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Scool!!  作者: 白金千乃
一学期
17/25

生徒会の夏休み(締めくくり)






  「さて、そろそろいいかな」


  次第に傾き始めた日を見ながら、司春はうなづく。

  それを見て六花は首を傾げる。


  「何が?」

  「これだよ」


  ぽん、と机の上に置かれたものを囲んで見ると。


  「花火ですか」

  「夏といえばやっぱりこれだと思ってね」

  「豪華サマーバイオレンスパック……」

  「……バイオレンス……?」


  パッケージにある言葉に少し違和感を感じながらも、各々花火を手にとり始める。

  全員が手にとっても余るほどの量。


  「ちゃんと水を用意してから始めようか」

  「じゃあ水汲んでこようか」

  「あ、手伝います」


  バケツを手にした宮に続くように九郎も立ち上がる。  

  ふと、口元に手を当てて蓮花は司春の方を向いた。


  「司春君、火をつけるものってあるん?」

  「ろうそくは入ってるみたいだけど……」

  「……ないみたいだな」

  「っすね」


  花火の入っていた袋をあさりながら六花が告げる。

  同じく他の袋をあさった亜丞と慧斗も同じ答え。


  「ふむ、見落としてたな」

  「あ、じゃあ私そこの海の家から何か借りてきます」


  世乃は立ち上がってそう告げると、すぐさま駆け出した。











  「すみません」

  「はいはーい」


  一番近い海の家の入り口で、世乃は中にいた店員に声をかけた。

  店員は世乃に気づくと近づいて、頭に巻いていたタオルを外す。


  「ライターとか火のつくものを借りたいんですけど」

  「火?」

  「えっと、向こうの方で花火をしようと思って」

  「ああ!オッケーちょっと待ってて」



  「はいこれ。火の元には気をつけてね」

  「ありがとうございます」

  「けど、向こうの方って確か私有地じゃなかった?」

  「あはは、知り合いの所有地なんです」

  「へえ、そりゃすごいな」


  遠慮がちに世乃が言うと、やはり店員は驚いて見せた。

  海の一角を所有しているのだからそうだろう、と世乃は思う。


  「じゃあ後で返しにきます」

  「ああ、そのままもらっていいよ、それ俺のだから」

  「え、でも」

  「たまたま持ってただけで普段使うって訳でもないからさ」

  「……じゃあ、ありがたく使わせてもらいます」


  世乃が微笑むと、店員は満足したように笑った。












  「わあ……」


  火に触れると同時にはじけた様に飛び出した花火を見て、世乃は感嘆の声をもらす。

  薄暗い中に、眩しいほどの火花がぱちぱちときらめいた。


  「ねえねえ六花、これはこれは?」

  「やめなさい!貴方がロケット花火持つとかろくな事にならない!」


  笑顔の司春を六花がしかりつけ、後ろから宮がさっと花火を取り上げる。


  「ナイスコンビネーション」

  「そやろ?」


  見ていた慧斗の呟きに、ふふ、と微笑みながら蓮花は答えた。

  その手には、鼠花火。


  「司春君、ロケット花火は危ないからこれで我慢し?」

  「蓮花!鼠花火投げるな!」

  「あら、鼠花火は投げるものやろ?」

  「まあ間違ってはないですね」


  怒る宮に、蓮花は心底不思議そうに返す。

  先輩だからか、はたまた口出しすれば面倒だと思ってか、横にいた慧斗はただ様子を見ていた。


  「……賑やかだなあ……」

  「そうだね……」


  対照的に、静かに線香花火に興じる九郎と世乃は互いに呟く。

  大きく膨らんでいた灯火が、ぽたり、とこぼれるように落ちた。


  「あ、終わっちゃった」

  「次とってくるか」


  そう言って九郎は立ち上がると、花火がおいてある場所へと向かった。



  「九郎、どうしたのかな?」

  「花火とりに。線香花火ってまだあったか?」

  「ちょっとまってね、えっと」

  「多分こっちにあったぞ」


  亜丞が一つの袋を王貴に渡す。

  がさがさと袋をあさる王貴の手にも、花火が握られていた。


  「王貴が持ってるのはどんな?」

  「これはね、七色の花火だって」

  「まあ、いろんな色の火花が出るみたいだな」

  「へえ……すごいな」


  九郎の記憶にある花火といえば、オレンジの火花一色のもの。

  最近では火の飛び方や形など、色々な種類があるらしい。


  「こうやって皆で花火やるの、久しぶりだもんね」

  「そういえば昔亜丞の家の庭でやったな」

  「そうそう、王貴がはしゃいで大変だったな」

  「そんなこと無いもん」


  珍しくすねたようにそっぽを向いた王貴が、はい、と線香花火を差し出す。

  笑いながら九郎は受け取った。


  「ありがと。二人もやる?」

  「線香花火か、面白そうだな」

  「王貴は?」

  「……やる」


  九郎に向き直り、王貴は満面の笑みを浮かべた。




  薄暗い、から本格的に暗くなり、空にはちらほらと星明り。


  「生徒会の夏休みはこれで終わりかなあ」


  落ちた線香花火を見つめ、世乃がぽつりと呟く。


  「そうだな、二学期は何かと忙しいから、その準備が始まるし」

  「そう、これから忙しくなるよ?」


  くるりと長い髪を翻しながら、王貴は立ち上がる。


  「まずは体育祭、そして文化祭、生徒会長としてどちらも成功へと導いてみせる」


  輝くような強い目で、王貴はきっぱりと言った。

  そして、ふっと笑みを浮かべて。


  「楽しみね」


  心のそこから楽しそうに、そう言った。







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