1.序章
「好きになった人います」
「きっと、その人も好きになった人がいます」
「今日も画面越しの愛しい人に呼びかける」
「おはよ 柔らかな笑顔が、僕に微笑みかける」
「これは僕だけのもの」
「世界中で一番幸せな時間」
「そう、その瞬間は心の底から信じていた」
「彼女があんなことを、口にするまでは」
パソコンの電源を入れる。
「この機械的な動作が、心躍るようになったのは、いつの日からだろうか?」
大学卒業のころ両親が他界し、暮らすには困らない程度の遺産が残された。
定職にも付かず、親戚なく、ただ、漠然と生きていた。
世間から見れば、ただの引きこもりだった。
「いい歳をして」「ぶらぶらと」周囲の目が気になりだして
日々、どうにかしなければ、ならない!でも、踏み出せない!
そんな葛藤の中、何気なく、ネットに掲載されていた、広告から
画面を見たとき、これまでには無い感覚にとらわれた。
年齢=女性経験無し 絵に描いたような、僕に初めての感覚だった。
こんな僕でも、高校でも、大学でも、気になる人はいた。
けど、何もしなかった。ただ「見てるだけ」何もできないのが僕だった。
いまや、エッチな画像、動画なんか、
ネットにはいくらでもある。童貞にもやさしい、そんなネット社会の中
「見るだけ」の僕でも、簡単に恋人を探せるそんな気分でいた。
「詐欺に注意!」のメールを見た、すぐ後だった。
惹かれたままに、躊躇いながらも、入会のボタンを押した。
「何か」違うことしてみたい!そう思ったから。




