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Scool!!  作者: 白金千乃
一学期
6/25

クラスマッチ(春) 4





   「世乃!平気か!?」

   「……う、ん……大丈、夫?」


   亜丞の声になんとか答える。

   階段を落ちたというのに、不思議と体に痛みはあまりなかった。

   そして、不思議と柔らかな感覚。


   ゆっくりと、目を開く。

   目の前にあるのは、床ではなかった。



   「大丈夫?」

   「………………」

   「前原さん?」


   世乃は固まったかのように黙ったまま。

   不思議に思い、王次郎は世乃の目の前で手をひらひらさせてみる。


   「くくくくら、いし、く…………!」

   「ま、前原さん!?」


   世乃はショートしたかのように気絶した。

   階段から落ちた先の、王次郎の上で。


   亜丞はほっとしながらも、苦笑いを含んだため息を吐いた。









   「……そろそろ交代かな」


   王貴が時計を見上げてそう言ったそのとき。

   タイミングを計ったかのように、廊下の端に亜丞が現れた。


   「おつかれさま、どうだった?」

   「取られなかった。よかったのか?」

   「復活ゲームには、早々に退散した人たちの延長戦みたいな意味もこめてるから」

   「なるほど」


   それなら十分だ、と、亜丞は首からホイッスルを下げた。


   「……世乃は?」

   「あー、保健室」


   まさか、と驚く二人に、亜丞は笑いながら言い加えた。


   「ちょっと疲れて気絶しただけだ」

   「そっか……少し無理させちゃったかな」

   「……いや、本人は多分幸せだったと思うぞ」

   「へ?」

   「とにかく、無事に終わったってこと。ほら、次行って来い」


   王貴と九郎の肩に手を回し、亜丞は笑ってそう言った。

   二人も笑って答えた。


   「「行ってきます」」







   

   「で、来たわけなんですが」

   「どうしているんでしょうね……」


   「どうして、だなんて」


   そう言うと、肩に羽織ったジャージをはためかせて微笑む。

   若干疲れた顔をした九郎と、相変わらず微笑む王貴に向かい。


   「嬉しいこと言ってくれるじゃないか」

   「「ですよね」」


   "元生徒会長"御堂司春は、二人の思っていた通りの言葉を返した。

   呆れながらも、九郎は尋ねた。


   「で、本当なんでいるんですか」

   「もちろんしっぽを取られてしまったからだよ」

   「いえ、そうではなくて。どういった理由で取られようと思ったのですか?」


   九郎の質問に付け加えて、王貴が尋ねる。


   「面白そうだから」

   「「ですよね」」


   「それに俺がいなくてもうちのクラスは優秀だから」

   「ああ!……押し付けましたね」


   思い浮かぶ、元生徒会の先輩のストレスをためた姿。


   「すっごく大変そうだったよ!」

   「嬉しそうに言わないでください」


   「さあ、そろそろお喋りは終わりだ」


   そう言って、司春はぱん、と手を鳴らす。


   「楽しみにしてたんだ。だから、二人にも頑張ってもらうよ」


   一年のときから生徒会に所属していた司春は、一般にクラスマッチに参加するのはこれが最初。

   わざわざでないと捕まることなど有りえない人物が、今目の前に立ちはだかっている。


   「これは本当に、頑張らないと駄目ね」

   「全くだ」


   王貴が微笑み、九郎はため息を吐いた。

   そして同時に、3人は駆け出した。






どうでもいいことですが、全員体操服(ジャージ)です。

王貴・慧斗・世乃・希雪→半そで半パンにジャージ上を羽織る

九郎・亜丞・王次郎→半そでに長ズボン、上に長ジャージを羽織る


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