表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

→→→ 異世界転生救済課シリーズはコチラです! ←←←

異世界転生救済課─「ちくわをこの異世界から排除する……」おでん鍋の決戦

掲載日:2026/07/03

施覆花おぐるま



 俺は施覆花おぐるま。異世界転生救済課九鬼(くき)班所属のイケてるお兄さんや。


 俺はこの仕事をはじめてから今まで色んな異世界を渡り歩き、そしてその異世界を創造した人たちを救出してきた。


 勇者になって冒険する人

 悪役令嬢に転生して人生を謳歌する人

 モテモテハーレムを構築する人

 ひたすらダンジョンを探検する人

 魔法の世界でスローライフを楽しむ人

 戦国時代の有名武将になって歴史を変える人……


 人が望んだ数だけ異世界は存在する。そして、それはどれも割と似たり寄ったりしとるんやけど……


 今、俺の目の前におる奴は違った。コイツは……



 “ちくわ”やった。



 異世界転生できるアプリを使って、ちくわに転生しとるんや。

 

 堂々とおでん鍋に漬かり、鍋の淵に広げた両腕を掛け、まるで風呂にでも入っているかのようや。


 意味がわからん……こんなん初めてのケースやで。


「ようこそ、ちくわの世界へ」


 鍋の中で、こんにゃく、卵、はんぺん、大根、牛スジをはべらせるその姿は、どこぞの聖帝のようやった。ツッコミどころ満載なんやが、何処から手をつけてええのか、関西生まれの俺ですら困惑しとる。


「えぇ〜っと、お名前は伊藤タケヒコさん? ですよね? 俺は異世界転生した人間を、現実世界に連れ戻す仕事をしとる施覆花おぐるまっちゅーもんです。……気になってしゃーないから聞きますけど、なんでちくわに転生したんですか?」


 ちくわはアゴ(たぶん)に手を当てて、ふむと唸ると天井を見上げて答えた。


「可能性の追求……かな」


 ……


 ……さっぱり意味わからん。


「ごめんやけど、言ってる意味が……」

「君は!」


 急に大声を出されて肩が跳ねた。なんやねん!


「君は、私のこの体の穴は何のために空いているのだと思うかね?」

 ちょっと高圧的な態度のちくわに、イラッとした。


「えぇっと……棒に魚のすり身巻いて焼くからでしょ?」


 沈黙が流れた。え? ちゃうんか? 湯気の上がる鍋の中で、卵や大根が俺を見てふふふと笑っとる。なんやコイツらの態度は、俺は間違えたんか?


施覆花おぐるまくん……と言ったね……」


 ごくり……


「正解だ」

「正解なんかい! なんで溜めたんや!」


「素晴らしい。君に、ちくわマイスターの称号を授けよう」

「いらんわそんなもん!」


「君は素質がある。私の元で、ちくわの穴の可能性について探究しようではないか」


「ホンマ意味わからんわ、てか、穴の可能性なんて、きゅうりかチーズでも入れとったらええやん」


 ちくわは再び黙った。なんやねん、いちいち!


「凡庸な答えだ……そこは、梅とかマッシュしたポテトとか言って欲しかった」


 もう、言葉を発して突っ込む気も失せた。初めてのケースやったから、正直なところちょっとだけワクワクした自分に腹立ったわ。コイツは無理矢理にでも現実に連れて帰ろう……


「もうええて、アンタをこの異世界から排除ドレインする……」


 そう言うて、ポケットの中から帰還装置を取り出そうとした時、気づいた。なんやこれ! 俺の体が!?



 ちくわになっとるッ!?


「なんでや!? なにが起こった!?」


「ふふふ、かかったね。施覆花おぐるま君。これは私のチート能力“ちくわファクトリー”だ。私がちくわにしたい対象に、ちくわに関する質問を出して、素直に答えた者をちくわに変える能力だ」


「なんやそれ! なんでそんなことをするんや!?」


 俺は完全に一本のちくわに姿を変えられとる。身動きでけへん!


「言ったでしょ? 可能性だと」


 ちくわは立ち上がり、鍋の具材達に指示を出した。


「さぁお前たち! ちくわになった施覆花おぐるま君の体に、きゅうりをぶち込んでやるのです!」


「アホぬかせ! やめろや!」


 こんにゃくとはんぺんが、おでん鍋から飛び出した。手には拍子木切りにされた棒状のきゅうりを持っている。


「やめぇや! コッチ来んな!」


「さぁ、施覆花おぐるま君、キミはどっちの穴からきゅうりを入れて欲しいんだい? 上の穴かい? 下の穴かい?」


「絶妙な下ネタやめろ! どっちも嫌や!」


 こんにゃくが俺に覆い被さった。つるつるで重い!


「はんぺんよ、まずは上の穴からだ……やれ!」

 ちくわの命令ではんぺんがきゅうりをゆっくり近づけてくる。俺は体が逆さまになっている事に気づいた!

「ちょっ! ちょい待って! そっちは……そっちはぁーーー!!」



「したのあなやあぁぁぁぁーーーー!!」


 ガバッ!!


 「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」


 目に映るのは見慣れた部屋、下町の商店街の一角を間借りした九鬼くき班のオフィスやった。窓には夕陽が差している。


 俺はソファーで寝とったんや……


 体中に不快な汗をかいとる。ベタベタや……なんや、夢やったんかい……ふと目の前のソファーに座っとる可愛い後輩、千代草ちよぐさと目が合った。


 え? 涙目で顔が真っ赤や…… なんで?


「お、お、施覆花おぐるまさんのセクハラ大将軍!! エッチ馬鹿変態! そんな事言う人だと思わなかったーー!!」


 千代ちゃんはダッシュでオフィスから出て行った。

 なんでやねん!


施覆花おぐるま、お前って奴は……どんな夢を見てたんだよ」

 少し離れた所で、相棒の鉄線てっせんは、呆れた顔しとる。それよか、なんか匂う……


「なぁ、鉄線てっせん、これ、なんの匂いや?」


「お、気づいたか食いしん坊め」


 振り返ると、俺の憧れ、美人女上司の班長、九鬼くきさんが湯気の立ち上がる鍋を持って現れた……


 え゛? 鍋?


「く、く、九鬼くきさん? なんで鍋持ってはんの?」

 顔がピクピク痙攣する。


「ああ、スーパーでちくわの特売をやっていてな、思わず大量に買ってしまった。だから今晩はおでんだ! ちくわオンリーの!」


「ちくわオンリーの!?」


「さあ! 召し上がれ!」


 九鬼くきさんは鍋をテーブルの上にドンと置いた。ちくわ達がくつくつと煮たつ出汁に漬かっとる。ヤツらの穴は、まるで俺を見つめとるようや。


「あ、いや、俺は起き抜けやから遠慮しときます」


 ソファーからゆっくり立ち上がり、逃げてやろうとしたが、後ろから鉄線てっせんに羽交い締めにされた。


施覆花おぐるま! お前の大好きな九鬼くきさんが作ったおでんだぞ! 食えッ!」

 

「おい、離せアホ! これのどこがおでんやねん! ちくわ鍋やんけ!」


「いいぞ、鉄線てっせん! 押さえてろ」

 九鬼くきさんが箸でちくわを掬い、ぷるぷるさせながら俺の口元へ運ぶ。


 嬉しいけど……

 めっちゃ嬉しいシチュエーションなんやけど……


 今は違う! 色々違う! 絶対違ぁーーう!


「ほら、施覆花おぐるま……あ〜ん♡」


 九鬼くきさんのカワイイ笑顔に釣られて、思わず口を開けてしもうた……あ〜……



「熱ッぅーー!!」


 俺のリアクション芸から出た悲鳴は、夕暮れの下町中に響いてしもうたやろうな……




                  おしまい




 最後まで読んで頂き、ありがとうございました♪


 もう気づきましたね? そうです。この作品は昨今のちくわブームに便乗した悪ふざけ小説でした。


 ……すいませんでした!!



 私の小説、異世界転生救済課の本編はシリーズ物として纏めてあります。興味があれば是非、読んでみてください。


おやまみかげさん、えぜるさん、ありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
なんか名前上がってたwww 普通に下ネタ入ってる〜 原作さすがにここまでふざけてなかったよなぁ(遠い目)
ちくわだけのおでんは果たしておでんなのだろうか……? 元ネタの作品の方は未読なのですが、しっかり楽しませていただきちくわ。 乗っていただき、ありがとうございました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ