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Scool!!  作者: 白金千乃
番外編
25/25

好きな子ほど苛めたい





  「いい加減にしろおおおお!!」


  ダッと、廊下を全力疾走で駆け抜ける少女。

  廊下に人が少ないからまだいいが、人がいればとりあえず振り返る大声で。


  王次郎はすれ違いざまにその少女を見て、続けて前を見る。


  「凌、また笹さんからかってたの?」

  「やあ王次郎、からかってなんかないさ」


  少女が走ってきたほうから歩いてきた凌。

  そのきらりと光るかのような満足そうな笑みを見て、王次郎はため息を吐く。


 「本気なのか冗談なのかは俺には分からないけどさ」


  希雪は凌を非常に苦手にしている。

  が、心のそこから嫌悪しているわけではないことは、分かる。

  彼女の場合本当に嫌悪するなら相手にもしないだろうから。

  アレだけ嫌がっているのは嘘ではないだろうが、反応を返すということは望みが無いわけではない。

  もっとも、好かれてもいないのだろうが。


  それ以前に、凌の本心が読めないため、何ともいえないところでもある。


  「あんまり苛めてると、本当に嫌われるぞ?」

  「……それはお前にも言える事だろ?」

  「え?」


  凌の言葉に、王次郎は顔を上げる。

  どこか困ったように微笑む凌。


  すれ違いざまに、肩をぽん、とたたいて。


  「お前も十分、意地悪だと思うよ」


  あんまり長引かせるなよ、と言って。

  片手をひらひらと振りながら、凌は通り過ぎていく。

  その背中を見ながら。


  「…………まいったな」


  思った以上に表に出ていたのか、はたまた、単に凌が鋭いのか。

  見抜かれていたことに驚きつつも。


  困ったように笑みを浮かべて、王次郎は呟いた。  





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