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明日死んでしまうあなたへ  作者: 小畠愛子
第一章 旦那様は明日死ぬ⁉
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1日目④

 旦那様である勇気様は、真顔でわたしにこうおっしゃった。


「ぼくのような人間と一日しか添い遂げることができないなんて、君はなんて哀しく、運の悪い女性なんだろうか! きっとずっと一緒にいたいと思っているだろうに、それがかなわぬ夢だとは、嘆かわしいことだと思わないか?」

「は、はぁ…」


 ぽかんとしているわたしを無視して、勇気様は続けた。


「ずっと一緒にいたいと思っているのに、今日でお別れだなんて…。そうだ、それならせめて、今日くらいは素晴らしい日になるように、ぼくが最高の贅沢を味あわせてあげるよ! じい、じいはどこだ?」


 わたしよりも早く、使用人が口をはさんだ。


「勇気様、どうか落ち着いてくださいませ。愛子様は、そのようなことは望んではおりません。あなた様との、何気ない一日を望んで婚姻を結んでくださったのですぞ! それなのにそのようなことをおっしゃられたら、愛子様の思いを無下にするようなものでございます」


 使用人の言葉に、勇気様はなるほどとうなずいた。


「そうか…。そうだな、何気ない一日を思い出とするのも悪くないな。それならどんなことをしようか?」


 考えこむ勇気様を見て、使用人がすばやくわたしに耳打ちした。


「毎日あのようにして、市江家の財産を使おうとするのです。…この屋敷に軟禁されているのも、それが原因なのです」


 使用人の言葉に、わたしも納得するしかなかった。それほどまでに、彼の目が本気だったからだ。本気で、そう、まっすぐで誠実だったから。

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