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13話 新時代

サーシャ隊にゼクレス教官を加えた六人組はその後の予定の為にベンベルグ中央駅に到着した。スパイの件のためにドライフルーツはゼクレス教官の部下に買ってもらうことにして航空基地行きの軌道車両に乗り込んだ。駅員の取り計らいで空きのある上等車両に乗せてもらい飛行場までの風景を楽しんでいると空に一際目立つ物が浮かんでいた。


「なんだ…?鳥…?いや…なんだ…?」


飛行機だ。少し前に開発され話題となった飛行機は陸と海に縛られていた人類を空に解き放った。サーシャ達が見たのは恐らく今向かっている航空基地から飛び立ったものだろう。


初めて存在を知った時からグレムシア帝国軍は飛行機に大いなる可能性を見出していた。飛行機により空をグレムシアのものにすれば海に縛られる事なく物資の輸送が可能になる。それは海を支配し、グレムシアを筆頭とする大陸国を抑えていたマレイスト共を気にすることなく植民地経営や貿易が可能になるということだ。


故に帝国は空を支配するという壮大な計画の第一歩として様々な航空機を製造していた。それが今向かっている航空基地にパレードの為に集結している。そのパレードこそ最終日サーシャ達のメインイベントだ。


しばらくして辺りが暗くなり、飛行機も見られなくなった頃に電車は航空基地最寄りの駅に到着した。


「…暗いね。」

「いっ…色々あったからちょっと遅れちゃったしね…。」


着くころには辺りは、ほぼ何も見えないほどに暗くなっていた。皆が駅で夜を越そうか話し合っているとゼクレス教官がふらっと隊の皆から離れ、帰ってきたゼクレス教官は皆に告げた。


「このまま進んで道に迷うのも危険だ。航空基地の寮を借りよう。今連絡した所、迎えに魔導車を寄越してくれるそうだ。一旦は駅で待っていよう。」


そうして駅でしばらく待っていると魔導車が到着した。魔導車の中で簡易食を受け取って食事をした。皆が軍用簡易食を食べ終える頃には航空基地の客室棟に到着していた。皆昼間のスパイの件で相当疲れていたようでシャワーを浴びるとすぐに寝てしまった。



****************************



『ズォン…ズォン…』


疲れがまだ残っている一行をベッドから起こしたのは飛行場からの大砲の音だった。それはパレードの開会式のものだろう。サーシャが様子を見るために窓を覗くとそこには窓から見える景色のほぼ全てを占める程大きな白い風船のようなものが留められていた。


「見て!見て!凄いよ!」

「おぉ!凄いな!私も本物は初めて見るぞ。」

「凄い大きいですね〜。」


ゼクレス教官でさえ現物を見たことがない飛行船艦がそこにはあった。空を泳ぐその巨体は飛行機に次ぐ帝国の第二の航空機として開発された。


「おい!早く近くで見に行こうぜ!」


そう言って素早く着替えを済ませたカールは皆を急かす。



****************************



「帝国の自由への翼を皆様に御覧に入れましょう。皆様の頭上を飛ぶのは帝国製の航空用エンジンを積んだ二枚の翼で空を掴む軍事用飛行機!」


司会者が空を仰ぎつつそう語ると会場の上の空をカラフルな煙で飛行機が彩った。機体は白と黒に統一され、羽には帝国の象徴たるヘビが描かれている。


「そして皆様が気になっているでしょう後方にある巨大な航空機は今回初お披露目となる飛行船艦です!」


司会者が一気に後ろを振り向いて手で指す先では飛行船艦を留めていたロープが外され、プロペラを始動させた飛行船艦が一気に空へ昇っていった。


「下部には楯突く敵を粉砕する爆弾、各方面には敵の翼をもぎ取る為の機関砲、更には大型魔導器による魔法が帝国に楯突く不埒な輩を粉砕し帝国繁栄のための栄養とするのです!」


司会者が力強い言葉で航空機の説明を終えると開会式は盛大な拍手で終わり、パレードが始まった。


色とりどりの煙幕を展開して会場の空を彩る飛行機や飛行船艦による試験射撃などのパレードは、会場の全ての人に新時代の幕開けを強く実感させたのと同時に期待と恐怖も感じさせた。



****************************



「パレード良かったね!」

「俺もあんな風に空飛んでみたいわ。『ギュイー』って音立てて自由に鳥みたいに。」


先のパレードの感想で皆が盛り上がっていると飛行船艦の乗組員がゼクレス教官の元教え子と出会ったらしく皆を特別に飛行船艦の試乗をさせてくれた。


「ゼクレス教官…?あちらの方々は…?」

「あれも軍の秘密兵器の突撃魔導試験大隊さ。」

「突撃…。魔導兵は飛行船艦に積んである大型魔導器を動かす都合上うちにも居ますけど基本的に安心安全な後方支援って感じなので扱いがかなり違いますね。」


ゼクレス教官は元教え子と雑談をしている間にサーシャ達は飛行船艦の乗組員に案内されて各設備を回った。


『敵航空機を粉砕する機関砲』『対地対艦用の主砲二十五センチ砲』『大規模爆撃用の爆弾積載量』『前線でも大規模魔法を使用可能にする大型魔導器』軍は飛行船艦に空の要塞としての重要な役割を任せ、様々な装備で武装させた。その巨体の飛ぶ姿は空に駆り立てられた敵の夢を砕くには十分すぎるものだ。



****************************



「いや〜すごかったね。」

「分かる〜。戦艦用の主砲をひっくり返して載せてるとことか面白かったね。」

「正に空の城って感じだったな!」


旅行の全日程を済ませた皆はゼクレス教官に試乗を感謝し、ゼクレスの運転する魔導車で軍の寮へと戻った。


明日からは訓練が再開される。帝国国民の期待に応えるべく帝国兵士は強く堅牢な帝国の礎とならねばならない。

航空基地に観光しに来たサーシャ達は飛行船艦や飛行機を見る。

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