表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Scool!!  作者: 白金千乃
番外編
18/25

前原世乃の憂鬱事項

登場人物 前原世乃 笹希雪




   前原世乃。


   天祥学園二年、生徒会役員。

   真面目で成績も優秀。

   生徒からも教師からも一目おかれる模範生。


   なのだが。



   「…………」



   いつものしっかりした姿はどこへやら。

   教室の机に突っ伏してうなだれる。

   そんな姿を見るのは、仲のよいクラスメイトか友人くらいのもの。


   理由はただひとつ。



   「世乃ー……またか?」

   「…………」


   友人の希雪の言葉に、びくりと反応する。


   そう、また。


   また、"二位"だったのだ。



   世乃は何故か、万年二位なのである。

   もちろん、成績には波がある物なので、不調な際は下がるし好調ならば上がる。

   しかし、どんなに頑張っても、世乃は一位をとることができないでいた。


   真面目な彼女は、負けず嫌いでもあった。



   「また……また……っ!!」

   「とりあえず落ち着け」


   ファンが見たら驚くぞー、と、小声で付け足しながら。

   希雪は世乃の頭を撫でて励ました。


   彼女からすれば、二位でも十分すぎるほどなのだが。


   もちろん、世乃とて二位が悪いなどとは思っていない。

   しかし。



   「また、倉石君……」

   「……ああ」



   学園の"王子"倉石王次郎。

   王子の名にふさわしく、文武両道容姿端麗。

   学園の女子の半分以上は、少なくとも憧れるといわれている。


   そう、常に世乃の上に居る人物が同じなのである。

   そのことが、世乃に一番大きなダメージを与えていた。

   同時に、対抗意識をも。



   「で?もう諦めるの?」

   「…………諦めない」


   そう、諦めはしない。

   なぜなら、世乃にはどうしても一位になりたい目的があるから。


   「別に、一位になったらじゃ無くてもいい気はするんだけど」

   「駄目なの。そうでもしないと、自身がもてない」


   気弱な世乃は、目標を作ることで自分に自身を持たせようとしたのだ。

   それがまさか、このような弊害になるとは思いもせずに。


   「だって、その目的に邪魔されてるわけでしょ?」

   「…………言わないで」


   そう。


   倉石王次郎への告白(世乃の目的)を、その本人に防がれている。


   空しくなり、世乃はまた机に突っ伏した。



   (……倉石、今度ちょっといじめとくか)



   ちょっといじめる、にとどめておくのは、大事な友人の思い人という部分での遠慮だろう。

   希雪は世乃の頭を撫でながらため息を吐いた。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ