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mirror  作者: まあ
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第5話

「と言う事で行くよ。ひばり、葵」


「えーと、深月ちゃん、状況を説明してください」


「そ、そうだよね」


 放課後になると深月はひばりと深月、理音、大樹と幼い頃からの友人である女子生徒『本宮葵』を拉致するが、2人は深月が何をしたいのかわからないようで首を傾げている。


「決まってるでしょ。理音を捕まえに後は、今日のタイムサービスの卵はボクも欲しいから」


「卵? そう言えば、あたしんちも少なくなってた気が」


「あ、あの。深月ちゃん、ひばりちゃん、私はまったく状況がつかめないんですけど」


 今日のタイムサービスの1つにひばりの心は揺らいだように見える。しかし、葵は状況が処理できないようで助け船を探す。


「あー、葵、理音が帰ってきてるんだよ。それで、深月はタイムサービスに行けば捕まるんじゃないかと思ってるんだよ」


「理音君が帰ってきてるんですか?」


「あぁ。昨日の夕方のニュースにも出てたし、昨日、怜生くんに会いにウチの幼稚園にも顔を出したからな」


「全然、知らなかったです」


 大樹は葵の困っている様子に苦笑いを浮かべると、簡単に理音が帰国している事を話す。葵はニュースを見ていなかったようで肩を落とした。


「それで、タイムサービスですか? 納得しました」


「あ、葵ちゃんも納得しちゃうんだ」


「はい」


 ひばりは葵までもが、納得してしまった事にどう反応して良いのかわからないようで顔を引きつらせた。葵はひばりの言いたい事がわかるようで苦笑いを浮かべる。


「それじゃあ、行こうか? ヒロはどうするの?」


「あー、俺は帰るよ。手伝いもあるし、捕まえて理音に時間があるようなら、連れて来てくれ」


「うん。了解。ひばり、葵、行くよ」


 大樹は理音を探すのを断ると深月は楽しそうに教室を出て行く。


「あ、あの。清瀬くん、あたしは?」


「良いよ。元々、正式に雇用しているわけじゃないんだから、これる時で良いし、それに深月1人だと何が起きるかわからないから」


「そ、そうですね」


 ひばりと葵は大樹に頭を下げると深月の後を追いかける。


「……取りあえず、無駄足にならないように理音にメールでも送っておくか? えーと、『本日のタイムサービスは卵。1パック、78円』」


 大樹は3人の背中を見送った後に制服から携帯電話を取り出すと理音にメールを送った。


「……そして、深月からの電話より、タイムサービスについての情報に食いつく。これを知ったら、深月は怒るかも知れないな」


 メール送信後、直ぐに大樹の携帯電話には『わかった』と一言だけ書かれた返信があり、大樹はため息を吐くと携帯電話をしまって教室を出て行く。


「到着。理音はいるかな?」


「み、深月ちゃん、ま、待ってよ」


「ま、待ってください」


 商店街の入り口の到着すると深月は理音を探そうと商店街を見回すが、彼女とは対象的にひばりと葵は息も絶え絶えであり、呼吸を整えようと大きく息を吸い込んでいる。


「まったく、2人とも体力ないな。それとも、こんなにたわわに育った巨乳かじつを2つも付けているからかな?」


「み、深月ちゃん、何をするんですか!?」


「そ、そうだよ!!」


 深月はひばりの隠している巨乳と彼女に負けないくらいに育っている葵の巨乳へいきを揉みしだこうと2人との距離を縮めようとする。その様子に2人は自分の巨乳を守るように後ろに下がった。


「ひゃう!? す、すいません。あ、あたし、よそ見をしてて」


「いや、別にかまわんが……ん? ひばりか?」


「理音くん?」


 ひばりは後ろに下がった時に人にぶつかり、慌てて頭を下げると彼女の頭の上からは理音の声が聞こえる。


「あぁ。それで、こんなところで何をしてるんだ?」


「……えーと、既に大量だね」


「ほ、本当ですね」


 理音はすでにトイレットペーパーや洗剤と言った日常品を買ったようであり、両手はふさがっており、そんな彼の様子に深月と葵は苦笑いを浮かべた。


「ん? 深月と葵もいるのか? 久しぶりだな」


「……そして、何事もなかったかのようにあれが懐の中に入る」


「そ、そうですね」


 理音は深月と葵に気が付き、両手がふさがっていては不便だと思ったようで懐にしまい込む。その様子を見た3人は微妙な表情をする。


「どうかしたか?」


「べ、別に何でもないよ? ど、どうかしたの?」


「ん? いや、昨日の平常時より呼吸数と脈拍に変化が見られるからな……これ、要るか?」


 理音はひばりの顔を覗き込むと何か感じたようであり、懐から携帯用の酸素ボンベを取り出す。


「あ、ありがとう」


「別に気にしなくても良い。葵も要るな?」


「は、はい。申し訳ありません」


 ひばりが頷くと理音は直ぐに彼女に酸素ボンベを当て、葵もひばりと同様に呼吸が整っていないため、続けて彼女の処置に移る。


「……ここって、商店街だよね?」


「何を当たり前の事を言っているんだ? ……」


 深月は目の前で理音がひばりと葵の処置をする様子に眉間にしわを寄せる。理音は深月の言葉にため息を吐くが、その瞬間に彼の目つきは鋭くなった。


「り、理音くん、どうしたの? って、どこに行くの!?」


「理音、卵、ボクとひばり、葵の分も取ってきて」


 ひばりは理音の変化に首を傾げると同時に理音は駆け出して行き、深月はそんな理音の背中に自分達の分の卵も取って来いと言う。


「えーと、理音くんは本当に卵を取りに行ったの?」


「間違いないですね」


「うん。間違いないね。ひばり、葵も行こう。レジは各自で通さないといけないだろうし、他にもタイムサービス品を理音に取って貰わないといけないし」


 ひばりは理音がタイムサービスのためだけに駆け出して行った事が信じられないようで顔を引きつらせるが、深月と葵はなれているのか、理音の後を追いかけようとひばりに手を伸ばす。


「う、うん」


「さてと、ボクは2人と違って牛乳を取って貰わないといけないから……やっぱり、ひばりもいるのよ」


「ちょ、ちょっと、深月ちゃん!?」


「理音、ボクとひばりの分の牛乳」


 深月は理音に牛乳を買わせようとするが、ひばりの巨乳と身長を見比べてから、ひばりの分も牛乳を追加する。


「深月、言っておく。牛乳を飲もうが、身長も胸にも何も変わらん。そんなものは根拠も何もない。ただの迷信だ」


「あ、何人か崩れ落ちた」


 理音は深月の言葉に瞬時に目的を理解するが、根拠などないと言い切るとそれを聞いた数名のお客さんが崩れ落ちた。


「そ、そうですね。私もあまり牛乳は飲みませんし」


「そ、そうなの!?」


「ひばりは飲んだ牛乳がすべて胸に行ったと思ってたみたいだね」


「そ、そんな事ないよ!?」


 葵は理音の言葉に少し恥ずかしくなったようで顔を赤らめて頷き、ひばりは驚きの声をあげた。深月はそんなひばりの様子にうんうんと頷くとひばりは全力で否定しようと首を大きく振る。


「後、揉めば大きくなるとも言うよね?」


「み、深月ちゃん、その手の動きは止めて!?」


「……深月、止めておけ」


 深月はニヤリと笑うと両手をわきわきと動かし、再び、ひばりとの距離を縮めようとすると卵と牛乳を手にした理音が彼女を止めた。


「何? 理音はこっちも迷信だって言うの?」


「深月、何を言ってる。それは男のロマンだ」


「えーと、これって何なんでしょうか?」


 深月の言葉に理音は表情を変える事なく、言い切ると男性客から歓声が上がり始め、葵は顔を引きつらせる。


「なら、揉んどく?」


「悪いな。今は俺にとって、それより俺を呼ぶ戦場タイムサービスの方が重要だ」


「えーと、それはそれでちょっと傷つくかな?」


 深月は理音をからかうように言うが、理音に取っての最も優先すべき事はタイムサービスを楽しむ事のようで精肉コーナーに向かって駆け出す。深月はそんな理音の様子に苦笑いを浮かべた。


「理音君、相変わらず、タフですね」


「そ、そうだね。あたし、お医者さんってもっと、落ち着いてる人だと思ってた」


「うーん。理音は本能で動くタイプだからね。って、既に青果コーナーに移動しているね」


 理音は店内を縦横無尽に動き回っており、その様子に3人は顔を引きつらせる。


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