きな犬を飼ったような気分。


犬飼いたいなって思ったことあったけど、なんかもう満足かも。



陣にはまだ葉月さんのことは話してない。


多分、話したらまた怒って走り去るに違いない。


なーんで怒られなきゃいけないのかしら。






大学の帰り道、あたしはひとりで買い物を済ませて帰路を急いでいた。


うちのワンコ…葉月さんが心配するから。





相変わらず駅前は賑やかで、すっかり日も暮れたというのにネオンで明るく照らされる。



ここが1番うるさいかもしれない。



ジャラジャラと機械的な音が耳に障る。


買い物袋をぶんぶん振りながら歩いていると、そのパチンコ店の駐車場からなにやら叫び声が聞こえてきた。



え?、なに?ケンカ?


通報したほうがいいかな?と思い、そっと目立たぬようにその場を覗きこんだ。


巻き込まれるのは勘弁だもの。



「オラオラ!さっきまでの威勢はどうしたんだ?!」



ボコボコに若い男の子がやられてる。


1対4で、1のほうが全員を順番に殴ってる。



やっぱりケンカしてるのね、馬鹿だ。


都会っ子なのでこんな風景にも慣れたものではある。



が、横目でその光景を確かめていたあたしは、愕然とした。




な、な、なんで?!どうして奴がここにいるわけ?!



見間違いかと思ったが、そうでもなさそうだ。




「この志龍様に喧嘩売るなんざ1000年早いんだよ!!」



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