処方箋
登場人物 帝人王貴 上條九郎 鈴村亜丞 前原世乃
「あ、王貴、そろそろ薬の時間だ」
そう言うと、九郎は鞄から袋を取り出す。
王貴も、飲んでいたお茶をひとまず置いた。
「お湯あるか?」
「お茶じゃ駄目?」
「駄目に決まってるだろ……水でもいいから、用意」
「相変わらず九郎はまるでお母さん、だな」
様子を見ていた亜丞は笑う。
世乃はふと気になっていたことを尋ねた。
「亜丞君、何で王貴ちゃんの薬を九郎君が持ってるの?」
「ああ、あいつの家診療所なんだが、王貴のかかりつけなんだ」
「そうなの?……え、じゃなくて、何で九郎君が薬の管理をしてるの?」
「……ああ、そっちか」
「これとこれとこれだよね?」
「これとこれだ……あ、粉が先だからな」
「あの通り、大量の薬を正しく飲まないといけないだろ?」
「うん……大変だよね」
「で、面倒だろ」
「まあ……そうだよね」
「だからだ」
「…………え」
「…………苦い」
「ほら、口直し」
「ん」
お茶を受け取って飲む王貴を見て。
世乃は驚きつつも納得する自分に、苦笑いをこぼした。